中国の原発建設ラッシュの背景―独メディア

Record China    2025年1月7日(火) 18時0分

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2日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版は、中国による原子力発電所建設ラッシュについて分析するドイツ紙の報道を紹介する記事を掲載した。写真は福清原子力発電所。

2025年1月2日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版は、中国による原子力発電所建設ラッシュについて分析するドイツ紙の報道を紹介する記事を掲載した。

記事は、南ドイツ新聞が先日発表した文章を紹介。記事によると同紙は、11年の福島第1原発事故後に多くの国とともに原発建設計画を中断した中国が今では急ピッチで原発建設に取り組んでおり、30年までに米国を抜いて世界最多の原発保有国になると伝えた。

そして、オックスフォードエネルギー研究所の中国問題専門家アンダース・ホーブ氏の言葉を引用して「中国には原子力発電所の建設を推進するための独特の社会的・政治的条件が整っている。その中には、現地の人々が政府の計画に反対する機会がほとんどないという事実も含まれている。そして、地方の指導者にとって原発プロジェクトはキャリアに大いに有利なのだ」と指摘。海南省の住民が長年風力発電所の建設に反対してきたものの、地方指導者の強力な推進によって16年に昌江原発が建設された事例を紹介している。

また、ホーブ氏が「原子力発電は中国にとって火力発電の代替手段と見なされており、習近平(シー・ジンピン)政権下での野心的な環境目標を達成するために重要だ」との見方を示したことを伝え、建設コストが低いことも原発の建設が急速に進んでいる要素の一つであると伝えた。

同紙はさらに、中国が中長期的にはロシアのように原子力を輸出する狙いも持っているとするジャコポ・ボンジョルノ米マサチューセッツ工科大学教授の見解も紹介。一方で、現時点ではパキスタンのみが中国の原子炉技術を購入する意思を示しており、スーダン、エジプト、南アフリカなど多くの国は数年前に中国と枠組み協定を結んだにもかかわらず計画段階にとどまっているとも指摘し、その背景には「多くの国が、中国と長期的に密接に結びつくことに対して疑問を抱いている」ことがあると論じた。

このほか、原発の普及に当たって核廃棄物の最終処理が中国にとっても大きな課題になっており、放射性廃棄物をガラス体内で溶解することで危険性を低減するアプローチが試みられているものの、依然として多くの廃棄物が従来の高リスクな方法で中国東北部の地下深くに保管されているとした。

同紙は最後に、中国における原発建設ラッシュの一方で、現状では原子力が中国の電力需要の約5%しかカバーしておらず、35年までに10%に到達させる目標を立てているものの、すでに電力需要の35%を賄っている太陽光や風力といった再生可能エネルギー発電に比べて普及が進んでいないことを伝えた。(編集・翻訳/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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