【観察眼】悲劇を政治目的に利用してはならない

CRI online    2024年9月23日(月) 16時10分

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中国の深センで10歳の少年が登校中に刺されて死亡する痛ましい事件が起きた。

中国の深センで10歳の少年が登校中に刺されて死亡する痛ましい事件が起きた。少年の父親は日本人、母親は中国人で、本人は日本国籍を持ち、深センの日本人学校に通っていた。この事件は日本政府やメディア、国民から大きく注目され、中国側の説明を求める声も上がっている。

まず、事件を振り返り中国側の対応を見てみよう。深セン警察局によると、少年が襲われたのは北京時間18日午前7時55分。警察は通報を受けてすぐ現場に駆けつけ、犯人をその場で逮捕した。深セン救急センターの救急車は事件発生から10分後の8時5分に現場に到着し、負傷した少年は8時15分に病院に搬送された。病院では即座に救命チームが結成され、深セン市児童病院の麻暁鵬院長がリーダーを務め、深セン市人民病院、香港大学深セン病院、広州市女性児童医療センターなど複数の有名病院の専門家が駆けつけ、治療に参加した。また、事件発生後、深セン市の教育部門は直ちに緊急対応体制を組み、プロの心理カウンセリングチームを派遣して同校の生徒と教員にメンタルケアを随時提供している。しかし残念なことに、翌日、少年はこの世を去った。

警察の調べによると、容疑者は無職の44歳で、公共電気通信設備の破壊や公共秩序の混乱などの犯罪歴がある。今回の犯行は単独で行われたものであり、犯行動機などについては現在徹底的な調査が進められている。事件発生からこれまで、深セン市警察や医療部門、教育部門は迅速かつ積極的な対応をしてきた。ここ数日、多くの深セン市民が自発的に事件現場を訪れて花を手向け、亡くなった少年の冥福を祈っている。中国で最も早く対外開放した深センには、「深センに来た人は、みんな深セン人(来了,就是深圳人)」というスローガンがある。献花に訪れたある女性は「この子の国籍がどこであろうと、深センで勉強し生活していたのだから、この子は深センの子どもだ」と涙をこぼした。

どの国の子どもであれ、傷つけられてはならない。大多数の中国人がこの悪質な事件を強く非難し、無辜の人間に対する暴力に強く反対している。平和な時代とはいえ、私たちが生きている世界は必ずしも安全ではない。過去には中国人が日本を含む他国で襲われたり殺されたりしたこともある。過激な考えを持つ悪者はどこの国にもいる。人口14億の中国も例外ではない。中国政府も一貫して社会の治安管理に取り組み、違法行為を取り締まり、自国民と中国にいるすべての外国人の安全保障に力を尽くしている。

子どもが襲われ、命を落とした。犯人に厳罰を求めるのは当然なことだ。しかしここ数日、この事件に関する世論は徐々に変化し、少年の国籍に焦点が当てられるようになっている。ネット上には中日の国民感情の対立を煽るような書き込みが相次ぎ、悪意ある一部の声はこの治安案件を拡大し、政治化し、国や民族の対立にまで引き上げようとしている。極端な個別の事件を中国の普遍的な社会問題であるかのように扱い、事件本来の焦点をずらし、中国の愛国教育や歴史教育を「汚名化」「悪魔化」しようという動きさえある。

中国は法治国家であり、世界で最も安全な国の一つである。この安全と安心感は、中国国民が感じているだけではなく、中国で学び、暮らし、働き、旅行する多くの外国人が体験することでもある。このような「証言」は#ChinaTravelが付けられたSNSの多くの投稿に見ることができる。

今年4月に日本外務省が発表した2022年海外邦人援護統計によると、日本人から保護や支援の申請件数が多かった国の上位20カ国に中国は含まれていない。申請が最も多かったのは在英国日本大使館で、年間976件で1日平均では2.7件になる。次は在韓国日本大使館で年間793件。米国ではホノルル、ロサンゼルス、ニューヨーク、アトランタ、サンフランシスコの各日本総領事館がそれぞれ第5位、第10位、第13位、第16位、第19位にランクされており、合計では年間1607件、1日平均4.4件に上っている。もし一部の「ヘイトスピーチ」と結びつけようとする人たちの論理に従うならば、英国、韓国、米国こそが最も「反日」的な国ということになるのだろうか。

実は、深センで少年が襲われた同じ9月18日の夜、神奈川県横須賀市では22歳の日本人男性が駐日米軍関係者による自動車事故で死亡していた。日本警察側によると、米軍関係者の複数の男女が乗っていた乗用車が右折禁止の交差点で強引に右折。バイクを運転していた日本人青年がはねられ、搬送先の病院で死亡が確認された。このニュースに対するYahoo ジャパンでのコメント数はわずか20件余りだった。

筆者は幼い頃から、「中日は一衣帯水の隣国」「末永い友好」「歴史を鑑に、未来に向かう」と教わってきた。そんな中国人として伝えたいのは、中日間にはたくさんの美談が存在するということだ。時には、不和があり、友好的ではない声があるとしても、それが隣国同士の正常な交流を妨げることはない。混乱がある時こそ、物事の是非を明確にし、極端な考えに流されることなく、中日交流の本筋を守っていくべきだ。(提供/CRI

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