中国メディアの環球時報によると、米旅行業界ニュースサイトのSkiftにこのほど、中国人旅行者について、「財布の紐（ひも）をしっかり締め、支出に見合った体験を重視するようになってきている」とする記事が掲載された。

記事によると、中国は2023年に海外旅行支出額でトップに返り咲いた。支出額は1965億ドル（約30兆円）。この堅調な支出にもかかわらず、新たな傾向が生まれている。中国人旅行者はより価値の追求に重点を置くようになった。

北京に本拠を置くデジタルマーケティング会社、龍途国際（ドラゴン・トレイル・インターナショナル）がこのほど発表した中国の海外旅行に関する調査によると、経済情勢と旅行費用の上昇により、中国の消費者は支出に対してより慎重になっている。費用対効果の高い旅行が好まれるにもかかわらず、より良い体験のためにより多くの金を払う意欲のある人が回答者全体の3分の1に上った。

中国の海外旅行に影響を与えるもう一つの障壁として浮上しているのが安全上の懸念だ。パンデミック後の中国人旅行者は、個人の財産、健康、衛生、環境の安全性を重視している。旅行会社は、海外の目的地や企業がこうした懸念を解消できるようなカスタマイズされ、パーソナライズされた多様な旅行商品を開発することで、売り上げを伸ばすことができると示唆している。

こうした懸念が高まった結果、予約のリードタイムがさらに短くなり、旅行者は、査証（ビザ）の手続きやツアー、フライト、ホテル、レンタカーの予約を約1カ月前にするようになっている。

中国人旅行者が、伝統的な観光からパーソナライズされた柔軟な旅行体験を求めるようになるにつれ、小グループツアーやカスタマイズツアーが人気を集めている。中国の旅行会社は130を超える国・地域への団体旅行を販売できるがその人気は低下している。旅行会社の92％が最も人気があるのは20人以下のグループだと回答している。

旅行者の年齢層も変化しており、市場を主にけん引しているのが1990～2000年代生まれの若い世代だ。旅行会社は、友人との旅行、家族旅行、カップル旅行を最も有望視している。（翻訳・編集/柳川）