2024年9月2日、韓国・朝鮮日報は「済州島の中国化が加速している」と伝えた。

記事によると、かつて韓国人に人気の国内旅行先だった済州島だが、最近は「ぼったくり海産物」「脂身だらけのサムギョプサル」などが物議を醸し、円安による日本旅行人気も相まって、近年は韓国人の来島が減少している。一方、済州を訪れる中国人観光客は急増している。今年1～6月には前年同期比766．5％増の68万8095人を記録した。これに「島全体が中国人と中国資本に牛耳られているのでは」という懸念の声も上がっているという。

観光客にも人気の有名な市場では「客の90％が中国人」という状況で、中国語が飛び交う。中国人に人気のメニューを扱う食堂は連日中国人客でにぎわい支店を増やすまで急成長したが、逆に海鮮丼やすしなど中国人に不人気なメニューを出していた店は閉店に追い込まれている。ある日本風居酒屋の経営者は「今は中国人客をつかまえなければ商売が立ち行かない。メニューを中国人の口に合うものに変えていっている」と話したという。

「支付宝（アリペイ）」「微信支付（ウィーチャットペイ）」など主に中国で使われているキャッシュレス決済に加盟する店が急増しており、特に中国人が多く訪れる済州市蓮洞（ヨンドン）などでは、加盟業者が全体の50～60％に達している。市内の免税店やホテル周辺には、中国人観光客をターゲットとする店が軒を連ね、価格表示は人民元になっているという。

中国人が特に多く済州島を訪れる理由について、済州国際大学ホテル観光経営学科のキム・ウィグン教授は「済州島は韓国で唯一、中国人がビザなしで入国でき、北京や上海などの大都市から近い」「海のない内陸に住む中国人は多く、海に囲まれた済州島は旅行先として非常に魅力的」だと分析している。

一方、中国人観光客の増加で犯罪や問題も増えている。今年6月、中国人観光客と思われる子どもが路上で排便している姿を撮った写真がネット上に拡散され、ネットユーザーの怒りを買った。済州警察庁によると、19～22年の外国人犯罪のうち、被疑者が中国人のケースは60％前後。昨年は中国人による強盗犯罪が16件あった。

また、漢陽（ハニャン）大学観光学部のキム・ナムジョ教授は「今は中国人観光客への依存度が非常に高く、中国政府との対立により観光客の足が途絶える事態になれば、島の経済そのものが揺らぐ危険がある」と指摘。かつて日本人や中国人など外国人ばかりをターゲットとしていたソウル・明洞（ミョンドン）がコロナ禍で空洞化してしまったのと同じ道を、済州もたどりかねないと警鐘を鳴らしている。

この記事に、韓国のネットユーザーからは「済州で商売してる人たちは、韓国人が来なくても中国人が来るから何の心配もないと思っている。済州は今後、中国人のものになるだろう。『美しい島、済州』はもうない」「中国人による犯罪の巣窟になった済州。韓国最高の観光地から、韓国人も忌避する島に変貌してしまった」「済州は自ら崩壊の道を選んだ」など、現状を憂う声が多く寄せられている。

また、「中国人の不動産取得を防ぐべき。済州の土地の半分は中国人の所有になっているのでは」「中国人相手の商売はともかく、土地やビルは絶対に売ってはいけない」というコメントも多く見られた。（翻訳・編集/麻江）