和華 2024年7月5日(金) 23時40分
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より多くの日本人に中国のリアルを知ってもらいたい。そんな思いから中国四川省出身のヤンチャンは19年にYouTubeチャンネルを開設した。写真は四川省成都市。
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より多くの日本人に中国のリアルを知ってもらいたい。そんな思いから中国四川省出身のヤンチャン(楊小渓さん)は2019年にYouTubeチャンネルを開設した。2022年には「33地域の暮らしと文化が丸わかり!中国大陸大全」を出版するなど、名実共に日中の架け橋として活躍するヤンチャンに中国旅行の魅力を聞いた。
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■同書を出版したきっかけを教えてください。
中国は広大な面積を有しているため、地域ごとに生活習慣や食文化、言語が大きく異なります。しかし、私の周りの日本人の友人たちには「中国は大きい」というイメージだけが浸透しており、地域ごとの文化の違いや特徴を知る人が少ないように感じていました。そこで「より多くの日本人に中国各地の魅力を知ってもらうことで、より多角的な視点で中国を見てほしい。中国を知ることが中国語の学習モチベーションアップにつながってほしい。そして最終的には中国旅行をしてほしい」という思いから、私が開設したYouTubeチャンネルに中国各省・各自治区出身の友人をゲストとして招き、「各省TALKシリーズ」という動画を撮影しました。
幸いにも動画の内容が好評だったこともあり、書籍として出版することを企画したのです。2022年1月に書籍出版の企画を立て、同年9月に出版することができました。
■本を作るに当たって意識したポイント、中国文化や旅行に関して新たな発見などはありましたか?
日本人の多くが中国の歴史に興味を持っていること、また最近は「ガチ中華」などが流行していることから、グルメを地域ごとに紹介するように心掛けました。その他にも、より読みやすい内容にするため、できる限り口語表現で文章を書き、「あるあるネタ」や「トリビア」なども多く取り入れました。実際に本を手に取ってくれた友人からは非常に読みやすかったと好評でした。SNSのコメントでは、中国各地をまとめて紹介するような書籍はないので大変役に立ったなど、うれしい感想を数多くいただきました。もちろん、私自身も全ての省・自治区に行ったことはなく、多くの友人に取材を重ねながら書籍の編集をしました。その過程で今まで知らなかった中国の歴史や地域ごとの特性を知り、改めて中国を旅してみたいという思いが強くなりました。特に最近は仏教に興味があるので、敦煌に行って実際の壁画などを見て、歴史を感じたいと思いました。
■年末年始は中国に帰省されたそうですが、そこではどのような発見やエピソードがありましたか?
奇跡的なことに、今回帰省した時にちょうど敦煌で仕事の案件がありました。一番行きたい場所だった敦煌に赴き、現存する遺跡や壁画を通してシルクロードや仏教往来の歴史を見ることができて感動しました。また、街中で食べた羊肉がすべておいしかったことも感動的でした。特に現地の方に案内してもらって食べたゴビ砂漠産の羊の塩ゆでや串焼きは人生で食べた羊肉の中で一番おいしかったです。こんなに新鮮で無臭の羊肉は初めてで、その後四川省に戻って食べた際には今までおいしいと思っていた羊肉も臭いと思ったくらいでした。
また、プライベートの旅行ではチベットにも行き、チベット仏教の寺院を見学したほか、現地の方々とも交流することができました。チベットの多くの人は中国語のマンダリンを話せると思っていましたが、実際は多くの人が話せませんでした。そのため行く先々で「中国語のマンダリンを話せますか?」と聞き、話せる人を見つけてはその方に通訳をお願いしていました(笑)。
■中国での生活に何か大きな変化はありましたか?
デジタル技術の普及が著しいと感じました。北京、上海、深センなどの大都市では当たり前かもしれませんが、四川省内にある私の地元でもタクシーアプリで配車依頼をしなければ道端でタクシーが捕まらず、数多くの飲食店でも紙のメニューが廃止されQRコードで注文・決済するなど、地元にまでデジタル化の波が来たことを痛感しました。また、私の母親が普段TikTokでショッピングをしたり、祖母がテレビを付けながらTikTokを見ていたりするなど、特に中高年以上の層でスマートフォン依存が進んでいることも新たな発見でした。
■アフターコロナに多くの日本人が中国旅行するには、どのようなことが必要だと思いますか?
