マレーシアとタイがBRICS加入へ、背景に現行国際秩序への不満―香港メディア

亜洲週刊    2024年7月15日(月) 9時0分

拡大

タイやマレーシアがBRICS加盟への動きを始めたことが分かった。背景には現行国際秩序への不満があるという。実現すればASEAN諸国として初めての加盟になる。写真はマレーシアの国家記念碑。

ブラジル、ロシア、インド、中国が2009年に発足させたBRICSは、24年の加盟国の大幅追加に続き、年内にもタイの加盟を認める可能性が出てきた。タイはすでに、BRICSに加盟意向書を提出しているという。また、マレーシアもBRICS加盟の意向を明らかにしている。これまでBRICSに東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国はなかった。香港メディアの亜洲週刊が伝えた。

タイ首相府報道官は同件について、「BRICSは非加盟国との協力を拡大する意向であり、今年10月にロシアで開催されるBRICS首脳会議に非加盟国を招待する計画だ。これはタイがBRICSグループへの参加を加速するチャンスであり、発展途上国のリーダーとしての役割を強化し、国際経済の行方を主導する意思決定への参加度を高めることになる。タイは、BRICSは多国間システムとグローバル・サウス諸国の協力を強化する上で重要な役割を果たすことができ、加盟はタイの国益に合致すると考える」と説明した。

タイやその他の国がBRICSに加盟すれば加盟国間の経済や社会の結びつきが強化され、加盟国が新たな発展の機会を開拓することに役立つ。タイ国内では、タイがBRICSに加盟すれば、経済や政治について西側諸国の動きとバランスを取り、貿易や投資、金融のリスクを分散させるためにも有効との見方が出ている。

マレーシアのアンワル首相も、自国がBRICSへの加盟の正式手続きをまもなく開始すると発言している。アンワル首相は、マレーシアは経済関係においてこれまで中立的な立場を維持してきたが、BRICSは世界的な範囲で一定の抑制と均衡の役割を提供することができると述べた。

マレーシアの大手金融グループのCIMBのエコノミストは、「マレーシアがBRICS加盟すれば、貿易や投資の機会の増加や戦略的同盟の強化など、多くのメリットがもたらされる」と述べた。さらには、マレーシアの脱ドル化と金融安定の強化に向けた取り組みが後押しされることになるという。

ただし、マレーシアにとっては競争の激化や国内での反対の声、さらに「反西側」のイメージを作られる可能性などのリスクも存在する。そのためマレーシア国内では、リスク低減のためには慎重な考慮と戦略が必要との声が出ている。

タイやマレーシアがBRICSへの加盟を望む背景には、先進諸国により構築された現行の国際秩序への不満があるとされる。一方で、現在のBRICS構成国であるロシアや中国、さらにイランは政治面や軍事面で米国と対立しているが、タイやマレーシアが望むのは経済分野に限られており、思惑は必ずしも一致しないとの見方もある。

ただし西側諸国には、例えばタイがBRICSに加盟すれば、中ロなどの意向の影響を受け、西側の貿易相手国の疑念を引き起こし、貿易などに支障が出る可能性もあるとの見方もある。タイと現在のBRICS諸国との貿易額はタイの貿易総額の22%を占め、G7との貿易額の割合は26%であり、タイにとってはいずれも重要な貿易パートナーだ。タイがBRICSに加盟すれば、BRICSと西側先進国の双方をにらみながらの微妙なバランス取りが必要になると考えられる。

BRICSは加盟国の非干渉、平等、相互利益などを謳(うた)っているが、詳細な規約などはなく、加盟については非常に柔軟だ。発足の経緯では、まずブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国が09年に首脳会談を開催した。この時点では前記4カ国の国名の頭文字をとってBRICsとされていた。そして翌10年に南アフリカが加盟したことで、BRICSと書かれるようになった。さらに、23年8月の第15回BRICS首脳会議では、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦が24年1月1日付で加盟することが発表された。ただし、アルゼンチンはBRICSへの加盟申請を撤回し、サウジアラビアは24年1月中旬になり、BRICSには未加盟と発表した。

南アフリカのパンドール国際関係相は24年2月4日、この時までにBRICS加盟への関心を伝えてきた国は34カ国に達すると述べた。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携