高齢化が急進行する中国、退職年金は2035年に財源枯渇の計算

Record China    2024年9月9日(月) 5時30分

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中国では人口の高齢化が急速に進行している。これまでは巨大人口により巨大市場の形成や大量の労働力の供給ができたことが、今後は高齢者が大量に出現することが、社会全体にさまざまな問題をもたらすことになる。

中国では人口の高齢化が急速に進行している。しかも、高齢化の急速な進行は今後30年間にわたり続く見通しだ。中国は巨大な人口によって巨大市場の形成や大量の労働力の供給ができたことが、経済を押し上げる大きな要因の一つだった。しかし現在および今後には、高齢者が大量に出現することが、社会全体にさまざまな問題をもたらすことになる。香港メディアの星島頭条は6日付で、中国の高齢化問題を紹介する記事を発表した。

中国は2000年に65歳以上の人口が7%を超え、22年には14.9%、23年には15.4%に達した。22年の世界の高齢者比率は約9.8%で、高所得国では19.2%、準高所得国では12.2%だった。中国の高齢化の度合いは高所得国に迫りつつある。人口問題と関連政策を研究し提言する組織である育媧人口研究の「中国人口予測報告2023」によると、中国は30年に高齢者の比率が20%を超え、超高齢化社会に突入する。高齢者の比率はその後も急上昇し、60年には約37.4%、80年以降には46%に達すると予測される。

育媧人口研究に所属する研究者の任沢平とそのチームによると、中国では1949年以降に3回のベビーブームがあった。第1回ベビーブーム期に生まれた人は2015年に65歳に達し、第2回ブーム期に生まれた人は27年、第3回ブーム期に生まれた人は46年に65歳に達する。すなわち中国では高齢者人口が階段式に増加する。第3回より後にはベビーブームが発生していないため、少子化が進行して高齢化を加速させる。

また、中国人の平均寿命は過去20年間で平均して10年ごとに2〜3歳増加して現在では約78歳に達した。すなわち中国人の平均寿命は、世界平均の72.8歳や準高所得国の75.9歳を上回った。高所得国の80.9歳には及ばないが、今後に医療や健康体系が改善されれば、中国人の平均寿命はさらに延びると考えられる。

中国では13年に労働年齢人口がピークを迎え、「労働力の無限供給」が収束した。若い世代の比率が減少したことで資本投入による期待リターンが減少し、国外の資本は人口中の若い世代がより多い国に流れるようなった。13年には10億1000万人が存在した中国の労働年齢人口は23年には9億6000万人に減少した。

中国では消費構造が「高齢化」しつつある。ライフサイクル消費理論によれば、中年層の収入と支出のレベルは高く、高齢者の収入と支出のレベルは低い。購入品にも違いがあり、人口の高齢化に伴い、医療保障支出が増加して煙草や酒の消費支出が減少し、さらに不動産や関連商品への需要も減少する。国家統計局によると、13年から23年にかけて、住民の食品と酒・たばこ類に対する支出は1.4%、衣類に対する支出は2.2%減少した。一方で、交通通信の支出は1.3%、教育・文化・娯楽の支出は0.3%、医療と保健の支出は2.3%増加した。

また、投資の傾向も年齢層によって違う。西南財経大学の家庭金融調査研究センターの19年「中国家庭金融調査(CHIFS)」によると、高リスク資産への偏好率は、40歳未満で18%、40~60歳で6%、60歳を超えると4%で、年齢が上がるにつれて高リスク投資を好まなくなる。

中国の高齢者扶養比率は23年には22.5%にまで上昇し、「5人の若者が1人の高齢者を養う」ことになった。育媧人口研究の「中国人口予測報告2023」によると、30年には高齢者扶養比率が27.3%に、50年には52.4%に達する。つまり「若い世代の2人が高齢者1人を支える」ことになる。このことは、働く年代の年金負担が鮮明に増加することを意味する。また、退職年金は不可避的に収支の欠損が生じ、公共年金制度の持続可能性の脅威になる。中国社会科学院の「中国年金精算報告2019-2050」は、退職年金の収支が28年には不均衡になり、35年には累積残高が尽きると予測した。

任沢平氏のチームは、中国が移民と若年労働力を受け入れることを提案している。OECDの『2023年国際移民展望』によると、多くの国が労働力不足を緩和するために移民労働者を増加させている。カナダは移民数の獲得目標を増やし、イタリアやノルウェーは外国人労働者の受け入れ枠を拡大させた。しかし、大量の移民受け入れは文化の融合や社会的統治上の問題を引き起こす可能性がある。

出生率の向上も重要な課題だ。任沢平氏のチームは、出産支援体制を構築することが必要で、一方で実質的な補助金を通じて出産と育児の費用負担を軽減し、他方で家庭と仕事のバランスを促進し出産意欲を高める政策が必要と提言した。

任氏らはさらに、段階的な退職年齢の引き上げを実施し、退職年齢を予想寿命に連動させることで高齢者の就業を支援することを提案した。実際に、デンマークは退職年齢を67歳から74歳に引き上げ、エストニアは64.3歳から71歳に、イタリアは64歳から71歳に引き上げるなど、OECD諸国の中で50%以上の国が退職年齢の引き上げを実施した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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