日本のニュースやSNSを見ると、中国は危険で衛生面も問題があると発言している人が多いイメージがあります。最近は中国も衛生面、特にトイレやマナーの改善に力を入れており、都市部のショッピングモールでは日本と同じくらいきれいで新しいトイレも導入されています。街中でポイ捨てする人を見る機会も少ないですし、街灯もあり、昔と比べて格段に安心で安全な国に発展していると思います。私がびっくりしたのは、深センのカフェに行った際、お客さんが机の上に荷物を置きっぱなしでトイレに行っていたことです。一昔前の中国ではあり得ないことです(笑)。このような中国の現実を発信して、少しでも興味を持った人が中国に旅行し、その人たちの発信を拡散していく。このような連鎖を繰り返していくことで、徐々に中国への観光が促進されていくと思います。
また、中国には最新のテクノロジーを駆使したエンターテインメントがあり、中国に行った際にはぜひとも体験したいと思っている方も多いと思います。しかし現状では中国の携帯電話番号や銀行口座と電子決済などをひも付けないと体験できないプログラムが多いのです。中国でこれらの体験をしたい方は、中国人の友人を作り、その方と一緒に中国へ渡航されることをお勧めします。
■ヤンチャンが考える中国のおすすめスポットは?
挙げれば数え切れないですが、まずはもちろん私の出身地の四川省です。パンダ、麻婆豆腐、三国志の蜀など、日本人が思いつく中国のイメージを全て網羅した場所です。私も日本人の友人を連れて四川省に行ったことがありますが、皆さんとても満足してくれます。四川省には数多くの少数民族が住んでおり、その村を訪ねる旅行もオススメです。上海の友人を連れてチャン族の村を訪ねたこともあります。村では昔ながらの伝統衣装や風習を継承している人々が生活しており、観光開発されていない村を訪ねると村長自らもてなしてくれる時もあります。
トレンド面ですが、日本でも数年前から中国の漢服やタピオカ、「ガチ中華」などが流行していますが、中国では最近、古代中国の街並みを再現した中国村があちこちで建設されていたり、内装や中身にこだわった最新かつ映える飲食店が増えています。歴史や自然資源、そして最新の写真映えスポットや科学技術など、中国には全ての年齢層の方が楽しめる観光資源が数多く存在していることを多くの日本人に知ってもらいたいですね。
■今後の目標や著書の続編の可能性についてお聞かせください。
コロナ禍ではSNSなどを通して中国文化や中国語の勉強方法などを中心に発信してきました。コロナが収まったので、今後は私のフォロワーになってくれた方々とリアルな場での交流イベントを開催していきたいと思います。また、中国語のコーチングに関する新規事業も立ち上げたので、これからはより多くの日本人が中国語を身につけるサポートができればと思います。
今回私が出版したのは、あくまで中国各地域の代表的な情報を載せた、いわゆる入門編の本です。いろいろな方から続編はないのかと聞かれますが、詳しい内容を載せ始めたら切りがありません(笑)。アフターコロナで日中間の渡航がしやすくなることが期待されるので、今後は動画を通してより多くの省・自治区の魅力を伝えていければと思っています。また、機会があれば「ヤンチャンと行く中国ツアー」を企画し、よりリアルな中国を皆さんに体験してもらえればと思います。(提供/日中文化交流誌「和華」・編集/藤井)
【楊小渓氏プロフィール】
株式会社妙妙 代表取締役。
中国四川省生まれ。上海海洋大学で日本語を専攻し、2011年に交換留学で来日。一橋大学商学研究科修⼠号取得。中国越境EC会社bolome日本支社に入社し、ライブコマースMC・商品BDを担当。17年から日中のSNS上でインフルエンサーとして活躍し、多数のテレビ番組やCMなどにも出演。19年10月にYouTubeチャンネルを開設し、登録者数は24年7月現在21万6000人超。
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