記者が独断で選ぶ2024年「日本アニメ10選」―シンガポール紙

Record China    2024年12月28日(土) 22時0分

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シンガポール紙・聯合早報は、同紙記者が選ぶ2024年の「日本アニメ10選」を紹介した記事を掲載した。写真は僕のヒーローアカデミア。

シンガポール華字紙・聯合早報は、同紙記者が選ぶ24年の「日本アニメ10選」を紹介した。

記者はまず、「日本アニメが世界を席巻し、業界全体をけん引して以来、日本アニメの制作はますます精緻になり、観客を魅了してやまない。24年は、日本アニメにとって豊作の年となった。その多様な作品の中から、私の個人的な好みに基づいて『2024年の日本アニメ10選』を選んだ」と述べた。

そして、10位に堀越耕平氏原作の「僕のヒーローアカデミア」第7期を挙げ、「最初は『僕のヒーローアカデミア』に抵抗があり、日本の漫画なのになぜ米国のマーベル風のスーパーヒーローものをやるのかと思っていた。しかし、思いがけずこれまでの6期を一気に見て、この作品は間違いなく『日本らしいアニメ』だと気付いた。スーパーヒーローの設定はあくまで表面的なもので、キャラクターの心理描写は非常に日本的だ。原作漫画はすでに完結し、単行本の累計販売部数が1億部を超える驚異的な記録を達成。アニメもいよいよ終盤に突入し、第7期ではこれまでの冗長なペースを改め、最終章となる第8期への期待を高めている」と言及した。

9位は魚豊氏原作の「チ。-地球の運動について-」だとし、「あまりにも原作漫画が好きすぎて、アニメ版を見ると最初の衝撃や感動が薄れてしまったように感じた。それでも、少年ラファウが命を懸ける場面では涙を抑えられなかった。おそらく、アニメ版で日本のロックバンド・amazarashiが主題歌や挿入歌を担当していないことが一因だろう。私はamazarashiがこの作品のために楽曲を制作したことがきっかけで原作に出会ったので、彼らの音楽がないのは少し残念だ。ただし、声優陣は豪華。津田健次郎さんがノヴァクを演じており、この作品の魅力を大きく引き上げている」と強調した。

8位は吾峠呼世晴氏原作の「鬼滅の刃」柱稽古編
だとし、「『鬼滅の刃』柱稽古編は、物語が大きなクライマックスに入る前のエピソード。アニメ制作会社・ufotableによる『鬼滅の刃』シリーズは、もはや『金に糸目をつけない』としか言いようがなく、驚異的に美しい映像を提供している。ただし、前作の豪華さと比べると、柱稽古編は控えめで、原作漫画ではほんの数ページしか描かれていないエピソードを無理やり引き伸ばした感がある。それでも、今シーズンの最終話『柱・結集』は視聴者に再び興奮をもたらし、次に劇場版3部作で描かれる無限城編への期待を高めた。
原作漫画を読んだ人なら『残りの単行本7巻分の内容を3本の映画でどう収めるのか?』また、『ufotableはどれほどの予算を投じてさらに映像美を極めるのか?』と疑問に思うだろう。その答えを知る日が楽しみだ」と期待を寄せた。

7位は理不尽な孫の手氏原作の「無職転生ll ~異世界行ったら本気だす~」(後半)だとし、「異世界転生ジャンルの先駆けとも言える『無職転生』は、冴えない男性が自分を見つめ直し、新たな人生を切り開く物語。そのテーマは多くの男性視聴者や読者の共感を呼び起こしている。ハーレム設定については、現代の美意識にそぐわない部分もあるかもしれないが、このアニメは派手さや感情を過剰に煽るような演出ではなく、落ち着いた語り口ながらも視聴者の心に響くような魅力がある。昨年、主人公のルーデウス・グレイラット役の内山夕実さんとシルフィエット役の茅野愛衣さんとへインタビューする機会があり、それ以来、アニメを見る際に親しみが増した。これもこの作品を高く評価した理由の一つだ」と加えた。

6位には古舘春一氏原作の「劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦」を挙げ、「
オリンピックイヤーにはやはりスポーツアニメ! そして、井上雄彦氏の『スラムダンク』に続く新時代のスポーツアニメとして最もふさわしいのが、古舘氏の『ハイキュー!!』だと思う。テレビアニメ版はシーズンによって完成度に差があったが、今回劇場版に形式変更したことで、映像のクオリティーが大幅に向上し、ストーリーも冗長さがなくなった。映画館で見ている時は胸が熱くなる展開ばかりだった。ただ、映画館でお金を払って見た直後、Netflix(ネットフリックス)で早々に配信が始まったことに少し損した気分になった。それでも、家で何度も繰り返し視聴できる点はありがたい」とした。

