クアラルンプール-シンガポール高速鉄道の早期実現を―香港誌が論説記事

亜洲週刊    2024年1月2日(火) 10時0分

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香港誌の亜洲週刊は、計画がいったんは中止されたマレーシア首都のクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道の計画再開を求める記事を発表した。写真はクアラルンプールの様子。

マレーシア首都のクアラルンプールとシンガポールを結ぶクアラルンプール-シンガポール高速鉄道の建設計画は、過去10年間あまり「行きつ戻りつ」を繰り返してきた。主な原因は、計画が前進しはじめても、マレーシア側が投入費用の莫大さなどを理由に、計画からの撤退を発表する状況が繰り返されたからだった。しかし香港誌の亜洲週刊はこのほど、同高速鉄道路線の建設については状況が整いつつあると論じ、かつ、早期に実現すべきだと主張する記事を発表した。以下は、同記事に若干の情報を追加するなどで再構成したものだ。

マレーシアは連邦制の立憲民主主義国家だ。政治上の最高指導者は首相だが、元首は国王だ。その国王は、各州のスルタン(君主)の互選により決められて任期は5年という、世界でも珍しい選出制度を採用している。国王や各州の君主に政治上の権力はないが、州や国の統合のシンボルであり、発言や意向には一定の影響力がある。特にこの1月に国王に就任するジョホール州のスルタンのイブラヒム殿下は、「やるべきことはやる」との考え方が強いとみられている。また、マレーシアの王族はここ数年の政治の混沌で、政局を安定させる役割をある程度果たしてきたことからも、現アンワル政権は、国王の考えをより尊重するとみられている。

そのイブラヒム殿下は、シンガポール紙のストレーツ・タイムズの取材に対して、「クアラルンプール-シンガポール高速鉄道道計画の再開の推進に力を入れる」と述べた。

マレーシアとシンガポールの両国は2013年に初めて高速鉄道計画を発表したが、マレーシアの政権の交代や政局の混乱が発生した。政権ごとに高速鉄道に対する見解が異なり、高速鉄道計画は18年と20年に2度遅延し、21年にシンガポール側が中止を発表した。マレーシアははシンガポール側に賠償を求めた。

アンワル氏が22年に首相に就任して「団結政府」を成立させて以降、マレーシアの政局は安定し始めた。マレーシア政府は、自らは出資せず、民間が自ら資金を投じて高速鉄道を建設すべきと主張するようになった。民間にとっても、極めて大きな負担になることは同様だ。

それでも高速鉄道のプロジェクトはビジネス界の支持を得ており、マレーシア当局によると、中国、日本、韓国、欧州、マレーシア企業など、世界各地から30社以上の企業が参加に関心を示しているという。高速鉄道計画については、1月15日にヒアリング書を完成させた後、計画書の募集手続きを開始する予定だ。必要な資金額が膨大なため、マレーシアと中国が共同建設することを提案するシンクタンクもある。

クアラルンプールとシンガポール間は人の往来が密で、旅客機の便数は世界で最も密集した路線である上に、車やバスで行き来する人も非常に多い。高速鉄道には市場のニーズがあり、高速鉄道の駅が開設されれば地元の経済発展にもつながるため、できるだけ早く進めて人々に恩恵をもたらすべきだ。

イブラヒム陛下が言及された「フォレストシティー」とは、中国企業の碧桂園とマレーシア企業がシンガポールに隣接する地域で共同開発した大型不動産開発プロジェクトだ。中国人が主な販売対象とされていたが中国政府による資金流出制限などにより、同プロジェクトの販売は大打撃を受け、現状は「ゴーストシティー」のような状況だ。

アンワル首相は23年11月に「フォレストシティー」を金融特区に指定すると発表し、このプロジェクトの起死回生に役立つことを期待してと表明したが、その後は関連する発表が行われていない。イブラヒム陛下はストレーツ・タイムズの取材に対して、高速鉄道について「必ず、『フォレストシティー』を経由させねばならない」として、路線変更により「フォレストシティー」の問題解决につなげることができるとの考えを示した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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