歴史の皮肉、中華文化の担い手が台湾から大陸に移行―香港誌編集長

亜洲週刊    2024年1月3日(水) 16時30分

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亜洲週刊の邱立本総編集長はこのほど、台湾と中国大陸の若者の教養の推移に注目して、中華文化の担い手が台湾から大陸に移り変わったとして「逆転の皮肉」が発生していると論じる文章を発表した。写真は台湾。

香港メディアの亜洲週刊の邱立本総編集長はこのほど、台湾と中国大陸の若者の教養の推移に注目して、中華文化の担い手が台湾から大陸に移り変わったとして「逆転の皮肉」が発生していると論じる文章を発表した。以下は、邱編集長の文章の主要部分に、日本の一般的読者のために若干の情報を追加して再構成したものだ。

改革開放初期には米国留学した中国の超エリート若者が笑われた

1978年は中国の「改革開放元年」だった。米中の国交樹立は翌年の1月1日だったが、少数の中国の若いエリートはすでに米国に留学しはじめていた。全員が公費留学生で、彼らには米国の最新の発展を理解することが求められた。しかし米国では、彼らの知識構造の欠陥も露呈した。

米国に渡った中国の若いエリートは米国にいる台湾の留学生と交流する過程で、彼らの中華文化に対する認識が非常に浅いことに気づいた。まず、基本的な歴史知識や用語や文章作成能力が劣っていた。「教養ある中国語」に欠かせない、「成語」と言われる語句の使い方もなっていなかった。さらに、台湾側の学生が「あなたのお宅はどちらにあるのでしょう。お父様のご職業は?」と尋ねれば、大陸側の学生は「私のご家族は山東にお住まいです。ご尊父は教師です」といった具合に、敬語をまるで使えないことが笑い話にもなった(編者注:原文の中国語の雰囲気をあえて日本語化した)。

1970年代の台湾人学生は、子どものころから漢詩や儒教などの古典を熟読していた。大学受験のために必須だったからだ。そのため、奥深い中国文化を身に着けていた。一方で大陸の学生は文革など政治運動の関係で、たとえ最も優秀な学生でも、伝統文化の間には「断層」が存在した。

台湾は伝統文化重視で「文革発動」の大陸に対抗

大陸での中国語には欧米語の妙な直訳体も使われていた。例えば、英語で言えば「The Invincible Chinese」という言い回しを、「不可戦勝的中国人民」と訳した。英語の「Invincible」は「戦っても勝つことができない、不屈の」ということだが、「不可戦勝的中国人民」では「(相手に)勝つことのできない中国人民」とも理解できてしまう。台湾人留学生は、「中国人は戦っても勝てない、中国人は失敗したとでも言っているのか」と思ったという。

中華民国は大陸で政権の座にあった時期から、標準中国語の普及を推進していた。この標準中国語とは、清朝時代に北京の官僚が使っていた言葉が土台で、「国語(グオユー)」と呼ばれた。現在の中国大陸で使われている標準中国語である「普通話」とほぼ同じだ。台湾では日本統治時代まで中国語としては福建省の言葉に近い地元の言葉が使われていたが、1945年に日本勢力が駆逐されて中華民国が台湾を統治するようになってからは、「国語運動」が強力に進められた。また、中華文化の古典も必修になった。

蒋介石は、中国から渡った古典の高い教養を備えた文化人を尊敬し、優遇した。また、中国大陸で1960年代に伝統を否定する文化大革命が発生すると、台湾側は「われらこそ中華文化の正統な後継者」と強調するために、「中華文化復興運働」を推進するなどで対抗した。

政治の弊害から脱却した大陸、政治目的で「中国離れ」した台湾 /h2>

しかし皮肉なことに、台湾海峡両岸での中華文化の伝統は、23年までには大逆転していた。台湾の「脱中国化」の逆流はますます激しくなり、若い世代は「台湾独立」を促す教育の指導要領にミスリードされ、中華文化に対する親近感と尊敬の心を失ってしまった。例えば、民進党陣営などが打ち出した「108課綱領」は、教科書で扱う古典の文章の多くを追放した。このような動きには台湾でも反発が発生し、例えば台北市立第一女子高級中学(女子高等学校)の教師の桂芝氏は「破廉恥」と痛烈に批判した。

中国大陸では逆に、長年をかけて中華の伝統文化の復興に力が入れられてきた。マルクス・レーニン史観で中国の歴史を解釈することの弊害を捨て、若い世代には漢詩などを大量に覚えさせた。テレビでも、中華の伝統文化を紹介する番組が、多く放送されるようになった。多くの人が伝統文化になじみ、古典にある名文句を覚え、また会話で使っても理解されるようになった。さらには、インターネットも古典の普及を後押しするようになった。動画配信でも、古典を紹介し解説する番組が、人気を集めている。

全世界の華人(中国系住民)は、中国と台湾の「中華文化の盟主の座」が入れ替わったことを、複雑な思いで見ている。中国大陸が古典詩やその他の古典など中華文化を重んじる地として復活したことを喜ぶ一方で、台湾が「反中・仇中」の渦に巻き込まれたことを悲しんでいるのだ。24年の初頭の選挙で、台湾で政権交代が起きれば、中華文明を巡る台湾の状況も、元通りになるのかもしれないが。(翻訳・編集/如月隼人

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