中国で反日フェイク動画を削除の動き、日本人男児殺害受けて―シンガポールメディア

Record China    2024年9月22日(日) 21時10分

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シンガポールの華字メディアである聯合早報は21日付で、中国の動画サイトでは、虚偽の情報により日本に対する悪感情をあおり立てる投稿動画を削除する動きが発生したとする、北京特派員の署名入り記事を配信した。

シンガポールの華字メディアである聯合早報は21日付で、中国の動画サイトでは、虚偽の情報により日本に対する悪感情をあおり立てる投稿動画を削除する動きが発生したとする、北京特派員の署名入り記事を配信した。

ショート動画インターネットの有力プラットフォームである「快手(kuaishou)」は21日、虚偽の有害情報を広めたり、日本との対立を扇動する違反行為を処理しつつあると発表し、関連する違反アカウントを計90余り処理したと表明した。

中国では6月に蘇州で起きた日本人母子襲撃事件を受け、インターネットの投稿サイトは一時、反日をあおる内容の取り締まりを強化した。しかし9月28日に深セン市内で日本人学校に通学途中の男児小学生が刃物を持った男に襲われて死亡した。容疑者の動機はまだ発表されていないが、SNSの微博(ウェイボー)では、「ここ十数年、ただでさえ教育レベルが極めて低い民衆に向けて抗日神劇(中国に攻め込んだ日本軍を撃退する中国側を、荒唐無稽な筋立てで描いたドラマ)を大量に放送している。さらに、抖音や快手では極端な民族主義の宣伝が制限なしで投稿されている。おかしくならないわけがない」などと、日本人児童襲撃事件はショート動画やドラマの内容と関係があるのではないかと推測する投稿も見られた。

すでに閉鎖されている人気SNSの微信(ウィーチャット)のアカウントの記載によると、快手では「日本人学校の撤去」を宣伝する278件の仇日動画は規制されておらず、「いいね」は累計230万件を超え、動画39では「いいね」数は1万件を超え、5本では10万件を超えていた。「いいね」を最も集めた動画では、32万7000件を超えていた。

同文章の分析によると、これらの動画は大きく4種類に分けられる。1つ目は中国国内の日本人学校の外観を示す動画だ。次に「中国は全国で日本人学校の撤去を決定した」と紹介する虚偽のニュースだ。3つ目は、日本人学校がスパイを育成しているというデマを伝えるもの。最後に、排他的民族主義による憎悪を宣伝し、日本人学校の撤去を呼びかける感情的な糾弾だ。

文章は、動画サイトがアルゴリズムにより特定情報を優先表示することが関係しているかもしれないとの見方を調べた。「日本人学校」の語に関心が集まると、関連する内容の動画が真実か虚偽かであるにかかわらず、目立つ場所に表示することになるからだ。そのため、一部の「愛国的ネット民」が、「日本人学校には巨大なスパイ戦争の陰謀が隠されている」などと論じ、日本人学校の排除を呼びかけるようになったという。

日本の共同通信も20日付で、中国のSNSでは、日本人学校を「スパイ基地」と主張するなど根拠のない投稿が相次ぎ、「日本人学校廃止」「日本鬼子(中国を侵略した日本人をさげすんで言うことば)の学校」などの攻撃的な投稿があふれていると報じた。在中日本人コミュニティーでは、中国政府が繰り返し約束していた「外国公民の安全保障」は実現できていないとして不信感が高まっているという。

日本政府は日本人男児殺害事件を受け、外務副大臣を中国に派遣して、中国側に事実関係の説明を求め、在留邦人の安全を求めることを決めた。つまり、日本人男児殺害事件は、日中の外交問題にまで発展した。快手は20日に、「投稿動画を確認を続けていたところ、一部ユーザーが無から有を生み出す虚偽の有害情報を配信し、アクセスが集まることを利用して宣伝し、中日対立を扇動していることを発見した」と発表し、断固とした取り締まりを表明した。

快手の発表によると、違反ユーザーに対しては投稿禁止、コメント禁止、アカウント凍結などの処置を行い、違反行為のあるアカウントをすでに90以上処理したという。快手は同様の対策は今後も続けるとして、ユーザーに理性的な表現を行うことと、デマの捏造やデマの流布、対立の扇動など、最低ラインを守らず無秩序にあおり立てる行為をしないよう呼びかけた。

快手の説明によれば、同サイトの現在までの動きはあくまでも、動画投稿プラットフォームとしての投稿規約の違反行為に対する処置だ。しかし北京師範大学政府管理研究院の唐任伍院長は聯合早報の取材に対して、さらに踏み込んで反日感情を扇動したり、虚偽のデマを流布したりした者を法律によって処罰することを提案したという。唐院長は、インターネットのプラットフォームのアカウントに対する処置だけでは抑止力を発揮するには不十分と主張。さらに、中国では日本人男児を殺害したことを非難する声が沸き起こっているが、唐院長は「『民衆の正義の声』だけでは、関連行為を抑制するためにはやはり不十分」との見方を示した。

唐院長は、中国当局は日本に歴史を忘れないよう求めており、そのこと自体は「正常だ」と評したが、民間では強い不満を持つ若者やポピュリストがソーシャルメディアを利用して対立を扇動していることは事実であり、「それは悪い行為だ」と述べた。唐院長はさらに、不満を持つ若者による極端な言葉や内容がアクセスを集めることは、民衆の間に攻撃的な気分が存在することを示しており、生活で挫折した人が、極端な言動に刺激されて自らが極端な行為をする可能性は高いと分析した。唐院長は、経済が不況に陥った現状では、デマに扇動されやすい者もおり、そのような人物が怒りの感情を社会に向けて、社会に大きな危害を及ぼす可能性があるとも指摘した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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