独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版は、「低価格で質が良い中国製品がドイツ経済を脅かしている」と題したドイツ紙の社説を紹介する記事を掲載した。

記事は、左派寄りの立場を取るドイツ紙ディー・ターゲスツァイトゥングがこのほど、自由民主党（FDP）やキリスト教民主同盟（CDU）など中道右派政党が選挙戦で減税や、政府が借金をしない立場を主張していることを批判する社説を掲載したと紹介。社説の筆者が、競争力を増す中国の製品を前にドイツ製商品が国際市場での魅力を失いつつあり、輸出主導型のドイツ経済が今後重大な打撃を受けると予測される中で「すべてのドイツ国内の経済問題を輸出によって解決するという考えは危険」と述べたことを伝えた。

また、社説が「ドイツ企業は苦しんでいる。中国企業が低賃金を強みとしてドイツ製品と同じ品質の商品をより安価に提供できるからだ。中国には14億人の国内市場があり、企業は大規模な生産によるスケールメリットを享受できる。一方で、EU市場は総人口が4億4900万人にすぎない上、間もなく大統領に就任する米国のトランプ氏による関税引き上げという脅威にも直面している」と論じたことを紹介している。

記事によると、同紙は、中国がこれまでローエンド製品の生産を主とし、高級路線を行くドイツ企業との競合が生じなかったものの、今では中国企業が技術力の向上によってハイエンド市場にも進出するようになったことで状況が変化したとの見方を示している。

記事は、同紙が社説の中で「長い間、輸出貿易がドイツ経済の持続的成長の主な原動力だった。しかし今、この経済モデルは終わりを迎えようとしている。ドイツの輸出貿易は鈍化し、ドイツ企業は技術的な優位性を失いつつある。選挙戦は新しい経済モデルを模索する機会となるべきで、気候保護技術やインフラ、研究開発への投資を強化することが求められている。それなのに、FDPやCDUは富裕層を喜ばせるために資金を無駄にしようとしている」と主張したことを紹介した。（編集・翻訳/川尻）