台湾新総統の頼清徳氏、就任演説で現状維持踏襲も中国側は反発

Record China    2024年5月24日(金) 16時0分

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台湾新総統に就任した頼清徳氏。就任演説で蔡英文前総統の中国との現状維持路線を踏襲したが、中国は「独立仕事人の本性が丸出し」などと非難した。写真は頼清徳氏のX(旧Twitter)より。

台湾の新総統に民進党頼清徳氏が20日、就任した。就任演説で頼氏は中国との関係について、「中国の一部」との本土側の主張を否定。蔡英文前総統の現状維持路線を基本的に踏襲したが、頼氏を「台湾独立派」と警戒する中国当局は「独立仕事人の本性が丸出し」などと非難した。

頼氏はかつて党内の急進派に属し、台湾独立を声高に主張していた。その後は抑制的な態度に転じて、昨年1月の記者会見では「台湾は既に独立国家であり、改めて独立を宣言する必要はない」と語っていた。

台湾・中央通信社などによると、就任演説で頼氏は台湾の現状維持を強調し、中国とともに平和と繁栄を追求したいと訴える一方、「台湾を併合しようという中国のたくらみは消えない」として、防衛力の強化に引き続き取り組む姿勢も明らかにした。

頼氏は「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」と明言。台湾と中国の正式名称を用いて双方が対等の関係だとした。中台双方の窓口機関が事務レベル折衝で「一つの中国」原則を口頭で認めたとされ、中国が対話の前提とする「1992年コンセンサス」には触れなかった。

蔡氏は2016年の就任演説で、中台を「(台湾海峡の)両岸」と呼び、明確に二国間の関係と位置付けることを避けていた。頼氏は蔡氏との微妙を差ものぞかせた。

さらに頼氏は「中華民国の国籍を有する者を中華民国の国民とする」との台湾の憲法の規定に言及。「中華民国の国籍」を持たない中国の人々を「国民」に含めない立場を示した。憲法は領土に関して具体的に明記していないが、頼氏が「憲法に反して、中国大陸を排除している」との指摘も出ている。

これに対し、中国の王毅共産党政治局員兼外相は「民族と祖先に背く恥ずべき行為をしている」と頼氏を名指し。「台湾問題は中国の核心的利益の核心だ」とした上で「『台湾独立』の分裂活動は台湾海峡の平和にとって最大の破壊的な要素だ」と述べた。

中国で台湾政策を主管する国務院(内閣)台湾事務弁公室は、頼氏が就任演説で中台は別の国家だとする「二国論」を展開したとして、「台湾海峡の平和の破壊者だ」と糾弾する報道官談話を発表。「台湾独立仕事人の本性が丸出し」とも断じた。改めて頼氏を「台湾独立派」と見なして、対話を拒む構えを示した形だ。

台湾でも中国との関係を重視する最大野党・国民党は「『二国論』をはっきりと表面化させ、国民の不安を招いた」と批判。国民党に近い主要紙・聯合報は「頼氏が台湾独立工作者であることを改めて証明した」と報じた。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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