八牧浩行 2024年10月17日(木) 7時30分
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与野党の7党首は12日、日本記者クラブ主催の討論会に出席し、論戦を交わした。
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石破茂首相は10日、ラオスで中国の李強首相と会談した。ビエンチャンでの東南アジア諸国連合(ASEAN)の関連首脳会議に合わせたもので、両首相は共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」を推進し、2国間協力の成果を追求することで一致した。
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会談の冒頭、石破首相は「両国間には協力の潜在性と課題・懸案があるが、両政府の努力を通じて関係発展の果実を得られるように共に取り組みたい」と強調。李氏は「(石破氏が)所信表明演説の中で、中国との戦略的互恵関係を引き続き推進し、あらゆるレベルで両国間の交流と意思疎通を促進すると述べたことを、中国は高く評価している」と語った。
与野党の7党首は12日、日本記者クラブ主催の討論会に出席し、論戦を交わした。外交・安全保障分野を巡っては、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞が11日に決まったことを受けて、石破首相に核廃絶に対する姿勢をただす質問が相次いだ。立憲民主党の野田佳彦代表は「核保有や核共有、核持ち込みを許容するような日本のトップでいいのか根本的な疑問を持っている」と首相が米保守系シンクタンクへの寄稿で米国との核兵器の共有などに言及したことを批判。日本が参加していない、核兵器開発などを全面的に禁じた核兵器禁止条約への「オブザーバー参加」を迫った。共産党の田村智子委員長も「被爆者の皆さんが切望する核兵器禁止条約を日本政府は批准すべきだ」と主張した。
日本は「唯一の被爆国」で、「核兵器のない世界」を目指し「保有国と非保有国の橋渡し役」を自任するが、米国が核と通常戦力、ミサイル防衛などで日本を防衛する「拡大抑止」の強化を加速し、核兵器禁止条約への参加も見送っている。石破首相は「核抑止力から目を背けてはならない。核のない世の中も作っていかねばならない。どうやって両立させるかに力を尽くす」と述べた。
石破首相は中国の李強首相との会談について「対話を続けることで(両国が抱えるさまざまな)問題が解決に向かう糸口になった」と強調。「違いは違いとして明確に認識しつつ、協力していく分野に対して努力を続けたい」と語った。その上で、「両政府の努力を通じて両国国民が関係発展の果実を得られるようつなげていきたい」と述べ、習近平国家主席との会談にも「実現に努力したい」と意欲を示した。
さらに石破首相は対話の重要性を強調。1972年の日中国交正常化に尽力した田中角栄元首相を「私の政治の師」と紹介し、「日中両国の指導者が明日のために話し合うことが重要だ」との当時の田中氏の発言を引用した。台湾問題について「日中共同声明の立場を堅持する」と明言したことになる。11月に南米で開かれる国際会議に向け、中国の習近平国家主席との初会談が実現する見通しだ。
石破首相は7党首討論会で持論の「アジア版北大西洋条約機構(NATO)」への中国参加の可能性を問われ、「冷戦終結後、ロシアがNATOに入ろうかとの話もあった。可能性を排除はしない」と語った。
中国中央テレビ(CCTV)は海外の識者の声などを報道。「1971年10月25日の国連総会において通過した第2758号決議を重視すべきで、中華人民共和国はその決議により『中国を代表する唯一の国家』として認められたのだから、それを覆さない限り中華民国を国家として認めるのは国連決議に違反する」と主張した。
石破首相は7党首討論会で、約20年前の防衛庁長官時代に北京で中国の国防部長と会談した後、当時の温家宝首相に呼ばれ日中友好への熱い思いを共有したエピソードを披露。「国益に沿って主張すべきは主張し率直に対話する」ことの重要性を強調した。
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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