中国の探査機「嫦娥6号」の月サンプル研究論文は英語か中国語か、学界が注目―香港メディア

Record China    2024年6月21日(金) 6時0分

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19日、香港メディア・香港01は、中国の月面探査機「嫦娥6号」が月の裏側のサンプルを採取した成果についての論文が英語と中国語のどちらで発表されるかについて議論が起きていると報じた。写真は嫦娥6号。

2024年6月19日、香港メディア・香港01は、中国の月面探査機「嫦娥6号」が月の裏側のサンプルを採取した成果についての論文が英語と中国語のどちらで発表されるかについて議論が起きていると報じた。

記事は、嫦娥6号が数日前、世界初となる月の裏側のサンプル採取に成功したと紹介。近い将来、約2キロの貴重なサンプルが38万キロ離れた地球に届けられるとした。そして、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが18日、「歴史的な成果」と評した上で、研究論文を中国国内の学術誌に掲載すべきか、国際的な学術誌に掲載すべきか、中国語と英語のどちらで書くべきかといった議論が起きていると報じたことを伝えた。

そして、中国の科学界では英語での論文発表が学術コミュニケーション上の常識となっているほか、研究成果が国際的に認められるための道でもあると考えられているため、中国語で論文を書くことはいまだに「タブー」扱いされていると指摘。2020年に嫦娥5号が月の表側から土を採取した際も、研究成果が米国の科学誌「サイエンス」や英国の科学誌「ネイチャー」で発表され、国際的な学術界に大きな衝撃を与えたと紹介した。

また、多くの中国人研究者は母国語で論文を発表することの重要性や必要性を認識する一方で、その難しさに直面しているとし、20世紀半ば以降は英語で論文を書くことが世界的な慣例となり、今では世界の科学研究の98%が英語で発表されていると伝えた。

記事は、中国の発生・細胞生物学の学者で、中国科学院のアカデミー会員である朱作言(ジュウ・ズオイエン)氏が、中国では英語論文を重んじる学術評価システムの影響を受けて、研究者が英語で論文を発表する傾向が強くなっていると指摘し、「現行の中国の評価制度では、著名な英文誌に論文を発表することで高い評価を受けられる。 中国国内での昇進の機会や学問的栄誉に加えて、海外の科学界からも認められるため、研究者は中国語ではなく英語で論文を書く」と論じたことを紹介した。

その上で、中国教育部科学技術発展センターの元所長で、中国の主要学術誌「中国科技論文」編集長を務める李志民(リー・ジーミン)氏が2019年末に「中国の研究者にとって、中国語で論文を発表することは責任であり義務でもある。中国人が読んで理解できるようになってこそ、国民の科学リテラシーを向上させ、国の競争力を高めることができる」と主張したことを紹介。他にも、世界の研究ホットスポットを追いかけるのではなく、中国の発展に関わる重要問題の解決に研究を集中させるべきだという声も出ていると伝えた。(翻訳・編集/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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