Record China 2024年8月18日(日) 21時30分
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中国政府は結婚手続きについての法改正を進めている。大きな改正点の一つに、戸籍を記載した「戸口簿」の提示が不要になることで、結婚観が変化する可能性があるという。写真は中国の身分証、結婚証書、戸口簿。
中国ではこのほど「結婚登記(結婚登録)条例」の改正案が「意見募集稿」として発表された。主要な改正点は結婚と離婚の登記に戸口簿(戸籍簿)が不要になることや登記地域管轄の廃止などだ。経済金融情報サイトの証券之星が掲載した記事によれば、中国では「結婚登記条例」の改正は、手続きの利便化だけでなく、結婚観の変化をもたらす可能性があるとして、注目されている。なお、中国では全国法でも「条例」の名称が使われる場合があり、「結婚登記条例」も全国法だ。戸口簿とは、行政側の戸籍記録と同じ内容が記載された冊子で、通常は世帯ごとに1通を保管している。日本ならば戸籍謄本などの提出が求められる手続きでは、この戸口簿を提示することになる。
これまで、結婚登記をしようとするカップルは、戸口簿の提示が求められることに、不便さや不合理さを感じることがあった。中国では自らの身分を証明するカードである身分証が発行されているからだ。身分証を発行するのは公安局(警察)であり、取得や保持は義務ではないが、宿泊施設や長距離交通機関の利用、各種手続きに必要な場合が多いので、多くの人は取得している。
また、中央政府民生部は2012年に、婚姻登記情報の全国ネットワーク化とオンライン審査を実現すると発表した。実現すれば、技術上の問題として結婚登記に際しての戸口簿の審査は廃止が可能になる。中国政府が結婚登記についてのこのような改革を進めて行けば、結婚登記の手続きは簡素化されることになる。
しかし、現在進行中の結婚登記の規則改正は、婚姻手続きの利便化だけでなく、婚姻についての意識改革を促進するとの見方がある。中国では、中華人民共和国の成立の翌年の1950年に施行された婚姻法で、結婚は「男女双方の完全に自由な意志のみに基づく」と明記された。しかし実際には、通常は世帯主が保管する戸口簿の提示が求められることが、若い世代の結婚に親が干渉することに繋がっているとの指摘があった。また、配偶者を失った高齢者が再婚を望む場合も、戸口簿を保管する息子や娘が「妨害」する場合もある。
また、中国には、日本の「結納」に相当する「彩礼」という風習があり、古い考え方を持つ親や高齢の親族が、膨大な額の彩礼を求めて結婚を望む若者が経済面や精神面で苦しむことがある。結婚の手続きで戸口簿を提示する必要がなくなれば、「家族や親族の反対を押し切っての結婚」がしやすくなることは、間違いない。
証券之星が掲載した記事によると、「結婚登記条例」の改正を紹介する報道には、「若い人が戸口簿を持っていなくても勝手に結婚できるようになったらどうなるのか」といった危惧のコメントも寄せられている。記事は、このような懸念こそ、「結婚には家族のチェックが必要」という考え方の根強さの反映と指摘。「結婚登記条例」の改正は、このような結婚の自由に干渉する社会習慣を打破しようとするものと論じた。
現時点では、「結婚登記条例」の改正は、「意見募集稿」が発表された段階だ。中国では法律の改正時などに「意見募集稿」が発表されることが珍しくない。社会の各界から広く意見を求めて参考にするための作業で、「意見募集稿」が修正されることもある。
証券之星の記事は、いかなる改革にも論争と懸念が伴うとして、「結婚登記条例」の「意見募集稿」についても、改正がもたらす利便性と進歩性を見出すと同時に、出現の可能性がある問題や課題についても注目せねばならないと指摘。ただし、結婚については自由と平等の価値観を積極的に提唱すべきであり、より多くの人に、結婚とは個人の問題であり、自らが選択し、それに応じた責任を負うべき問題だと認識してもらうべきと論じた。 (翻訳・編集/如月隼人)
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