Record China 2024年11月20日(水) 7時0分
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17日、中国メディアの第一財経は、「トランプ氏の保護主義政策が日本経済に及ぼす影響」と題した記事を掲載した。
2024年11月17日、中国メディアの第一財経は、「トランプ氏の保護主義政策が日本経済に及ぼす影響」と題した記事を掲載した。
同記事は、「米国の重要な同盟国である日本は、政治、軍事、経済、貿易といった幅広い分野で米国と深い関係を持ち、米国の影響を強く受ける立場にある」と前置きした上で、トランプ氏が選挙戦で掲げた政策や、今後の政策についての世論の分析を基に、「日本国内では、政治、外交、経済、貿易などさまざまな分野に不確実性がもたらされるのではないかという懸念が広がっている」とした。
その上で、トランプ氏が当選したその日のうちに「所得税の大幅削減」と「輸入関税の引き上げ」を公言したことに触れつつ、「この保護主義的経済政策は米国国内の物価や金利を押し上げ、円安からの脱却を困難にし、日本の物価も上昇しやすくなると予想される。その結果、家庭の支出や企業のコストが増加し、脆弱な日本経済の回復が妨げられ、対外経済や貿易に大きく依存している日本の産業界全体に影響を及ぼすことが懸念される」と論じた。そして、「関税引き上げによって日本の対米輸出が大幅に減少する結果、日本のGDPが0.38%押し下げられる」という大和総研による予測を紹介している。
同記事によると、トランプ氏が大統領になることで自動車産業は特に大きな打撃を受けるとの見方があるという。現在、バイデン政権下で推進されていた電気自動車(EV)優遇政策や、日本政府による支援を背景に、日本企業は米国でのEVプロジェクトへの投資を加速させている。しかし、同記事はトランプ氏が気候変動問題に消極的な姿勢を見せており、パリ協定からの脱退などを再び推進する可能性があることを指摘。「米国国内でのグリーンエネルギーへの転換が減速し、地球規模での気候変動対策に大きな影響を与えるだけでなく、日米間で進行中のエネルギー関連投資や協力プロジェクトの今後が不透明になる懸念がある」とした。
他にも「情報通信業を含む日本の製造業も米国への輸出を積極的に行っているため、トランプ氏の保護主義的経済政策に敏感に反応している。製品の価格競争力が低下し、輸出量が圧迫される事態を懸念している」と指摘した。
次に、同記事は、トランプ氏は選挙戦で「米国の石油・天然ガス生産を拡大し、エネルギー価格を引き下げ、輸出を増やす」との公約を掲げており、「1年以内、遅くとも1年半でエネルギー価格を半減させる」という壮大な目標を掲げていたことに言及。「この政策が実現すれば、米国で石油や天然ガスを生産・販売している日本企業の収益性に大きな打撃を与える」と伝えた。
エネルギー価格引き下げ政策の影響についても言及しており、物流業界については、「トランプ氏のエネルギー政策は、日本国内の燃料価格の低下を期待している物流業界にとってはメリットと捉えることができる一方で、彼の貿易保護主義的政策が輸出貨物の減少を招くことで物流量や収益が減少する懸念もあり、物流業界内では相反する評価が混在している」と伝えている。
一方、旅客輸送業については「物流量の影響を直接受けないが、最大のコスト要素である燃料価格が下がることから、トランプ氏のエネルギー政策は歓迎されている」とした。日本の観光業については「コロナ禍後、世界各国からの訪日観光客の急増により回復を遂げ、日本経済と国民生活に大きなプラス効果をもたらしている。しかし、この分野では米国の政権交代による訪日客数が減少し、好調になり始めたばかりの観光業に冷や水を浴びせることになると懸念されている」と分析している。
不動産業界については、「トランプ氏の保護主義政策そのものの影響は少ないと考えられるが、日本国内の景気指数や経済発展が米国の政策に引きずられるかどうかに注目している」と説明。トランプ氏が不動産王として知られていることから、「日本の業界はトランプ氏の任期中に米国の不動産市場が活性化され、それが日本の不動産業界の発展につながることを期待している」と紹介した。
同記事は、「グローバル化の進んだ大企業は、トランプ氏の保護主義政策による不確実性を高い関心を持って注視している一方、中小企業、特に下請け型の加工業者は輸入商品の価格上昇が続くことで、もともと狭い利益幅がさらに圧迫されることを懸念している」と指摘。また、「一部の業界では、トランプ氏の政策を肯定的に捉えており、例えば、卸売業や小売業を含む総合商社は、トランプ氏の経済規模拡大の政策が商品販売量の増加に寄与すると見ている」と伝えた。
同記事はさらに、東京商工リサーチによるアンケート結果を紹介した。日本全国の5956社(うち、資本金1億円以上の大企業が626社、1億円未満の中小企業が5330社)を対象に実施したこのアンケートでは、「トランプ氏の当選が企業業績に『ネガティブな影響』を与えるか『ポジティブな影響』を与えるか」という問いに対して、「分からない」と回答した企業が50.6%、「ほとんど影響がない」と答えた企業が25.6%、「ネガティブ」と回答した企業が16.3%、「ポジティブ」と回答した企業が7.4%という結果となった。また、「ネガティブ」と答えた大企業の割合(18.0%)は中小企業(16.0%)よりも高かったという。
業界別に見ると、「ネガティブ」と答えた企業が「ポジティブ」と答えた企業を上回った業界がほとんどであり、特に、情報通信業(29.4%)、農林漁業・鉱業(22.4%)、製造業(21.0%)で「ネガティブ」と回答した率が高かった。同記事は「トランプ氏の保護主義政策が米国市場、ひいては世界市場における利益を損なうのではないか」という懸念の現れではないかと伝えている。
また、サービス業はトランプ氏当選による影響に対して比較的楽観的だったとし、「ポジティブ」と答えた企業の割合が最も高いのは総合商社を含む商品小売業(34.4%)、次いで、高速道路などの旅客輸送業(26.3%)であったとのアンケート結果を紹介している。なお、「ネガティブ」の割合が最も高いのはホテル業(30.7%)であった。
他にも、企業がトランプ氏の政策で最も注目しているのは、為替政策(60.3%)であったことや、米中関係(50.7%)、ウクライナ問題および米露関係(7.3%)にも注目が集まっていることにも触れた。特に輸出型企業では、米国の為替政策と地政学的リスクが最大の関心事となっているという。
同記事は、上記調査結果を踏まえて、「日本の産業界におけるトランプ氏再登場への期待と懸念が入り混じっていることが分かる。対外貿易依存度が高く、米国との関係が深い日本は、産業界全体が米国の政策に深く影響される立場にある」と指摘。「トランプ氏が再びホワイトハウスに戻ると、日本の経済、産業界、さらには家庭生活に至るまで、再び対応力が試されることになるだろう」と論じた。(編集・翻訳/奈良)
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