中国社会の悲哀、ぎりぎりの生活を描く映画「逆行人生」がヒット―海外メディア

anomado    2024年8月25日(日) 9時20分

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この夏、中国映画界における最大のヒット作の一つでは、中国が抱える経済的な難問が取り上げられている。数百万もの人々のぎりぎりの生活の悲哀を描く映画の題名は「逆行人生」だ。写真は「逆行人生」。

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この夏、中国映画界における最大のヒット作の一つでは、中国が抱える経済的な難問が幾つか取り上げられている、とロイター通信が報じた。不安定な雇用市場、社会的な転落、単発で仕事を請け負う「ギグワーク」で働く数百万もの人々。ぎりぎりの生活の悲哀を描く映画の題名は「逆行人生」だ。

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ロイター通信によると、「逆行人生(Upstream」 は、リストラの対象となった中年プログラマーを主人公とする物語だ。年齢ゆえにホワイトカラーの仕事は見つからず、家族を養うために、危険を伴うギグワーク、フードデリバリーの仕事に身を投じる。

コミカルな役柄で知られる徐崢が監督・主演を務める「逆行人生」では、中国で人気の料理宅配サイト経由で、いわゆる「ラストワンマイル」を駆けずり回る薄給の宅配ドライバーが登場する。映画の中にはドライバー間、サイト間の競争は容赦なく、休憩時間もなしに1日14時間以上にも及びかねない勤務時間の中で危険な近道を選ぶ様子もある。

「逆行人生」に登場するドライバーたちを雇っている企業は明確に特定されていないが、彼らが身に着けるヘルメットとユニホームの明るい黄色は「美団」のブランドカラーを思い起こさせる。

映画チケット販売サイト「猫眼電影」によれば、8月13日の時点でこの作品の観客動員数は約500万人に達した。

「逆行人生」

「逆行人生」がトップクラスの興行収入を稼ぐ背景には、デフレ経済における不安感、そして料理宅配ドライバーにのしかかる現実的なプレッシャーが、いずれも今まさに関心の的になっている状況がある。

ここ数年、中国映画でヒットする定番ジャンルといえば、戦争映画や歴史ドラマ、恋愛ドラマあたりが普通で、経済問題にフォーカスした作品のヒットは異例だ。

ネット上では「逆行人生」について、近年の中国映画では検閲の恐れもあるためになかなか取り上げられない社会問題に取り組んだとして称賛する映画評も見られる。映画情報サイト「IMDb」に似た中国のオンライン映画データベース「豆弁電影」で、ある観客は「この問題を取り上げるとは実に大胆だ」と評した。

別の観客は「頑張って働くだけでは必ずしも生活は良くならないことをこの作品は示している」と書いている。「結婚せず、子どももつくらず、家も買わないことが良い生活を実現する唯一の道かもしれない」との投稿もあった。

一方で「逆行人生」のハッピーエンドに納得しない観客もいる。主人公はヒーロー並みの活躍でたくさんの配達をこなし、延滞していた住宅ローンの返済にこぎ着ける。SNSサイト「小紅書」に投稿されたレビューでは「作品の娯楽性を強めるために真実味が幾分、犠牲になっている」とされた。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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