「名探偵コナン」、ストーリーがひどいと批判されながら人気なのはなぜか―中国メディア

Record China    2024年12月14日(土) 14時0分

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7日、中国のポータルサイト・捜狐に「名探偵コナン」のストーリーがひどいと批判されながらも人気が高まっている理由について言及した記事が掲載された。写真は名探偵コナン。

2024年12月7日、中国のポータルサイト・捜狐に「名探偵コナン」のストーリーがひどいと批判されながらも人気が高まっている理由について言及した記事が掲載された。

記事はまず、「先に断っておくが、ここ数年の『ストーリーがひどい』というのは周知の事実であり、筆者の個人的な意見ではない。信じられないなら、ここ数年の同シリーズに寄せられたコメントを見てみるといいだろう。一方で、人気が高まっているというのも事実だ。調査したところ、23年以降『名探偵コナン』に関するコンテンツのトラフィックや注目度は、以前の10倍以上に増加している。また、ここ数年で劇場版シリーズの興行収入記録が連続で更新されていることもそれを裏付けている」と述べた。

その上で、「つまり、連載開始から30年近く経過した名作『名探偵コナン』は、一種の矛盾した状況を呈している。一方では、推理ストーリーがどんどんひどくなっていると批判されている。たとえば事件の論理的な矛盾や、メインストーリーの進展が遅いことなどが挙げられる。もう一方では、その人気が高まり続けており、劇場版の興行収入はたびたび新記録を樹立し、関連する話題は各種プラットフォームで盛り上がりを見せている。では、なぜ批判を浴びている作品がこれほどまでに成功を収め続けるのだろうか?」と問いかけた。

そして、「初期の『名探偵コナン』では、事件の設計は複雑な手法と綿密な論理が基盤とされており、各エピソードが知的な戦いのようだった。しかし、近年の事件は『パターン化が激しい』と批判されている。犯行手法が頻繁に繰り返され、視聴者がすぐに犯人や手口を予測できるため、新鮮味に欠けていたり、 犯行動機が荒唐無稽であることが多く、たとえば些細な侮辱や小さな出来事が凶行につながるなど、現実味がなかったりするのだ。また、江戸川コナン(えどがわコナン)の推理能力が『格下げ』されており、以前のような冷静で緻密な探偵像を失い、場当たり的な手掛かりに頼ることが増えた」と論じた。

また、「近年では、日常生活の描写やキャラクター間の感情線が作品内で大きな比重を占めるようになった。たとえば、工藤新一(くどうしんいち)と毛利蘭(もうりらん)の関係や、安室透(あむろとおる)や赤井秀一(あかいしゅういち)といった脇役の個人的なエピソードが増えている。これらはキャラクターの関係性に期待する一部のファンには歓迎されているが、推理部分が薄れることで、コアな推理ファンの需要を満たせていない」と指摘した。

さらに、「『名探偵コナン』はもともと現実をベースにした推理作品だったが、近年では非現実的な展開が増えている。劇場版シリーズでは、コナンが高所から飛び降りたり、スケボーで列車を追いかけたりするシーンがあり、もはやアクション映画のようだと指摘されている。テレビシリーズでは、事件を解決するために無理やりこじつけた推理や非現実的な技術が登場し、視聴者から『これでは推理ではなくSFだ』とやゆされている」とした。

このほか、「一部の脚本家、特に浦沢義雄氏が手掛けたエピソードでは、奇抜でコミカル、時には『ありえない』事件が多く見られる。これらのストーリーは視聴者の間で議論を巻き起こす一方で、推理ファンからは『知能を侮辱されている』と批判されることも多い。しかし、こうした『炎上』が逆に作品の話題性とトラフィックを増やす結果になっているのだ」と説明した。

記事は、「多くの視聴者にとって、『名探偵コナン』は単なるアニメではなく、子ども時代の思い出そのものだ。工藤新一、毛利蘭、灰原哀(はいばらあい)といったキャラクターは鮮やかに描かれ、視聴者は彼らの運命に強い感情的な関心を抱いている。ストーリーが多少退屈になっても、ファンはキャラクターの成長を見るために作品を追い続けている。 こうした『ノスタルジー経済』により、古参の視聴者が離れることなく、彼らの忠誠心が名作の持続的な人気を支えている」と言及した。

そして、「近年の劇場版『名探偵コナン』シリーズは重要な収益源となっており、興行収入や話題性でたびたび新記録を打ち立てている。『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』の興行収入は138億3000万円、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』は150億円を超える大ヒットとなった。劇場版シリーズは視覚効果やアクションシーンに一層力を入れており、大衆向けのエンタメ作品としての観客の期待に応えている。その結果、特に若い世代の新規ファン層を大量に獲得している」と分析した。

また、「短編動画プラットフォームやSNSの普及により、『名探偵コナン』は広範囲で議論される機会を得た。ストーリーのツッコミどころが、逆に注目ポイントになっている。たとえば、非現実的な推理や不条理な事件が、『どんな展開なのか見てみたい』と一般の視聴者を引ききつける要因になっている。この『ツッコミ文化』の盛り上がりにより、『名探偵コナン』を見てツッコむこと自体が一種の娯楽となり、たとえネガティブな評価でも作品の話題性に貢献している」と述べた。

さらに、「『名探偵コナン』は90年代のアニメだが、00年代生まれや10年代生まれの若い視聴者にも強い訴求力を持っている。 短編動画プラットフォームで配信される、過去の名事件やキャラクターの名シーンが、若い視聴者に同シリーズの魅力を伝えているのだ。 古参のファンが次世代に『子ども時代の名作』として勧めることで、世代を超えた広がりを形成している」と論じた。

記事は、「推理の核心が弱体化し、エンタメ要素が増加したことで、『名探偵コナン』は一部のコアな推理ファンを失ったものの、新たな成長の機会を得た。推理よりもアクション性を強調した劇場版シリーズは、現代の視聴者が求めるスピーディーな消費スタイルに適応しているほか、キャラクターの恋愛や成長が、キャラクターの物語に注目する層を引き寄せているため、たとえ『ストーリーがひどい』と批判されても、それが逆に作品の露出を増やし、人気を支える要因となっている。同シリーズは、推理要素が徐々に薄れていく一方で、文化現象としての影響力がかつてないほど高まっている。この『ストーリーがひどくなるほど人気が高まる』という現象の背景には、名作が市場に柔軟に適応し、変化してきた姿があるのだろう。たとえ批判されても、それでも見る価値がある作品なのだ」と評した。(翻訳・編集/岩田)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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