そばの「花の海」畑が生んだ生態産業チェーン―陝西省西安市

人民網日本語版    2024年9月24日(火) 22時30分

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陝西省西安市藍田県九間房鎮峪口村の蕎麦嶺を訪れると、「秦嶺山脈の秋の耕作」という風景画の中に入ったような気分になる。

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陝西省西安市藍田県九間房鎮峪口村の蕎麦嶺を訪れると、「秦嶺山脈の秋の耕作」という風景画の中に入ったような気分になる。村民は土を耕し、種をまき、秋そばの種まき作業で大忙しだった。人民網が伝えた

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穀物栽培のベテランの汪さんは段々畑を指さしながら、「この段々畑になった土地は約66.7ヘクタール以上ある。80日くらいたつと、素晴らしい風景になる」と話した。

峪口村のそば栽培には200年以上の歴史がある。 ここ2年近く、陝西省は「秦嶺山水プロジェクト」に取り組んでおり、土地の総合整備、河道・河岸堤防の修復などの工事を通じて、秦嶺エリアの生態系の保護・修復を進めている。峪口村もその中に含まれている。

そばを栽培することで、一体どんな状況が新たに生まれるというのだろうか。

2021年春、同村の村民たちはこのような疑問を抱きながら、13.3ヘクタール近くの荒れ果てた斜面に試しにそばを植えてみた。すると思いがけないことに、そばの花が満開になると、赤やピンク、紫色の花が一面に咲く「花の海」のような花畑が出現し、ネットで大きな話題になった。西安市やその周辺エリアからたくさんの観光客が押し寄せ、たちまち村民らの家は観光客が一休みしたり水を飲んだりする「休憩処」になった。

その年に秋そばの種まきをする頃には、荒れ果てた斜面の整備、生産の低い耕作地の改良、土地譲渡などの方法を通じて、栽培面積が20ヘクタールまで増えた。今年の栽培面積はすでに約66.7ヘクタールに達している。

そばの花畑

花の季節になると、蕎麦嶺は秦嶺山脈の麓に押し寄せるピンク色の波のようになる。そば畑の景色を楽しもうと、たくさんの観光客が訪れ、どこまでも美しい光景が広がる。

峪口村党支部の吝朋涛(リン・ポンタオ)書記は、「1年に2回そばを栽培している。今年は春になってから現在まで、観光にやって来た車が何キロも列を作るような盛況が続いている。今回種まきしたそばは、11月ごろになると見頃になる。現在、村全体の年収は180万元(約3600万円)前後を保ち、村民の平均年収は年々倍増している」と話す。

かつての荒れ地が野山に広がるそば畑になり、素晴らしい風景が収入増の道を切り開いた。村民の意欲も高まり、民泊施設を開き、旅館を建て、キャンプ場を作り、ロマンティックな仕掛けを打ち出し、それぞれに才覚を発揮して農村観光の運営に乗り出した。

そばの花畑で写真を撮る観光客

峪口村にはオリジナリティーあふれるカフェも出来ている。若いバリスタの雷娜(レイ・ナー)さんは、ほのかにそばの香りがするコーヒーを運んできてくれた。これは峪口村の人が「独自開発」したそば風味コーヒーだ。同村出身の雷さんは、「以前は村には産業がなく、山しかなかった。去年、仕事を探している時、あるカフェの求人を見たら自分の出身の村のカフェだったので、すぐに帰ってきて就職した。今、カフェは1日の売り上げが最大100杯になり、特にそばの花の季節は、一日中休む暇もないくらい忙しくなる」と話した。

そば風味コーヒー

若者は「ロマンチック経済」の波に乗ってカフェなどを経営し、穀物栽培のベテランはそばの特色を掘り下げている。藍田そば餄餎麺(生地の上から圧力をかけて押し出して作る麺)、神仙粉、油餅など、そばを使用したグルメが新たに注目を浴び、多くの観光客を引き寄せている。50代の村民の胡峰利(フー・フォンリー)さんは小麦粉料理の名人で、高い技術を持っている。胡さんは出稼ぎをしていたが、故郷の変化を知ると、出稼ぎをやめて夫婦で村に戻り、古い建物を改修して郷土料理レストランを始めた。

胡さんは「最高で1日に200人以上の客があった。収入も前より減らなかったし、自由度も増した。観光客が多い時は忙しくして、少ない時はのんびりやっている」と満足気な様子で話した。

村民の意欲も上がり、多くのアイデアが生まれている。古くからあるそばの実から、今ではそば酒、そば酢、そば茶など一連の特色あるそば関連の製品やそば風味コーヒー、そばアイスクリームなどのオリジナリティーある製品も生み出されている。そばの「花の海」から生まれた産業チェーンが村民の雇用、農産物の販売、郷土料理レストランや民泊施設の開設をもたらし、豊かな自然は今や村民の収入源になった。

そばの花畑

現在、秦嶺の自然は生態系修復面積が3万1619.17ヘクタール、河川の修復距離が591.62キロメートルに達し、今年12月には屋外での施工作業はすべて完了する見込みだ。こうした修復工事は山や川、林、農地などの生態系の質を高めただけでなく、このエリアにある70余りの村を結び付けて、ひとつながりの「生態産業」チェーンを構築している。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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