中国が手掛けるタイの高速鉄道、遅々とした動きに中国外相が「喝!」―香港メディア

亜洲週刊    2024年8月12日(月) 20時0分

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香港メディアの亜洲週刊は、中国との協力で建設が進むタイの高速鉄道建設を紹介する記事を発表した。建設の進捗が遅く、中国の王毅外相が重要性を強調したところ、タイ側にも動きが見られるようになったという。

香港メディアの亜洲週刊は10日付で、中国との協力で新たな動きを見せるタイ国内の高速鉄道建設を紹介する記事を発表した。記事は最後の部分で、タイ国内には日本の協力で建設されることが10年近く前に決まった高速鉄道路線もあるが、着工もできていないと指摘した。以下は、同記事主要部分を再構成したものだ。

臨海都市の首都バンコクからラオスを経由して昆明へ

タイは、自国内に高速鉄道4本を建設する考えだ。中国との提携で進められているのは同国首都で南部の港湾都市でもあるバンコクと、同国北東部にあるラオス国境の都市であるノンカイを結ぶ北東線だ。行程610キロの全線が開通すれば、現在は約9時間がかかるバンコクからノンカイまでの所要時間が3時間15分に短縮される。また、ラオスを経由してバンコクから中国の雲南省昆明までの直通列車も運行されことになる。

北東線の第1期はバンコクとバンコク北東にあるコラート(ナコーンラーチャシーマー)を結ぶ253キロの区間で、現在は4時間の所要時間が約1時間半に短縮される。着工は2017年12月で、28年の完成を目指す。建設費は1794億バーツ(7500億円)を見込む。

第2期分はコラートからラオスとの国境のノンカイまでの357キロで、現在は5時間の所要時間が約2時間に短縮される。25年の着工と30年の完成を目指す。建設費は3413億バーツ(約1兆4000億円)を見込む。

タイ側は紆余曲折して遅々たる動き、中国外相が「喝!」

タイの高速鉄道プロジェクトは、10年に当時のアピシット首相時代に検討が始まったが、タイの政局が不安定だったなどで紆余曲折があった。14年11月には、プラユット首相が率いるタイ政府と中国側が、中国昆明からタイ湾までの国際鉄道建設のタイ国内部分を担当する合同委員会を設立することで合意し、覚書を交わした。

そして、中国側は実行可能性の研究や、システム設計、トンネルと橋梁の建設、軌道敷設を行うことになった。タイ側は、社会と環境に対する影響の評価を行い、建設用地を収用し、一般的な土木工事を担当し、電力と建築資材を供給する。中国とタイの両国政府は16年に建設協定を結んだ。建設作業は中国の標準設計を採用した中国企業の中国建設が請け負うことになった。

中国は同路線について、開業当初の3年間にわたり運営と補修を行う、3年目から7年目にかけては両国が共同で実施する。その後はタイ側が全てを行うが、中国側は運営と維持補修のための訓練を提供する。

しかし、建設工事の進展は遅滞した。24年年初にタイを訪問した中国の王毅外相は、セター・タビシン首相と会談した際、タイ国内の高速鉄道は東南アジアを貫く高速鉄道の一部であり、中国とタイは「一帯一路」共同建設の重点プロジェクトとして、タイの高速鉄道建設を加速せねばならないと強調した。タイ高速鉄道北東線の建設工事では、今年6月25日時点の完成度が約34%とされる。

タイのスラポン交通副大臣は、タイ国有鉄道は交通省と内閣の承認を得た上で、年内に企業側が動けるようにするために、第2期工事関連のプロセスを加速すると述べた。

日本がタイ国内で獲得した高速鉄道路線に動きなし

タイの高速鉄道については、北東線以外にもバンコクのドンムアン空港、スワンナプーム空港、ウタパオ空港を結ぶ東線1期の建設が計画されている。完成は29年で、建設費は約2245億バーツ(約9600億円)を見込む。東線の建設はタイ政府と民間企業の重要な協力プロジェクトであり、同国の東部経済回廊内の重要なインフラ建設でもある。タイ政府は、関連契約が年内に締結されれば、タイ国有鉄道は今年中に計画を審査し、年内にも着工できると表明した。

タイ高速鉄道の北線と南線は、いずれも計画段階だ。バンコクとチェンマイを結ぶ北部高速鉄道については、日本が低金利と技術移転を認めたことで、建設権を獲得した。しかし双方は15年に同線建設についての了解覚書を締結したが、10年近くたった現在も着工の動きはない。

専門家によると、同プロジェクトの建設費は4200億バーツ(約1兆7000億円)に達しているが、タイ側は資金を拠出できず、日本側の建設業者である川崎重工業も、最終的に利益が得られないことを懸念して出資しようとしないため、プロジェクトの実行は遠のいた状態という。

中国が手掛けたインドネシアの高速鉄道はすでに開通し、タイでも高速鉄道の建設が進んでいる、東南アジアでの「高速鉄道争奪戦」では中国が日本をリードしている。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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