固体電池の開発計画が次々に発表、NEVの技術革新につながるか―中国メディア

Record China    2024年11月15日(金) 18時0分

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12日、中国メディアの第一財経は、「固体電池の量産計画が発表、新エネルギー車は技術革新の時代へ」と題した記事を掲載した。写真は太藍新能源(Talent New Energy)の李彦CEO。

2024年11月12日、中国メディアの第一財経は、「固体電池の量産計画が発表、新エネルギー車(NEV)は技術革新の時代へ」と題した記事を掲載した。

同記事は、今年に入ってから、固体電池は次世代の動力電池技術として注目を集めており、多くの企業が量産化計画を発表していることを紹介。その例として、長安汽車と共同で隔膜なしの固体リチウム電池技術を発表した太藍新能源を挙げた。同社が開発する半固体リチウム電池は26年に、隔膜なしの全固体電池は27年に車両への実装テストが開始される予定だという。他にも、奇瑞汽車(チェリー・オートモービル)が「鯤鵬」という名の固体電池の開発を進めており、26年に定向運用を開始し、27年に量産化を計画していることや、寧徳時代(CATL)や比亜迪BYD)をはじめとする中学国内の主要企業も全固体電池分野における進展と計画を明らかにしていることに触れている。

また、「固体リチウム電池技術発展白書」が「固体リチウム電池を 27年頃に車載用として導入し、30年には大規模な産業化を実現することを目指して全固体電池の商業化が進められている」とし、「26~28年は、全固体電池を搭載した中国産のNEVが市場に集中投入される時期となる可能性がある。全固体電池の量産化が実現するまでの間、半固体電池の段階的なルートが商業化へ向けて先行する」と指摘していることを伝えた。

同記事は「短期的には材料やコストが依然高いため、自動車向けの一部高級モデルや特定のニーズを持つ電気自動車(EV)は固体電池を搭載すると割高になる。30年には動力電池における固体電池の浸透率が10%に達すると予測され、その大部分は半固体電池となる」とする一方で、「消費電子機器や航空宇宙などの分野では価格への反応が鈍く、割高な新技術も導入しやすいため、固体電池は自動車用市場より速いペースで浸透すると思われる。30年には固体電池の浸透率が20%、そのうち全固体電池の浸透率が10%に達するだろう」との見方も示している。

同記事は、固体電池について「従来の電池と比べて安全性とエネルギー密度が向上しており、次世代EVの動力として注目される技術である」とした上で、「固体電池は現時点で、技術的な指標をみると、三元リチウム電池(主にマンガン酸リチウム、ニッケル、コバルトを使用した電池)を上回っている」と評した。一方で、「多くの国際的な自動車メーカーが固体電池分野に参入し、この分野への投資を強化しているものの、いまだ量産された固体電池が自動車に搭載された例はなく、今日に至るまで、固体電池の正式な実用化には至っていない」とも伝えている。

同記事によると、固体電池の量産にはコストの高さなどの課題があり、一般に全固体電池のコストは現行のリチウム電池の4倍以上とみられている。製造規模が小さく、製造プロセスが完全に確立されていないため、半固体電池の量産初期には電池セル(電気を生み出す1つの構成要素)の価格が1ワット・アワー(1ワットの電力を1時間使った時の電力量の単位)当たり1元(約20円)以上に達するという。

市場調査会社TrendForceの予測によると、製造規模の拡大と技術成熟度の向上に伴い、35年までに半固体電池の総合コストは1ワット・アワー当たり0.4元(約8円)以下に下がる見通しだという。また、全固体電池についても、30年以降には全固体電池の使用規模が10ギガワット・アワーを超えると、電池セルの価格が1ワット・アワー当たり約1元に下がる。その後、市場に広く普及することで、35年には1ワット・アワー当たり0.6〜0.7元(約12〜14円)まで低下する可能性があるという。

山西証券が発表した調査レポートによると、固体電池は主にポリマー、酸化物、硫化物の3つのタイプに分類される。酸化物は性能が優れており、製造難易度もそこまで高くはないが、電導率が比較的低い。硫化物は理論上、固体電解質材料には最適だが、ポリマー固体電解質が技術的に最も成熟しているという。正極材料については、「リチウムマンガン正極材料が将来の理想的な選択肢」とされている。負極材料については、シリコン基材料が極めて高い理論容量を持ち、かつ原料が豊富に採れるため、さまざまな企業が重点的に研究を行っている。他にも、リチウムを用いた金属負極材は将来の全固体電池の負極材料として期待されているという。

同記事は、固体電池には技術的な課題も存在していることも指摘。中国科学院の欧陽明高(オウヤン・ミンガオ)院士の「電池技術は一朝一夕で完成するものではなく、急がば回れの姿勢が必要であり、固体電池の開発には段階的な取り組みが最も効率的である。まずは電解質の問題を解決し、その後に負極、正極の課題に取り組むべきだ。初めは固体電池のエネルギー密度が想像ほど高くないかもしれないが、それでも安全性を向上させ、熱管理を簡素化することが可能だ。最終的には30年までに固体電池の大規模な産業化を果たすことが目標となる」との主張を紹介した。(編集・翻訳/奈良)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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