「非常戒厳」を唐突に宣言した韓国・尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領の弾劾を求め、ソウル市内の国会前で連日開かれた大集会にはペンライトを手にした若い女性たちの姿が目立ち、まるでライブ会場のようだった。米誌ニューズウィークは韓国メディアの報道を紹介。「K-POPの歌手らが温かい食事などを相次いで差し入れた」と伝えた。

先陣を切ったのは、シンガーソングライターのIUだった。日頃から災害の被災者などへ寄付を行っていることで知られる彼女は12月13日、集会に参加するファンのためにパン200個、ドリンク200杯、餅100個、クッパ200食を用意したと投稿。国会のある汝矣島の食堂とベーカリーなどの店名を公開した。

女性グループのニュージーンズは14日、インスタグラムに新しいアカウントをオープンした後、「バニーズ（ファン名）とK-POPファンの皆さんのための小さなプレゼント」として「アーティストに関係なくペンライトさえあれば『バニーズ』の名前で受け取ることができる」と説明した。

彼女たちが公開したリストには、飲食店4カ所でキンパ、ドリンク、サムゲタン、餃子スープなどを午後3時から午後9時30分まで無料でもらえると書かれていた。メンバーのミンジは「韓国はすごく寒くないか。 皆さんが温かいご飯を食べるように私たちが準備したので、ご飯をちゃんと食べてほしい」と応援の言葉も忘れなかった。

女性アイドルグループ少女時代のユリも差し入れに加わった。少女時代のヒット曲「また巡り逢えた世界」（ダシ マンナン セゲ）は、2016年の梨花女子大学校でのデモで歌われて以来、朴槿恵（パク・クネ）大統領の弾劾を求めるろうそく集会のプロテストソングとしても知られており、今回の集会でも歌われている。

ユリはファンとのコミュニケーションプラットフォームに「みんな、明日キンパを食べてお腹いっぱいにして。安全に気をつけて、健康に気をつけて。『ダマンセ』をよく歌って」と投稿。永登浦区堂山駅近くのキムパ店にファンのためのキムパを用意したと告げ、少女時代のペンライトを持っていればキムパを受け取ることができるように手配した。

ニューズウィークによると、こうしたアーティストたちの行動に対して、ネットの一部では批判する声も上がった。アーティストが政治上の主張することを非難し、彼女らが広告で出演するブランドの商品の不買運動を展開しようという呼び掛けすら出る始末だ。ただ、多くのネットユーザーは不買運動の動きに「スターがファンを心配して愛するのに何の問題があるのか」「政治的意味がないことを知らないのか」と冷めた反応を示したという。（編集/日向）