監視カメラの世界トップ企業のハイクビジョン、時価総額が8.6兆円減少―中国メディア

Record China    2024年12月23日(月) 8時0分

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監視カメラなどの映像機器の世界トップ企業である杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)の株式時価総額が、最高値を付けた時期と比べて4000億元(約8兆5700億円)も減っている。

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経済や金融関連を主に扱う中国メディアの新浪財経は20日付で、監視カメラなどの映像機器の世界トップ企業である杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)の株式時価総額が、最高値を付けた時期と比べて4000億元(約8兆5700億円)も減っていると紹介する記事を発表した。

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同社設立は2001年で、同年に発生した米国での同時多発テロ事件や、中国政府が2010年代に着手した、人工知能(AI)を利用した監視カメラシステムを大規模に導入する「天網工程」が追い風になって急成長し、同分野で世界トップの地位を確立した。17年には世界シェアが38%程度だったとされる。

同社は10年に深セン証取で株式を上場した。同社の急成長は続き、株式上場当時の純利益は10億5200万元(約225億円)だったが、21年には168億元(約3600億円)に達した。21年に同社の株式時価総額は6400億元(約13兆7000億円)に達した。

しかしその後は苦境に陥り、24年1-3四半期(1―9月)の利益規模は21年同期の7割程度にとどまった。株価の落ち込みはさらに深刻で、現在の時価総額は2000億元(約4兆2900億円)程度で、最高値をつけた時期と比べて4000億元(約8兆5700億円)余りも低下した。

ハイクビジョンの苦難の道は18年に始まった。まず米国がプライバシー侵害や、正常な認証の過程を経ずに情報を転送する「バックドア」の問題があるとしてハイクビジョン製品の政府調達を禁止した。米国はさらに19年に、同社を「エンティティ―リスト」に入れて米国から「締め出し」た。このことで同社の海外事業は大きな打撃を受けた。その後も西側諸国の間で、同社製品を締め出す「バッシング」が続いた。

ハイクビジョン

中国国内でも逆風が発生した。中国人のプライバシー意識が高まったことで、住宅地に取り付けられる監視カメラは減り、住宅地以外でも、監視カメラは公共の出入り口だけに向けて取り付けられる状況が発生した。

ハイクビジョンは打開のために、スマートホーム、ロボット、サーモグラフィー、自動車エレクトロニクス、ストレージなど事業の多角化を図り始めた。これらの「非本来事業」の売上高全体に占める割合は、18年には5.41%だったが、24年上半期(1-6月)には25.06%に達した。

しかし同社の経営多角化が順風満帆であるわけではない。大きな要因の一つが競争相手の多いことだ。例えばスマートホーム分野では小米、アリババ百度などの技術系企業やハイアールなどの伝統的な家電企業がひしめいている。自動車エレクトロニクス分野ではテスラ、小鵬などの新エネルギー車メーカー、ボッシュや中国大陸部の伝統的な部品メーカーが群がっている。

23年実績では、「本来事業」の粗利益率は46.34%で「非本来事業」では39.63%だったと、ハイクビジョンにとっては「転進先」の利益率が低い問題も出ている。経営多角化がハイクビジョンの経営改善に即効性があるとは思えない状況だ。

ハイクビジョンはむしろ、長期ビジョンに基づいて会社の体質改善を考えているようだ。というのは、18年には研究開発費は売上高の8.99%だったが、23年には12.75%に上昇し、24年第1-3四半期には13.44%とさらに上昇したからだ。同社は技術系企業として最も基本的な特徴を維持していると言える。

研究開発への巨額の投資も、迅速な利益獲得に結び付かないことが一般的だ。ただし、現在は株価暴落に直面した株主も、「長い痛み」を経験した後に「再び花咲く日を迎える」可能性はあると言える。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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