【観察眼】日本の新首相誕生、協力・ウィンウィンの中日関係に期待を

CRI online    2024年10月3日(木) 11時30分

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中国の習近平国家主席は10月1日、新たに首相に就任した石破茂氏に祝賀の電報を送り、両国が平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展の道を歩むことは、両国の国民の根本的利益に合致すると改めて強調した。

日本で新政権が発足した。これを受けて中国の習近平国家主席は10月1日、新たに首相に就任した石破茂氏に祝賀の電報を送り、両国が平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展の道を歩むことは、両国の国民の根本的利益に合致すると改めて強調した。

石破茂新首相の対中国関係でのかじ取りはどうなるか、中国でも注目度が高い。

自民党総裁選の結果が発表された直後から、中国メディアも石破氏にまつわる報道を始めた。政治家としての歩みや政見・主張だけでなく、家事や育児に積極的に関わっていること、アイドルに精通していること、猫大好き人間であることなど、人間臭い部分も取り沙汰されている。また、防衛庁長官時代では訪中した際、茅台(マオタイ)酒を70杯飲んでも全く酔わなかったというエピソードも掘り返されている。この関心の幅の広さは、安定的な中日関係への関心と期待の表れともいえよう。

歴史問題に関していうと、石破氏は防衛庁(現防衛省)長官に就任した2002年以降、靖国神社を参拝していない。また、周辺諸国との関係において、「誠実な姿勢で歴史と向き合うべき」「わが国が敗戦後、戦争責任と正面から向き合ってこなかったことが多くの問題の根底にある」と比較的冷静に歴史を見つめている。中国との関係について、両国の間で理解し合い、支援し合う協力体系を構築することができるものだとも述べている。これらは評価に値すべき点である。

しかし、直近の石破氏の言動に、中国としては警戒せざるをえない面もある。

一つ目は、中国で「核心的利益」と位置付けられる台湾問題での出方だ。8月に石破氏は台湾を訪れ、頼清徳氏らと面会した。自民党総裁選への出馬表明も台湾訪問中に行われた。日本の政治家が一つの中国の原則に反して台湾を訪問し、政治活動を行ったことに対し、中国外交部は断固とした反対の意を表明した。

石破氏が総裁選前というタイミングを選んで台湾を訪問した真の理由は何か。党内の反中・親台勢力を取り込むための選挙対策か、それとも個人の政治的信条だったのか、さらなる踏み込んだ観察が必要だ。しかし、日本の首相が台湾関連問題で誤った挑発行為をした場合には、両国関係の後退を招きかねない。新首相にはそうした自覚が求められる。

二つ目は、国防・軍事政策だ。石破氏は、現行の平和憲法の要である戦力保有を禁止する第9条に、自衛隊の根拠規定を挿入しようとする自民党の基本政策に賛成している。最近の著書『保守政治家 わが政策、わが天命』には、戦力不保持をうたった第9条第2項を削除した上で、現在の自衛隊を「国防軍」に改め憲法に明記すべきとまで言い切っている。

さらに、持論である「アジア版NATOの創設」を総裁選での公約に掲げ、その創設を前提に、日本を含む参加国への米国の核兵器の持ち込みを検討すべきだとも主張している。理由は「アジア太平洋で再び戦争にならないようにするため」だと言っているが、真意は中国を包囲・抑止することにある。地域情勢の緊張を煽るこうした論調は、危険なシグナルである。

もっとも、選挙で勝つために持ち出したスローガンが、政権発足後の現実的難題と完全に一致するわけではない。さしあたっては、経済の立て直し、国民の暮らしの改善、次期米大統領との関係構築、対中関係の再出発と戦略的互恵関係のさらなる充実化など、山積する課題によって、新首相の政治的知恵が試されることになるだろう。

首相が交代しても、その出身党派や日米同盟関係にある日本という出発点が変わることはなく、中日関係の根本的改善というのは高望みかもしれない。しかし、新しい節目に、なんとか前向きな変化が現れてほしい。これが多くの人々の共通の願いだ。何故ならば、非難の応酬を繰り返すよりも、小異を残して大同につき、協力とウィンウィンの関係を目指すことこそが、中日双方の真の利益につながるからである。(提供/CRI

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