回す力を鍛える6段階と20の方法を解説した楠本和矢氏の書籍「人・場・組織を回す力」が8月30日に刊行された。

本書は、これからの時代に求められる「複数人がいる場でメンバーから発言を引き出し、場を活性化させるコミュニケーションスキル」＝「回す力」について解説。誰にでも実践可能なコツからより高度なスキルまでを段階的に紹介している。リーダーシップを発揮しながらも自然体でいられる新しいリーダー像を目指す全ての人に向けた実践的な内容だ。

新しいリーダーの力、それは「人・場・組織を回す力」

これからの時代を生きる新しいリーダーに必須のスキルは、自然体で相手の心をつかみ、メンバーがいる場を愉快なものとし、豊かなコミュニティーにしていくこと。つまり、「前に出る型」のアピールではなく、無理せず一歩下がったところからのコミュニケーションだ。

それには、相手との何気ないやりとりを通じて徐々に好意を集めていく「人を回す力」、メンバーとのやりとりを通じてその場を愉快なものにしていく「場を回す力」、そのコミュニティーを裏方で支えて活性化させていく「組織を回す力」が必要になる。

最初から全部をやる必要はない。誰にでも簡単にできるコツから、やや高度なスキルまであり、少しずつ段階的に進めていけるようになっている。つまみ食いでも大丈夫。60点を目指せば十分だ。本書をきっかけに仕事、人間関係、そして人生をさらに良いものにする方法をつかんでほしい。

「回す力」が新しいリーダーに必要な理由

まず「回す力」とは一般的に、複数人がいる場でメンバーから発言を引き出し、場を活性化させるためのコミュニケーションとして理解されている。本書でお伝えする「回す力」とは、高度な話術を身に付けたり、前に出て速やかに仕切ることではなく、仕事や日常生活における円滑なコミュニケーションと、組織を率いるマネジメントにつなげる汎用的な技法だ。

世の中にはさまざまなコミュニケーションスキルやマネジメント論があるが、これからのリーダーにとってはこの「回す力」が特に重要になっていくと筆者は考える。世の中はまさに混迷の時代。今までの仕事のセオリーや常識が通用しなくなったり、若年世代との価値観ギャップが問題になったり、多様性が求められたりといろいろ大変だ。そんな混迷を極める状況の中、リーダーシップを発揮し、成果を上げて認められる存在になるためには、今までの常識や自分の知っている情報だけをベースにしていては不十分。仕事だけではなく、日常の生活にも言えることだ。

そんな時代だからこそ、オープンな姿勢で人や新しい情報を受け止める力、周囲との知的なやりとりの中で新しい知恵を生み出していく力を携えないと、変化に対応できなくなる。コミュニティーの潤滑油となってパワーを引き出し、発揮するためのスキルともいえる。まさにそれが、本書でお伝えする「回す力」なのだ。（編集/藤井）