「名探偵コナン」の30年間の人気とその「真実」を考察―中国メディア

Record China    2025年2月1日(土) 22時0分

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27日、中国メディアの新華網は、「名探偵コナン」が30年間にわたり人気を博してきた理由について考察した記事を掲載した。写真は名探偵コナン。

2025年1月27日、中国メディアの新華網は、「名探偵コナン」が30年間にわたり人気を博してきた理由について考察した記事を掲載した。

記事はまず、「31年前、日本の漫画家・青山剛昌氏の作品『名探偵コナン』の連載が始まった。この『成長しない』小学生探偵は、瞬く間に1980年代・90年代生まれの子どもたちの『幼なじみ』となった。そして今、当時漫画を夢中になって読んでいた少年少女たちは大人となり、自分たちの子どもと一緒に『名探偵コナン』を楽しむ世代交代が起きている。彼らは今でも『真実はいつもひとつ!』という名台詞を愛し、漫画の登場人物や毎年公開される劇場版作品についても変わらぬ熱意を持っている。30年間にわたり人気を博してきた『名探偵コナン』は、私たちに一体何をもたらしたのだろうか?」と問い掛けた。

記事によると、現在、中国・北京市の朝陽大悦城にて開催されている「連載30周年記念 名探偵コナン展」の会場で、90年代生まれの「名探偵コナン」ファンである趙(ジャオ)さんは「小学生の頃から20年間を見続けている。連載30周年の記念展があると聞いて、すぐにチケットを買った」と語った。趙さんは子どもの頃、漫画のキャラクターを描くのが好きだったといい、「名探偵コナン」はかけがえのない思い出の作品となっているようだ。

同記念展の主催者である路画影視とGuGuGuGu谷谷逛谷文化科技有限公司の総裁・蔡公明(ツァイ・ゴンミン)氏によると、昨年の夏に同記念展の開催地となった上海会場では、累計来場者数の新記録を達成し、グッズも爆発的な人気を博した。その成功を受け、北京での開催が決定されたという。なお、北京会場では、日本での展示内容が忠実に再現されたほか、青山氏の貴重な原稿や創作資料、アニメ制作の舞台裏を紹介するコーナーもあり、作品の制作過程をより深く知ることができるという。

昨年末に中国で再上映された劇場版シリーズの7作目・劇場版「名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)」は、過去の作品ながら、現在までの累計興行収入は14億元(約300億円)を超えている。中国の映画・ドラマのデータ分析アプリ・猫眼専業版のデータによると、2024年の年越し上映の興行収入ランキングでは、同劇場版が2641万6000元(約5億6000万円)を記録し、総興行収入の34.3%を占めて首位に輝いた。ただ、人気を博しているのは、この劇場版作品だけではなく、1997年以降、「名探偵コナン」は毎年新たな劇場版作品を公開し、その度にファンの間では絶えず話題となってきた。記事によると、中国で上映された12作品のうち、4作品が興行収入20億元(約420億円)を突破しているという。

北京漫画学会会長であり、北京第二外国語学院日語漫画文創専門教授である陶冶(タオ・イエ)氏は「『名探偵コナン』の人気は、ストーリー設定、キャラクター造形と感情の共鳴、劇場版作品における商業的成功と観客の習慣化、さらに時間軸の『停滞』と長期連載の魅力にあり、30年にわたる連載が、多くの長期的なファンを育んできた」とした。一方、北京郵電大学デジタルメディアとデザイン芸術学院の副教授である高盟(ガオ・モン)氏は、「名探偵コナン」の人気は推理要素そのものの魅力と密接な結びつきが人々の好奇心を満たしているためだと考え、「黒ずくめの組織をめぐる主線ストーリーの一貫性やSF的な設定も観客が好奇心を保ちながら作品を追い続ける原動力になっている」と論じたという。また、80年代生まれの女性ファンの一人は、「『名探偵コナン』は自分にとって推理作品の入門だった」と語ったそうだ。

記事は、「『名探偵コナン』の個性豊かなキャラクターをモチーフにしたグッズは、ファンの購買意欲を強く刺激する。公式グッズだけでも多彩な種類が展開されているが、これまで世界各国のファッションブランドとの衣料品コラボ、飲食ブランドとのテーマカフェや食品コラボ、旅行会社とのテーマツアーなど、多岐にわたるコラボレーションも行ってきた」と言及。記事によると、知的財産(IP)ビジネスや文化創作関連の運営を手掛ける杭州観盛文化伝播有限公司の総経理・舒暢(シュウ・チャン)氏は、「二次元消費は、単なる商品の購入ではなく、特定の文化やキャラクターへの愛着と共感に基づく。ファンは作品やキャラクターへの支持と愛情を示すためにグッズを購入する。『名探偵コナン』のグッズはキャラクターの再現度が高く、服装や細部のデザインまで正確に表現されている。これは中国でも参考にすべき点だ」と指摘した。また、「連載30周年記念 名探偵コナン展」の北京会場のグッズ販売店の店員は「今回のグッズは、日本からの輸入品と中国オリジナル商品、さらに北京限定品も含まれている。売れ行きは非常に好調で、すでに品切れとなった商品もあり、ファンから再入荷の問い合わせが相次いでいる」と話したという。

さらに、あるネットユーザーは「小学生の頃からずっと『名探偵コナン』を見てきた。コナンは子ども時代、青春時代、そして今もなお私のそばにいる存在だ」と述べたほか、蔡氏も「『連載30周年記念 名探偵コナン展』の会場では、多くのファンがキャラクターのコスプレをして来場していた。ファンの関心はそれぞれ異なるが、その多くは『思い出』や『懐かしさ』によるものであり、子ども時代の思い出を大切にする気持ちから来ている」と述べている。

このほか、陶教授は「日本の漫画・アニメ業界は、発掘から商業展開までの包括的なシステムを確立している。『名探偵コナン』はその典型例だ。漫画誌での連載開始から、アニメ化、映画化、グッズ展開、コラボレーションに至るまで、このビジネスモデルによって作品の影響力が持続的に拡大されてきた。このようなモデルは、中国のアニメ業界にとっても参考になる。近年、中国のウェブ小説、ドラマ、ゲームが海外市場に進出する中で、アニメもこの流れに乗り、中国の伝統文化の要素を取り入れつつ、現代的なスタイルで海外の観客にアピールすることが重要だ」と語り、高教授も「『名探偵コナン』のブランドは、異業種との統合マーケティングに優れた能力を発揮しており、これが商業価値と人気を維持する重要な要因となっている、『名探偵コナン』の人気は、作品の魅力だけでなく、日本アニメIPの成熟した運営モデルによって支えられている」と論じた。

蔡氏は「現在、中国市場の二次元経済は急速に発展しており、その核心はIPにある。統合的な運営と計画が、IPの持続的な成長には不可欠だ」と述べ、舒氏は「IPビジネスの観点から、大データ分析を活用して市場ニーズと消費者の嗜好を正確に把握し、製品やサービスを最適化することで、ファンの帰属意識や忠誠度を高めることができる。『名探偵コナン』の成功モデルを参考に、アニメ、ゲーム、映画、グッズ産業を連携させ、国際協力や文化交流の場を活用し、中国の文化IPを世界へ発信すべきだ」と提言した。(翻訳・編集/岩田)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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