日米欧、ロシア制裁で連携も日本が最大の敗者に?―中国メディア

Record China    2014年8月15日(金) 14時49分

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13日、ロシアはポーランドからの果物と野菜の輸入のほとんどを禁止する措置を取ることを7月31日に宣言し、措置の範囲がEU全体に拡大される可能性も示唆した。資料写真。

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2014年8月13日、ロシアはポーランドからの果物と野菜の輸入のほとんどを禁止する措置を取ることを7月31日に宣言し、措置の範囲がEU全体に拡大される可能性も示唆した。ポーランドは世界最大の果物の輸出国で、そのうち3分の2以上はロシアに向けて輸出されている。中国経済週刊が伝えた。

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ロシアはなぜ突然、ポーランドの果物の輸入制限に踏み切ったのか。国際問題専門家でブログ運営サイト「博客聯合社区」の総裁を務める馬暁霖(マー・シアオリン)氏によると、今年3月のクリミア事件を受け、欧米諸国はロシアに対して度重なる制裁を課してきた。制裁のレベルは、マレーシア航空墜落事件でさらに高められた。ポーランドをターゲットとした輸入制限は、米国やEUのこれら一連の制裁に対してロシアが取った対抗措置と考えられる。

▼本格化したロシアへの制裁

米オバマ大統領は現地時間7月29日、ロシアにさらなる制裁を実施することを宣言した。ロシアの金融・軍事産業への制裁範囲を拡大し、エネルギー産業関連の特定の商品と技術のロシア向け輸出を中断し、ロシアへの輸出奨励措置と経済発展プロジェクト融資の一時停止に正式に踏み切る。

EUの制裁措置もこれとほぼ同時に発表された。ロシア連邦貯蓄銀行・VTB銀行・ロシアガスプロムバンク・ロシア開発対外経済銀行・ロシア農業銀行の5銀行のEU資本市場での資金調達を禁止する。EUの個人または企業は、ロシア国有銀行の発行した債券や株式、その他の満期90日以上の金融商品を購入することができなくなる。このほか加盟国がエネルギー関連技術・製品を輸出する場合にも認可が必要となる。深海石油探査・開発や北極石油探査・開発、シェールガスプロジェクトに用いられる製品などは輸出許可証の取得ができない。

さらにロシアのプーチン大統領に近いロシアの政界・財界関係者も、米国とEUの制裁リストに入った。欧米によるロシア制裁が強まる中、日本もこれに応じた動きを見せている。菅義偉内閣官房長官は7月28日、日本が米国を初めとしたG7の国との協議を経て、墜落したマレーシア航空MH17便が撃墜された可能性が高いことなどを「総合的に判断」し、ロシアに対する追加制裁を決定したと発表した。

菅官房長官によると、日本は主要制裁措置として、クリミアのロシア編入とウクライナ東部の動乱に直接関与した個人または団体の日本での財産を凍結する。対象にはロシア政府の職員やウクライナの民間武装勢力の指導者などが含まれる。また欧州復興開発銀行の最新の決定に基づき、ロシア国内の新プロジェクトへの投資を凍結する。さらにクリミアからの商品の輸入も制限する。

▼低迷するロシア経済に打撃

ここ数年、ロシア経済は低迷し、2013年の経済成長率はわずか1.3%にとどまった。米国やEU、日本の制裁は、ロシア経済の歩みを危うくすると心配する声もある。

実際に、EUの制裁はロシアの低迷に拍車をかける恐れがある。馬暁霖氏によると、EUの制裁はロシア側の95人と23団体をブラックリストに入れており、これが現実のものとなれば、ロシア経済にかなりのダメージが加わる。双方は互いに最も重要の貿易パートナーであり、2013年の二者間貿易総額は3270億ユーロ(約44兆7000億円)で、米露貿易総額200億ドル余りの数10倍、日露貿易の10倍に達する。

馬氏によると、米露の貿易総額はそれほど大きくないが、米国は、世界の金融市場における独占的地位を通じてロシアに圧力を加え、ロシアの資本流動を阻害し、ロシアの関連企業の融資に影響を与える力を持っている。ロシアの中小企業に対する融資額は上半期だけで2割縮小しており、通年の外資流失額は1000億ドルに達すると見られる。

▼日本は「最大の敗者」に

ドイツのガブリエル副首相兼経済・エネルギー相は、新たな制裁措置の発表後、制裁措置が欧州経済にダメージを与える可能性があることを認めた上で、ロシアへのダメージはさらに大きいとし、欧州経済へのダメージは払うに値する代価だと語った。

だがこの「1000の敵をやっつけ、味方を800失う」とも言える思い切った制裁によってEUが支払う代価は、ガブリエル副首相の予想を超えるものになる可能性がある。

あるロシア高官によると、もしも真っ向から対立した場合、ロシアは西側の封鎖を受けても1年は持ちこたえることができるが、西側はロシアの天然ガスがなくなれば1カ月も持たないという。

馬氏によると、欧州は天然ガス輸入の3分の1をロシアに依存しており、もしこれがなくなれば、今年の冬を安全に越せるかということさえEUでは問題になる。さらに貿易が完全に停止されれば、EUは2070億ユーロ(約28兆3000億円)の大市場を失うこととなる。

今回の制裁で目を引くのは日本の動きだ。安倍首相は、順調な展開をみせていた日露関係を顧みることなく、ロシアの非難へと転じた。

馬氏によると、「日本は最大の敗者となる」。ロシアが北方領土問題で強硬姿勢を取れば、安倍首相は日本国民の支持を失い、米国に追随したことを後悔することになるという。

中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英(チェン・フォンイン)所長は、「日本のこの一手はうまいものとは言えず、日本に戦略的な損失をもたらすことになる。石油の70%から80%を中東から輸入している日本は、エネルギーの安全保障のため、ロシアの極東地区に投資し、エネルギー輸入の多元化を実現しようとしてきた。だが今回の措置で日本のこれまでの努力は水泡に帰した。その利益が損失を上回っているとは言えない。結果は、『元も子もなくなる』のである。米国もこれをどうにかしてくれるわけではない」。

陳所長は、あと5年もすれば日米中の3カ国のうち日本は影響力のない小さな駒にすぎなくなると主張する。「米国との協力には慎重さが必要だ。米国は小さなパートナーの利益などは考慮しない。欧州債務危機ではそれが再度確かめられた」。

馬暁霖氏は、米国に頼るために日本には、ほかに選択肢がないのだと語る。米国は日本に対し「二股をかける」ことを許さないためだ。(提供/人民網日本語版・翻訳/MA・編集/武藤)

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