中国の公立病院から輸入薬が消え、患者の選択権も失われた―シンガポールメディア

Record China    2024年9月18日(水) 7時0分

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14日、香港メディア・香港01は、中国の公立病院から輸入先発薬が消えたことについて「患者の選択権が失われている」とするシンガポール紙・聯合早報の報道を紹介する記事を掲載した。

2024年9月14日、香港メディア・香港01は、中国の公立病院から輸入先発薬が消えたことについて「患者の選択権が失われている」とするシンガポール紙・聯合早報の報道を紹介する記事を掲載した。

記事は、浙江省のネットユーザーが以前、子どもがマイコプラズマ肺炎により入院した際、以前使用していた輸入注射薬ではなく国産のアジスロマイシンが処方されるも熱が下がらず、結局転院して輸入注射薬を処方してもらい症状が改善したという出来事を紹介した上で「なぜ今まで使えていた輸入薬が消えてしまったのか」と疑問を呈し、ネット上で「病院では輸入先発医薬品がますます手に入らなくなっている」といった議論を呼んだことを紹介した。

その上で、中国政府が2018年に「国による薬品集中調達施行プラン」を発表したことで、それまで輸入先発医薬品を自由に調達できた状況が一変したと指摘。中国国家医療保障局がボリュームディスカウントを利用して薬価を下げ、低所得者が医薬品を利用しやすくすることを目的として導入した制度であり、薬価が低い国産ジェネリック薬が集中調達リストに入る一方で、開発・試験コストが薬価に影響する輸入先発医薬品の大部分はリストから漏れ、集中調達を利用する公立病院では輸入薬の採用率が大幅に低下したと解説した。

また、上海市が今年3月に「医薬品調達サービス・監督管理情報システム」内で薬価調整通達を発表したことも追い打ちをかけたと紹介。この通達では集中調達リストから漏れた医薬品の価格引き下げ結果が「緑」「黄」「赤」の3つの参考ラインで示され、最大限度値を示す「赤線」を超える価格の医薬品はシステムによる検査を通らなくなったとした。そして、この価格ラインが中国各地でも集中調達リスト外医薬品の価格調整の参考として続々と採用され始め、それまで薬局やECプラットフォーム、私立病院などから購入できた輸入先発医薬品が「赤線」に引っかかったことで全く販売されなくなり、多くの有名な医薬品が中国市場からの撤退を余儀なくされていると伝えた。

記事は、先発品とジェネリック品の品質について、国家医療保障局が再三にわたり「一致性評価の結果、効果は同じ」と発表しているものの、臨床上での効果の同等性については今なお議論があると紹介。国家薬品監督管理局は17年に「両者は製造工程の違いにより、有害事象などの面でいくらか差異がある」との認識を示しているほか、中国薬学会技術開発センターが22年に発表した調査結果でも、参加者の60%が臨床効果や安全性の面で差があると回答、実際に両者を使用した人の49%が「先発品のほうが良かった」、21.6%が「価格の差が品質の差に現れていると思う」と答えたことが明らかになっているとした。

そして、中国政府による医薬品集中調達制度は医薬品を社会底辺の市民にまで普及させることが本来の目的であるとしつつ、「しかしこのやり方は、経験則から先発薬の方が薬効や副作用の面で優れていると認識し、お金をたくさん払っても先発薬を利用したいという、中国になおも多く存在する患者層を無視している」とし、画一的な医薬品選択アプローチは、患者が医薬品を選択する権利を奪い、患者にとって大切な安心感を損なうことにつながっていると評した。(編集・翻訳/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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