「モバイルバッテリー」に変身する新エネルギー自動車―中国

人民網日本語版    2024年8月14日(水) 23時30分

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V2Gとは新エネ車が充電ポールを使い電力網と双方向で充放電を行うことを指す。従来の単一的な電気の流れの方向が変わり、新エネ車が電力網の「モバイルバッテリー」になった。

江蘇無錫V2G実証エリア内で、白い新エネルギー自動車が充電ポールのついた駐車スペースに停められていた。オーナーの祖瑞さんが充電コネクタを接続し、QRコードをスキャンすると、画面には新エネ車バッテリーの各種パラメータが表示され、放電インジケータが点滅し続けた。人民日報が伝えた。

この自動車が充電ポール付き駐車スペースに来たのは、充電をするためではなく、電気自動車から電力網に給電する「放電」をするためだった。同車は約30分にわたり計18.5kWhの放電を行った。

祖さんはネット配車サービスのドライバーで、最近よく「放電」を促すメッセージを受け取っていたという。「とても斬新で、しかもキャンペーンに参加すれば還元メリットもあるので、試しに来た」と話す。今回の送電網への放電で、システムから55.5kWhの電力が祖さんの充電アカウントに還元された。還元された分で、祖さんはいつでも充電ポールで自分の車に充電できる。祖さんは「1回の放電で得られる収益は1日分の電気代に相当し、大きな節約になる」と述べた。

同エリアはこのほど、正式に商用化を開始した。いわゆるV2G(Vehicle to Grid)とは、新エネ車が充電ポールを使い電力網と双方向で充放電を行うことを指す。従来の単一的な電気の流れの方向が変わり、新エネ車が電力網の「モバイルバッテリー」になった。現在まで1200台以上の新エネ車がこれに参加し、累計で2万4000kWh以上を放電している。

国家発展・改革委員会、国家エネルギー局、工業・情報化部などの当局は1月に「新エネ車と電力網の融合インタラクションの強化に関する実施意見」を発表した。長江デルタ、珠江デルタ、北京・天津・河北・山東、四川・重慶などの条件が相対的に成熟している地域で初期的にV2G大規模実証実験を実施し、2025年末までに5以上の実証都市および50以上の双方向充放電実証プロジェクトの完成を目指している。

国網無錫電気自動車サービスの謝照軍会長は、「新エネ車は充放電装置により、公共電力網やマイクログリッドなどの電力供給システム、またはビル・住宅などの配電システムと結びつき、動力電池を『動くエネルギー貯蔵装置』として電力網の一部に組み入れ、電気自動車と電力網の間のエネルギー・情報の流れの双方向のインタラクションを実現する」と述べた。

毎年の電力消費ピーク期になると、多くの都市が電力不足や電力供給の逼迫の問題に直面し、電力資源のエリアをまたぐ調節が必要になることが多い。新エネ車は優れたエネルギー貯蔵装置に相当し、それらを調整して電力網に送ることができれば、幅広い可能性が広がる。

それでは、新エネ車の放電の可能性はどの程度なのだろうか。無錫V2G検証拠点、無錫新呉区公共交通分公司路線バス停、無錫広盈集団事務パーク、無錫宜興市白塔村駐車場で先ごろ、10ブランドの新エネ車59台による電力網への集中的な放電が行われた。1台の新エネ路線バスを除き、その他の車両は平均で30分放電を行い、最大放電出力は2100kWに達した。ピークカット量は3150kWhで、夏場の400世帯余りの1日の電力消費量を賄える。

現地のV2Gキャンペーンは招待制で、主に微信グループや特定の携帯アプリで放電ユーザーを募集している。国網無錫電力供給公司の責任者の劉航氏は、「現段階の総放電量は電力網の一時的な対応ニーズに用いられ、まだいつでも放電できるわけではない。V2Gの放電量と放電時間帯についてはまだ調整中だ。ユーザーは今後、リアルタイムの電気料金と電力網の需要に基づき24時間の放電を実現することにより、V2Gの持続可能なビジネスモデルがさらに改善される」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/YF)

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