Record China 2024年8月25日(日) 7時0分
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23日、仏RFIの中国語版サイトは中国のピアノ製造工場とピアノ教室の現状についての記事を掲載した。資料写真。
2024年8月23日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、仏紙「ル・モンド」の上海特派員シモン・ルプラット氏が取材した中国のピアノ製造工場とピアノ教室の現状についての記事を掲載した。
記事は初めに「ピアノの街」と呼ばれる浙江省湖州市徳清県洛舎鎮の状況について紹介した。「上海の西に位置するこの農村は、10年前に中国楽器協会から『ピアノの街』との評価を得ていた。2020年の時点で114軒の企業、4000人の従事者が存在し、年間製造台数は5万台を超え、総生産額は約5億元(約100億円)に達していた。だが、小さいピアノ工場を経営していた夫婦は今年の夏に操業停止を決めた。24年に入ってから注文が激減し、在庫は増え続けるばかりで、昨年から苦しい生活を強いられていたためだ。この町全体を見ると、この夫婦の隣近所を含めた数十軒の製造業者がすでに倒産しているという。まだ製造を続けている工場でも、3年前は1万元(約20万円)以上で売れたピアノが、今では7000~8000元(約14万~16万円)まで値を下げないと売れないという」と伝えた。
次に記事は、このような事態が起きた背景について説明した。「長い間、中流階級の社会的ステータスでもあったピアノは、中国を世界トップのピアノ市場へと変化させた。だが今では不景気の犠牲になってしまった。23年の新型コロナ流行の収束から不動産危機の事態となり、未来に希望を持てなくなった一般家庭の消費水準は流行前に戻ってはおらず、必要でない物を買うことを避けるようになった。他にも21年の教育改革の一環で、ピアノなど芸術分野の優秀者に加点していた従来の入試制度を3年前から段階的に縮小し、今年に入って完全に廃止されたことが大きく影響している。今年初め、中国の2大メーカーの『海倫』と『珠江』が発表した第1四半期(1~3月)のデータが危機の深刻さを物語っている。深セン証券取引所に上場している2社のグループ全体の売上額は前年同期比で約40%も下落し、欠損を計上している」と伝えた。
記事は現在のピアノ教育を巡る状況についても紹介した。「上海でピアノを教えている27歳の女性を取材したところ、出生率の低下、経済成長の鈍化、教育改革などさまざまな不利な要素のほかに、両親が子どもたちの感受性を重視するようになった点を挙げた。新型コロナの収束後、休日や週末に外出する家庭が増えた。つまりじっくり学習する時間が減ったという意味でもある。彼女が教えている上海市の施設に置いてあるのは日本のメーカー製の縦型ピアノだという。彼女は生計を維持するためにショッピングセンターの外で露天商をするなど、他にもいろいろ試したようだが、うまくいかなかったようだ」と伝えたほか、「10歳の女児を持つ40歳の女性を取材した。彼女は悩んだ末に娘にピアノを習わせるのをやめたという。娘はずっと楽器に興味がないらしく、21年の教育改革でピアノができても学校で得することがなくなり、宿題が増えた。今では毎日45分で授業料500元(約1万円)のピアノの授業もコストパフォーマンスが低いと感じ、娘には時間があれば運動と読書をさせ、5年前に2万元(約40万円)で買った珠江のピアノを、今年初めに5000元(約10万円)で売りに出した」と伝えた。
記事は最後に、現状で考え得る打開策として輸出と多角化に言及し、「音楽学校からの注文で60台のピアノを組み立てていた工場を取材すると、個人で購入する客が激減したこともあり、100人いた作業員を30人に減らし、うち15人を家具製造のラインに回し、ピアノ注文がない中を多角化でやりくりしていた。また、2万~3万元(約40万~60万円)のグランドピアノを製造している工場を取材すると、米国や東南アジアなど海外への輸出が、2年前の10%から30%に増えたという」と伝えた上で、「政府は税収に貢献しない洛舎鎮のピアノ工場を更地にして、もっと活力がある別の産業に跡地を活用させようと考えているようだが、家族経営の工場が多いピアノ工場の関係者はこのまま諦めることを良しとせず、売り上げが戻ったらまた製造を再開できるよう準備しているようだ」と伝えた。(翻訳・編集/原邦之)
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