anomado 2023年12月12日(火) 10時0分
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中国で武侠ドラマといえば、武侠小説界を代表する金庸や古龍の作品を実写化したものが主流だったが、近年は「新武侠」ジャンルが小説と時代劇の一翼を担うようになっている。写真は「蓮花楼」。
中国で武侠ドラマといえば、武侠小説界を代表する金庸や古龍の作品を実写化したものが主流だったが、近年はこれら「伝統武侠」の人気低下と、1970年代、80年代生まれの新鋭作家の武侠ものへの進出によって、「新武侠」ジャンルが小説と時代劇の一翼を担うようになっている。
武侠ジャンルのドラマとして、長い間、伝統もののリメーク版が定期的に作られてきたが、近年は新武侠ものの制作も進められていた。しかし、視聴者の「武侠ドラマ離れ」が原因で、2015~22年に制作された武侠ドラマはわずか70本余り、年平均10本ほどと少ないレベルで推移してきた。その原因として挙げられるのが、「制作の難度」「ファンタジーものに“幻想空間”を奪われたこと」「実写化の失敗」などだ。
こうした武侠離れの流れを変えたのが、21年に配信された「山河令」と昨年の「少年歌行」、そして今年ヒットした「雲襄伝」「蓮花楼」「鵲刀門伝奇」「一念関山」などの話題作。もっぱら正義を振りかざす伝統ものと違って、他の要素を足した「武侠α」で武侠の世界に新たな息を吹き込み、視聴者層を開拓することに成功したのだ。
「武侠α」とは、「ブロマンス(「山河令」)」「青春熱血(「少年歌行」)」「サスペンスと事件捜査(「蓮花楼」)」「コメディー(鵲刀門伝奇)」「旅×冒険(一念関山)」など伝統ものでは見られない要素がドラマファンから高評価を獲得するカギとなった。また、登場人物においても、官吏という背景を持つ「官侠(一念関山)」や最強頭脳の「智侠(雲襄伝)」などの新顔が加わり、伝統的な美的描写や豪華なCG手法と共に多彩で魅力的な新武侠の世界を作り出した。
こうした試みが成功を呼び、ドラマの視聴者層が開拓され、武侠ジャンルを支える大黒柱へと成長を遂げた。エンタメデータをまとめる骨朵伝媒(GUDUO MEDIA)によると、新武侠ドラマの視聴者は女性が8割と圧倒的多数を占めている。前出の「武侠α」に加え、影響力と演技を併せ持つ美男美女を起用したことで、女性視聴者を取り込む作戦が功を奏したのである。
統計によると、今年に入ってこれまで12本の新武侠ドラマが配信され、過去5年間の最多記録を更新した。本数だけでなく、ヒット指数、口コミ評価などにおいても新スタイルで勢いを見せる新武侠ドラマがこれからもヒットを連発できるのか。来年配信予定の「慶余年2」や「英雄志」「大奉打更人」などの作品に期待がかかっている。(編集/RR)
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