「豊漁と安全」を祈る栄成国際漁師祭

張燕波    2024年9月29日(日) 15時0分

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中国最東端の町―山東省・栄成市。ここは三面を海に囲まれ、海岸線はおよそ500キロにも及び、中国北部最大の漁港となっている。春秋戦国時代から、ここには豊漁と安全を祈るための漁師祭があった。

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中国最東端の町―山東省・栄成市。ここは三面を海に囲まれ、海岸線はおよそ500キロにも及び、中国北部最大の漁港となっている。「史記」によれば、秦の始皇帝は不老長寿の薬を求めるために2回ほど栄成の地に足を運んだ。

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そんな栄成は古くから漁業と農業の両方をやってきた。春秋戦国時代から、ここには豊漁と安全を祈るための漁師祭があった。

時代が変わり、栄成は中国の改革開放政策の風に乗り、1991年4月20日の穀雨(二十四節気の一つ)の日に開催された漁師祭で、この歴史のある民俗を世界の人々に見せるために初めて諸外国のゲストも呼び、外国の方々からも好評が得られた。あの頃から、何千年も伝承されてきたこの民俗は「国際」という色彩も添えられた。やがて、2008年に国家レベルの「非物質的文化遺産」に選ばれた。


中国では、豊漁のために「休漁期」と「漁期」とが定められている。最近の栄成国際漁師祭の開催は休漁期が終わり、初めて捕獲できる9月1日に変更された。しかも、祭りは丸1カ月も続けられる。この漁師祭では伝統芸能の披露や地元の特産品の販売などが行われている。中でも、「龍王様にお香を捧げる」儀式や「祭り巡遊」などの儀式は雄大な場面で国内外の来賓の驚きを呼んだ。また、地元の太鼓チームや舞踊チームなどが地域の特色ある芸能を披露し、喝采を博している。


千年以上も続けられてきたこの漁師祭は最近、民俗、観光、経済貿易などが融合された「伝承」へと変り、地元経済の支えとなっている。

■筆者プロフィール:張燕波

中国山東省威海市出身。1998年に技能実習生として初めて日本へ。2000年から日本留学。06~12年にイオン九州に勤務。13~20年に神戸大学大学院修士課程、博士課程で日本の古典文学を研究。21年に帰国し、現在は山東省青島市の私立高校で日本語教師を務める。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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