5位は雨森たきび氏原作の「負けヒロインが多すぎる!」だとし、「
今年最大のサプライズ作品! ライトノベルを原作とし、A-1 Picturesがアニメ制作した本作は、清新な作画スタイルと、少年少女の繊細な初恋の描写が特に魅力的だ。主人公の温水和彦(ぬくみずかずひこ)は恋愛に鈍感。一方メインヒロインの八奈見杏菜(やなみあんな)は大胆な性格ながら、肝心な場面では曖昧な態度をとることが多い。しかしその曖昧さこそが、物語を続けるための大きなポイントであり、新たなエピソードを展開する余地を生んでいる。また、エンディングテーマが各ヒロインの声優によって歌唱され、それぞれ異なるミュージックビデオが制作されているのも見どころだ。この細やかな演出が本当に好きだった」と述べた。

4位は松本直也氏原作の「怪獣8号」だとし、「現在の日本アニメ界では、暗く残酷な作品が主流となる中、『怪獣8号』のような王道漫画として忠実な作品はますます珍しくなっている。
主人公の日比野カフカ(ひびのカフカ)が『怪獣になる』という設定はフランツ・カフカの中編小説『変身』へのオマージュとも言えそうだ。しかし、作品そのものはカフカ的な暗さを伴わず、極端に異化することもない。むしろ、夢を叶えられなかった中年男性が、幼なじみの亜白ミナ(あしろミナ)と肩を並べて戦える自分になろうと奮闘する姿が描かれていて感動的だ。
さらに、カフカは典型的な『いい人』だが、いい人であるがゆえに多くの試練に直面する。これが物語の大きな魅力となっている」と説明した。

3位には龍幸伸氏原作の「ダンダダン」を挙げ、「宇宙人の存在を信じる少年と、幽霊の存在を信じる少女が恋をしながら、笑いと涙、そして白熱する戦闘シーンを繰り広げる。さらに、作品には映画やアニメのパロディーや隠しネタが満載で、視聴者を驚かせ続ける。『ダンダダン』はまるで米国の芸術家であるアンディ・ウォーホルのカラフルな世界観を、香港の俳優・映画監督の周星馳(チャウ・シンチー)のコメディー映画に組み込んだかのような作品。感覚を刺激する爽快なエンターテイメントでありながら、人の心を揺さぶる物語や、米国の小説家であるオー・ヘンリーが描くような予想外の展開も楽しめる。例えば、殺害された少女たちの悲劇や、家族愛を求めて流浪する女性の苦悩など、笑いの後には感動の涙が流れる仕掛けが満載だ。喜劇は制作が難しいジャンルだが、『ダンダダン』はその高みに達する可能性を秘めた作品だ」と評した。

2位には藤本タツキ氏原作の「ルックバック」を挙げ、「21年に登場し大きな話題を呼んだ短編漫画が原作の映画は、上映時間わずか58分という短さながら、原作の精神を完璧に捉えていた。写実的なアニメーションは一般的に敷居が高いと思われがちだが、『ルックバック』は、対照的な性格の少女たちの成長を描きつつ、人生の無常を語る。悲劇が起きた後に何も取り返せない現実の中、深い哀悼を抱えながら前に進むしかないという切なさが描かれている。藤本タツキが贈る、最も心を打つ平凡でありながら深い物語だ」と紹介した。

1位に九井諒子氏原作の「ダンジョン飯」を挙げ、「『ダンジョン飯』への愛は、『葬送のフリーレン』に匹敵するほどだ。この作品は、異世界での『料理と冒険』の見事な融合といえる。主人公のライオス・トーデンの異世界のモンスターたちに対する執念や、センスの光る調理法、さらにコミカルな仲間たちのやりとりが、この作品にユーモアと魅力を加えている。何かに対して強い情熱を持つキャラクターは、日常の中で失いがちな熱意を私たちに思い起こさせてくれる。最初は『異世界料理ショー』のように見えるかもしれないが、主軸であるダンジョン探検が物語をさらに深め、日常と冒険のバランスを絶妙に保っている。この作品は、視覚的、感覚的、そしてストーリー的にも大満足の傑作だ」とたたえた。(翻訳・編集/岩田)

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