今や中華圏で大人気のポップ・ロック・バンド、告五人(ガオウーレン)、英語名Accusefive(アキューズファイブ)が、11月22日、KT Zepp Yokohamaでライヴを行なった。このライヴを含むツアーは<宇宙的有趣 AROUND THE NEW WORLD>というタイトルで、台北・高雄アリーナはもちろん、中国、東南アジア、オーストラリア、アメリカからヨーロッパまで続き、彼らの成功を示すように万単位の人が入る大きな会場での挑戦だ。そして今回は、横浜。大型ライヴハウスのZeppでどんなライヴを見せて聴かせてくれるのか、期待しながら向かった。
Zepp Yokohamaはアリーナも満員、2階も満員の盛況。暗転になるとスクリーンにデザインされたロゴマークが映し出され、メンバー登場。ドラムス/パーカッションの哲謙(リチャード)はすでにノリノリだ。ヴォーカルの犬青(チュエン・チン)は、白いチャーミングなミニのドレスに黒いブーツの美しい姿で魅了する。そして、ギター&ヴォーカルで作詞作曲を担う雲安(ユン・アン)もさっそうと登場。3人だけにスポットが当たり「你要不要吃哈密瓜(How much do you know about the melon)」から始まった。この曲は告五人のデビューEP「迷霧之子(Let go)」の1曲目に収録されているもので、私も当時かっこいい曲だな、いいバンドが出てきたと思った事を思い出すほど、エッジの効いたロック。ライヴでもクール。告五人のヒストリーが始まった。
一方、告五人の音楽の面白いところは、ちょっとした編曲で色々な音を聞かせることだ。たとえば、彼らの代表曲である「愛人錯過(Somewhere in time)」では、ティアーズ・フォー・フィアーズを思わせるギター・フレーズがあったし、「你所到之處(就下雨)Your Guilt-trip」では、キューバ~スティールパンの音色~カリプソが奏でられるなどカリブ海の音も聴こえる。現在Netflixで観られる台湾ドラマ「女優:ボーン・トゥ・シャイン」のための曲、今のところ彼らにとっての一番新しい曲「從未見過的海 Beyond The Sea」では南アフリカを感じたりもした。
ソファー・コーナーが終わると、今度は「給你一瓶魔法藥水 You Are My Magic」でシャボン玉がスクリーンに映され、チュエン・チンもシャボン玉を飛ばしハートの形にして観客に贈ろうとしている、可愛らしい曲で可愛らしい演出。ちなみに今回のツアー・タイトル<宇宙的有趣>はこの曲の歌詞から取られているそうだ。
アンコール前の最後の曲「又到天黑 We Will Be Fine」では、スクリーンにステージを作る裏方さんやヘアメイク係の映像などを流す。何度も何度も感謝の言葉を口にしていた告五人。人柄だろう。
本編が終わりアンコール。スクリーンには「安可」の文字が。あ、アンコールね、と皆でこの言葉を叫ぶ。「帶我去找夜生活 Night life.Take us to the light」はちょっとユーロビートを感じさせるロックで、「在這座城市遺失了你 Where I Lost Us」は彼ららしくドラマティックに美メロを聴かせる。彼らにインタヴューをした時、僕たちはヴィンテージなサウンドも好きなんだ、と言っていたが、確かにそんな感じが、した。