Record ASEAN 2024年6月13日(木) 8時0分
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10日、第一財経は、中国の自動車メーカーが「日本の裏庭」と呼ばれる東南アジアでの市場獲得に向けて積極的な動きを見せていることについて、その状況と問題点について論じた記事を掲載した。写真はマレーシア。
2024年6月10日、中国メディアの第一財経は、中国の自動車メーカーが「日本の裏庭」と呼ばれる東南アジアでの市場獲得に向けて積極的な動きを見せていることについて、その状況と問題点について論じた記事を掲載した。
記事は、大規模なマレーシアの自動車ディーラーグループに投資する徐(シュー)さんが4月に開かれた北京モーターショーを訪れた際に、自動車産業があらゆる面で急速に変化していることを感じたとし、徐さんが投資するディーラーでは現地メーカー・プロトンの自社開発製品とともに中国の吉利汽車から輸入した製品が並ぶようになったと紹介。また、中国メーカーのマレーシア進出はプロトンを媒介とした吉利汽車だけにとどまらず、BYDや長城汽車のディーラーもクアラルンプールで最もにぎやかな市街地に設けられていると伝えた。
そして、中国の電気自動車(EV)の輸出台数増加に伴い、欧米では「中国製EV脅威論」が高まり、米国は中国製EVの関税を25%から100%に引き上げる措置を発動し、制裁関税発動を見据えた反補助金調査を昨年から進めていると指摘。このような状況の中、世界最大の政治・経済地域の一つである東南アジアがますます注目されるようになり、中国の自動車メーカーが続々と進出していると紹介した。また、中国企業の目的は東南アジアの単一市場ではなく、ASEAN全体ひいては世界市場全体のシェア獲得に向けた野望を持っているとした。
記事によると、中でもマレーシアでは新型コロナ中に政府が実施した経済活性化政策によって自動車販売台数が急速に伸び、ASEAN地域における重要な販売、製造地点になっているという。昨年の販売台数は前年比11%増の約80万台で、今年に入ってもさらに成長を続けており、昨年の急成長の反動により今年は販売台数が大きく減少しているタイやインドネシアに代わり、中国メーカーが特にマレーシアに熱視線を注ぐようになったという。
昨年のマレーシアでの中国車販売数は、最も多い奇瑞で4493台、2位のBYDで3728台と依然として非常に少なく、国内で中国系人口が20%と2番目に多いことなどから中国車にとっては非常に大きな潜在力を持った市場だと記事は紹介している。その一方で、インドネシアやタイとは異なり、マレーシアの自動車市場はプロトンとプロドゥアという2大国産ブランドが大きなシェアを持ち、公共交通機関が不便なためすでに世帯の保有率が高いという、タイやインドネシアにはなかった大きな障害も存在すると指摘。さらにはマレーシアは日本車の人気が非常に高く、30%ほどの市場シェアを獲得していることにも言及し、地元2大ブランドを加えれば残りの市場シェアは10%にも満たないと伝えた。
記事は、中国が東南アジアの自動車市場で勢力を拡大する上で大きな強みとなるのがEVだとし、現時点で東南アジア諸国のEV市場は小さいものの、各国が普及目標を次々と設定しており、市場規模は2020年の3万8000台から30年には100万台にまで拡大するとの予測もあると紹介。その現状はEV普及前夜の中国市場のようだと形容する一方で、政策がまだまだ不十分で、充電インフラも不足しているという課題があるほか、マレーシアでは石油を自国生産しているためにミネラルウォーターほどの価格で手に入るため、経済性の面でEVのメリットが薄いという問題も存在すると指摘。それでも前出の徐さんは、自動車のEV化は必然の流れであり、東南アジアでの急速な普及も「あるかないか」ではなく、「早いか遅いか」の問題だとの認識を示していると伝えた。
記事はこのほか、中国が昨年日本を抜いて世界一の自動車輸出国になったものの、海外生産能力という点では日本企業にまだまだ遠く及ばないという点を指摘。マレーシアはまだ日本企業の「領土」であり、中国企業がここで競争するためには、単に自動車を輸出するだけではなく、現地での研究開発、製造、人材育成、販売、サービスシステムを含む全体の産業チェーンで対抗しなければならないとした。また、かつて中国のバイク産業がこぞって東南アジア市場に入った際にシェアの奪い合いとなり不毛な価格競争を引き起こし、挙句の果てには共倒れするという苦い経験があることに触れ、現在集中的に東南アジア進出を進めている中国の自動車メーカーがバイク産業と同じ轍を踏まないよう気をつけるべきだとも指摘した。
そして最後に、「新エネルギー車の時代において中国の自動車が考えるべき問題は、いかにして時代のチャンスをつかんで東南アジアを『占領』するかだけでなく、この市場でどうやって持続可能な経営を実現し、現地市場の信頼を勝ち取るかだ」と結んだ。(翻訳・編集/川尻)
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