亜洲週刊 2024年10月22日(火) 7時30分
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シンガポールのリー・シェンロン前首相はこのほど、米中間の緊張が短期間で解決するとは考えにくいと論じた上で、中国の影響力を直視すべきと主張した。
中国国外に住む華人向けの情報サイトである文学城はこのほど、シンガポールのリー・シェンロン前首相による、米大統領選を見据えて今後の米中関係の動向についての見方を紹介する記事を掲載した。リー前首相は、米中間の緊張が短期間で解決するとは考えにくいと論じた上で、中国の影響力を直視すべきと主張した。以下は同文章の主要部分を再構成したものだ。
シンガポールのリー・シェンロン前首相は現地時間18日、シンガポールで開催された「2024未来中国グローバルフォーラム」に出席して、中国や経済や西側における中国の否定的なイメージや中国とシンガポールの協力などについての考えを表明した。リー前首相は、11月5日の米大統領選挙の結果にかかわらず、米国と中国の緊張が「短期間で解消する収まる可能性は低い」と述べた。
リー前首相は、近年になり、中国を米国の長期的利益の挑戦者あるいは脅威と考える人がますます増えており、一方の中国では多くの人が、米国はさまざまな手段を通じて、中国が米国を追い越し世界をリードすることの阻止を狙っていると信じていると指摘。リー前首相は、米国と中国双方の立場には根本的に矛盾があり、「ほとんど解消できない」と強調した。リー前首相は具体的な国名は挙げなかったが「国の影響力が大きいほど責任も大きくなり、自らの権力を自制する必要がある」と述べた。
リー前首相は米大統領選について、民主党のハリス氏が当選した場合には、「国際的な突発的な衝突は徐々に減少し、地域での事態が暴走するリスクも抑制されるだろう」として、国際情勢の変化は予測可能になっていくと分析した。しかし一方で、トランプ氏がホワイトハウスに復帰すれば、国際情勢は徐々に悪化し、世界により広範な不確実性をもたらす可能性があると論じた。リー前首相はトランプ氏について、政権チームに非常に依存するトップだが、ときおり「即興力」を発揮し、皆が望むことや望まないことをすると評した。また、同盟国に対するトランプ氏の態度は、過去4年間の民主党政権と大きく違ってくると予測した。
リー前首相は自らの中国経済について、「依然として高く評価しており、懸念もあるが好感できる要因の方がはるかに多い」と断言した。例としては電気自動車(EV)や太陽光発電関連の産業を挙げ、中国経済はその特有の粘り強さにより、現在直面する障害を克服するとの見方を示した。リー前首相はさらに、「中国人は自分が何をできるのか、何をすべきかを知っている。中国人民が抱く決意は、中国が経済の困難を克服し、国全体の発展を引き続きけん引すると考える」と述べた。
リー前首相はまた、世界における中国の地位は絶えず向上しており、世界の他の国に対する中国の影響力も絶えず強まっていると指摘し、「全世界がこの点を認識すべきだ」と主張した。
「2024未来中国グローバルフォーラム」では他の出席者による、「米中の緊張と衝突は短期間では解決しにくいと思われるが、抑制されなければ世界の各大国の関係が悪化したり、より深刻な結果が発生する可能性がある」との意見も出されたという。(翻訳・編集/如月隼人)
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