藤本タツキ氏の傑作「ルックバック」はすべての創作者へのラブレター―台湾コラム

Record China    2024年9月1日(日) 8時0分

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27日、台湾版Yahoo!のYahoo新聞に、日本の漫画「ルックバック」は作者・藤本タツキ氏がすべての創作者へ宛てて書いたラブレターであるとする記事が掲載された。写真はルックバック。

2024年8月27日、台湾版Yahoo!のYahoo新聞に、日本の漫画ルックバック」は作者・藤本タツキ氏がすべての創作者へ宛てて書いたラブレターであるとするコラム記事が掲載された。(本記事はネタバレを含みます)

記事はまず、「『ルックバック』は、『少年ジャンプ+』に連載された当初、1日で250万の閲覧数を記録した。同作はわずか143ページと短編であるため、劇場アニメも57分と1時間にも満たない。この異例の短さから上映する映画館の数も少なかったが、口コミで話題が広がり、一躍注目を集めた」と紹介した。

その上で、「同作は漫画に情熱を注ぐ2人の少女・藤野と京本を中心に物語が展開する。藤野は小学校の学年新聞で4コマ漫画を連載していたが、ある日不登校の同級生・京本の4コマ漫画の画力に圧倒される。藤野は一生懸命に技術を磨くが、6年生になると自分の限界を感じ、漫画を描くことを諦める。しかし、教師から卒業証書を京本に届けるよう依頼されたのをきっかけに2人は友人となる」とし、「恐らく創作者同士の共鳴があったのだろう。藤野は京本の部屋で山積みになったスケッチブックを見て天才など存在しないことを悟り、2人はすぐに打ち解ける。京本は藤野の漫画のファンであることを率直に伝え、それが藤野に予想外の勇気を与える。これをきっかけに、藤野と京本は創作の道で共に戦う仲間となったのだ」と述べた。

また、「2人の友情が感動を呼ぶだけでなく、藤野が直面する苦悩は、多くの創作者の共感を呼び起こすだろう。自分より優れた友人の前で感じる劣等感や、家族の理解を得られない苦しみ、そして『誰も支持してくれないのに、こんなに苦しいのに、なぜ創作を続けるのか?』といった自己疑念にさいなまれる瞬間。これらは、創作者なら誰しもが感じたことのある、夢を追う者としての苦悩と創作する喜びの間で生まれる葛藤だ」と強調した。

さらに、「物語の中盤では、京本が画力を向上させるために美術大学に進学し、藤野は漫画家としての道を選び、2人は別々の道を歩む。しかし、再び藤野の元に届いた京本の知らせは、彼女が美術大学で起きた無差別殺人事件で命を落としたという悲報だった。最愛の友を失った藤野は、創作する意味を見失う。この心が砕けそうな瞬間に、作者は並行世界の手法を用いて藤野と京本を再会させ、現実に残された悲しみを少しでも和らげようとした」と説明した。

京本が悲劇に見舞われる展開については、「多くの人は原作者・藤本タツキ氏がアニメ制作会社・京都アニメーションの放火事件を想起して描いたのではないかと考えている。京都アニメーションは、その細やかで美しい画のタッチが特徴で、『聲の形』や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、『涼宮ハルヒの憂鬱』などの作品で知られ、多くのアニメファンの心に残る名作を生み出してきた。しかし、19年に青葉真司被告が自分の小説が盗作されたと考え、京都アニメーションの建物に放火。火は一気に広がり、36人が死亡、32人が重軽傷を負う悲劇となった」と言及した。

記事はまた、「藤本氏の創作史を語る上で、『チェンソーマン』は欠かせない。19年から『週刊少年ジャンプ』で連載が始まった同作は、一躍人気作品となり、累計2600万部を突破。これにより、藤本氏は漫画界で鬼才として一目置かれる存在となり、彼の作品は映像化されるたびに大成功を収め、多くの人々に天才として知られるようになった」と紹介した。

最後に、「興味深いことに、『ルックバック』は藤本氏の半自伝的作品と見なされることが多い。作中の設定は彼が経験したものと似ており、『ルックバック』の主人公が『チェンソーマン』のキャラクター・サメの魔人を元にして作中の連載漫画『シャークキック』を始めたことなどが挙げられる。また、藤野と京本の名前は、藤本タツキの姓と京都アニメーションの名前から取られたものではないかとも言われており、加えて、藤野が漫画家を目指すという夢も藤本氏本人と重なる。恐らく、藤本氏が自身の経験を作品に投影したことで、『ルックバック』は夢を追う者の苦悩とロマンを描き出し、真に心を打つ作品となったのだろう」と論じた。(翻訳・編集/岩田)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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