亜洲週刊 2024年7月23日(火) 5時0分
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このところ、中国と韓国のEVお57よび電池メーカーのタイとインドネシアへの進出が目立つ。タイとインドネシアには、進出先としてそれぞれ別の魅力がある。写真は中国EVメーカーのBYDの製品。
香港メディアの亜洲週刊はこのほど、中国と韓国の電気自動車(EV)関連メーカーがタイとインドネシアに積極的に進出していると紹介する記事を発表した。
東南アジア各国のEV産業が活況を呈している、中でもタイとインドネシアでの動きが目立つ。中国のBYDはタイに東南アジア初の工場を完成させ、韓国の電池メーカーがインドネシアに東南アジア最大のEV用電池工場を開設したことは、両国のEV関連業界の野心と、両国の関連企業が東南アジアのEV市場を先取りしようとする狙いを示すものだ。
BYDはタイのラヨーン県に工場を開設するに当たって、4億8600万ドル(約770億円)を投じた。同工場の年産能力は15万台で、生産した自動車の多くはタイ市場だけでなく東南アジア各国と欧州に輸出する。
タイは東南アジア最大の自動車生産国だ。成熟した自動車産業チェーンが存在することも、大手自動車メーカーにとっては魅力だ。タイはまた、貿易障壁も比較的低く、政府はEVメーカーが自国に工場を建設する際に輸入する完成車や部品への関税を引き下げている。中国企業としてはBYD以外にも、年産能力は12万台の長城汽車のタイ工場も今年1月に創業を開始し、年産能力10万台の長安汽車のタイ工場も2025年に創業を開始する予定だ。
中国のEVメーカーが東南アジア市場をますます重視しているのは、本国に近い以外にも、欧州が最近になり中国製のEVの関税を引き上げたことも関係している。アナリストは、中国国内の消費減速に加え、欧州の関税引き上げに伴い、中国の過剰在庫が周辺市場に流入し、現地の産業に衝撃を与える可能性があると見ている。
2023年のタイにおけるEV市場のシェアはBYDが40%で、哪吒(Netta)が17%、長城汽車が16%だった。中国企業3社だけで、シェアの合計は7割を超えた。
中国のEVメーカーは、シェア獲得のために値下げ戦略を採用している。例えばNetaは最近、V-II SUVの価格を5万バーツ(約21万7000円)引き下げた。BYDのドルフィンの価格は、現在までに23年下半期の発売時よりも20%近くも下がった。BYD車のタイでの販売価格は今も中国国内よりかなり高いため、タイではまだ値下げの余地があるとみられている。
しかしタイではBYDの「値下げ作戦」に対して、値下げ前に車を購入した一部の人がSNSなどで「だまされた」と不満を示している。セター・タウィーシン首相もBYDに、消費者保護と適切な価格設定策を確保するよう促した。
インドネシアではまず、EV絡みで韓国資本による電池関連の動きが発生した。西ジャワ州カラワン県では3日、インドネシア初で東南アジア最大規模のEV用バッテリー工場が稼働を開始した。同工場を設立したHLIグリーンエナジーは、韓国の電池メーカーであるLGエナジーソリューションと韓国自動車メーカーのヒョンデのジョイントベンチャーだ。同工場で生産されるバッテリーの大部分は、ヒョンデのKONAに搭載される。
インドネシア投資相によると、同工場は21年に建設を開始し、少なくとも12億ドル(約1900億円)が投じられた。年間で生産される電池の総容量は10ギガワット時で、EV15万台分への必要を十分に満たすという。同工場の建設では第2期分も予定されている。投資額は20億ドル(約3100億円)で、年産能力は20ギガワット時分とされる。
ヒョンデはインドネシアを東南アジア地域の生産拠点としており、年産能力は25万台に達する。同社のIONIQ 5EVは、インドネシア市場で中国の五菱汽車のAir EVと市場競争を展開している。ヒョンデはインドネシアで最も売れているEVブランドで、市場シェアは44%だ。五菱汽車はインドネシアに進出して現地に工場を設立した初めての中国EVメーカーで、市場シェアは40%だ。BYDはインドネシアにヒョンデよりも大規模な工場を建設する計画だ。
インドネシアでの23年のEVおよびハイブリッド車の販売台数は7万1000台だったが、24年には20万台を目標としている。
リチウムイオン電池にとって、ニッケルも重要な原料の一つだ。世界最大のニッケル生産国であるインドネシアは、30年までに年間60万台のEV生産を実現してEV生産大国になることを目指している。インドネシアの自動車業界における狙いはEVに限らず、日本の自動車メーカーが主導するハイブリッド車の開発も奨励している。(翻訳・編集/如月隼人)
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