「日本が好きなら中国から出ていけ」=そんな酷いコメントが来る現状を変えたい―中国人学生

日本僑報社    2024年12月8日(日) 13時30分

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「新芽」というサークルを作った。日本のアニメをきっかけに、日本文化に興味を持った学生たちが集まり、サークルには和気藹々な雰囲気が漂っていた。写真は大阪。

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「日本文化に興味がある人は、ぜひ私たちのサークルへ」

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チラシを配っている後輩たちの姿を見ていて、私はふと3年前を思い出した。

大学に入り、日本語を勉強し始め、日本文化に興味を持っているから、「新芽」というサークルを作った。日本のアニメをきっかけに、日本文化に興味を持った学生たちが集まり、サークルには和気藹々な雰囲気が漂っていた。

毎週の金曜日の夜8時から、それは私たちの「お祭り騒ぎ」の時間だ。アニメ会や茶道会、読書会など、様々なテーマで活動を行い、皆は夜遅くまで語り合い、なかなか帰る気配を見せなかった。コロナが原因で日本に行けないにも関わらず、皆ができる限りの空想の中の日本について一所懸命分かち合う姿を見て、私はこのサークルを立ち上げて本当に良かったと、しみじみ思った。

ある日、サークルの一人がこんな話をした。「このサークルに日本人が居てくれたら良いのに」。確かにそうだ。一人でも二人でも良いから日本人が居たら面白いだろう。そこで、「日本人の友達募集」という動画を、ツイッターやユーチューブにアップロードした。しかし、2週間経っても、応募した日本人も現れず、皆が落ち込んでいたところ、待望の日本人からのメッセージを貰った。「中国に興味があります。『新芽』に入れてもらえませんか」。

こうして、「新芽」には新しい血液が注がれたのである。大阪在住の木村さんのおかげで、毎週の金曜日はさらに盛り上がり、関西弁についても色々教えてもらい、木村さんにも中国のことを紹介した。そして木村さんは「機会があれば、ぜひ中国に行ってみたい」と言った。海を隔てているとはいえ、両国の青年たちが、ビデオ電話1本でこのように自由に語り合えることは、科学技術の発展に負うところが多いと言えるだろう。

2022年の年末、新型コロナウィルス対策が緩和され、ポストコロナ時代の幕が徐々に開いてきて、日本に行って木村さんと会う事も現実味を帯びてきた。実際に日本に行き、会ってみたいという気持ちにも掻き立てられ、「新芽・日本ツアー」という企画を考えに入れた。その後、サークルの皆でスケジュールや、費用など細かいところまで相談し合い、皆の顔は隠しきれないほどの興奮で赤くなり、目鼻さえ踊っているように見えた。

「新芽・日本ツアー」のポスターをSNSに載せ、他に参加者や協力者を募ったところ、「新芽」は思いも及ばなかったサイバー暴力に襲われた。「そこまで日本が好きなら、中国から出ていけ。二度と帰ってくるな」「これは新型詐欺に決まっている」「海外に行かず、中国を旅行しろ」。こういった目も当てられぬコメントを見ていると、怒りというより、悲しい気分になった。

中日両国は学び合い手を握って歴史の道を歩んできたのだ。しかしある日、大喧嘩して仲間割れしてしまった。時間が経つにつれ、再び交流し合うようになったが、わだかまりが祟って、昔の仲の良かった時のような関係に戻れない。そのため、これからすべきことは、先ずはわだかまりを捨てることだろう。

酷いコメント欄を見て、若者としての私たち「新芽」は、その現象を変えたいと思っている。「わだかまりを捨てる」という考えを中国の人にも、日本の人にも伝えたいと思っている。この考えをSNSに載せた。いまだ批判の声はあるが、一方で、支持してくれる声も徐々に増えてきた。

「中国には、このような国際的な交流意識を持つ青年がいてほしい」「日本のいい文化を持ち帰ると同時に、中国の良さもきちんと伝えてね」。このようなコメントを見て、心の底から潤いが生まれてきた。まるで国のために戦う兵士のような勇ましい心地になった。「新芽」はこれからどうなるのか、乞うご期待である。

■原題:ポストコロナ時代の日中交流 ―私の体験と提言

■執筆者:王珊珊(四川外国語大学)

※本文は、第19回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「囲碁の智恵を日中交流に生かそう」(段躍中編、日本僑報社、2023年)より転載・編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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