少子高齢化が急進行する中国、幼稚園が次々にお年寄り施設に―仏メディア

Record China    2024年7月15日(月) 5時0分

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少子高齢化が急速に進行する中国では幼稚園の閉鎖が相次いでおり、閉鎖された幼稚園がお年寄り用の施設になる例も目立つ。写真は山西省太原市内の幼稚園

少子高齢化が急速に進行する中国では幼稚園の閉鎖が相次いでおり、閉鎖された幼稚園がお年寄り用の施設になる例も目立つという。フランスメディアのRFIが伝えた。

中国政府によると、中国では2023年に幼稚園1万5000カ所近くが閉鎖され、園児の募集人数は前年比で530万人減少した。山西省太原市に住むLさんも、23年に05年から運営してきた幼稚園を閉園した。そして施設をリニューアルして、「青年の印象」という名称にして23年12月に運営を開始した。音楽やダンス、その他を教える、退職者のための施設だ。同施設で学び、楽しむ高齢者は約100人に達している。

Lさんは、幼稚園を運営している時期には、子どもの減少が顕著になっていったので、運営が不可能になった際の施設の活用法を考え続けていたという。

Lさんによると、「青年の印象」を利用する高齢者の目的は、自分の若いころの夢を実現することだ。施設内を見ると、スタイリングの教師に率いられて、伝統的な衣装を身に付けて、手には赤い油紙を貼った傘を持って練り歩く女性の一群がある。どの女性の髪形も実に見事だ。別の教室では、生徒らが半円形に座り、中国の革命歌に合わせてアフリカの太鼓を叩いていた。

63歳のHさんは、この施設に通うようになったことで、退職後の自信不足が克服できて、新しい友人もできたと説明した。施設に来るようになる前は、自分の生活では文化面が非常に貧弱で、「暮らしていく意味がないと感じていました」という。Hさんによると、この施設に来る人は、「座して老けるのを待つ」以外の道を選んだ人だ。

元幼稚園教師だったYさんは、高齢者向けのクラス活動を主宰するようになった。ただし、新しい職種になじむまでには、やや時間がかかった。Yさんは「子供は大人が言ったことを全て信じますけど、高齢者は違います。高齢者は自分が何を望んでいるかも分かっています。ですから、彼らとどのようにコミュニケーションをすればよいのか、これからも考えていかねばなりません」と説明した。

公式発表によると、中国では23年に60歳以上の人口が1700万人近く増加した。研究機関であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニットによると、中国では60歳以上の人の数が総人口の20%以上を占めており、35年までに総人口の3分の1近くに上昇するとみられる。

中国政府は25年までに全国を対象とする高齢者介護システムを構築する計画だが、中国では高齢者用施設が不足しており、さらに深刻な地域格差が存在する。中国当局は7月中に、高齢者に関連する分野の経済の構築を議論する重要会議を開催する。高齢者に関連する経済分野は、医療関連から高齢者向け旅行までと、幅が広い。関連分野の経済規模は、2035年までに300億元(約653億円)に達すると予想されている。

中国では医療体制の改善などで平均寿命が伸びると同時に、出生率の低下が急速に進んでいる。中国政府は出生率の引き上げに努力しているが、効果を出せていない。その結果、世代に関する人口バランスの歪みが深刻化している。

運営する幼稚園を閉園して高齢者向けにしたLさんは、騒がしくて活発に動き回る園児がたくさんいた時代をとても懐かしく思っている。Lさんは、記念の品として保存しているベッドや机を指さして、「この幼稚園には、思い入れがたくさんありました」と話していた。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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