中国で減りつつある家庭訪問、嫌がる保護者、「不要」と断言する教師も―中国メディア

Record China    2025年2月12日(水) 8時0分

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中国ではかつて小中学校の教師の仕事として生徒の家庭への訪問が極めて重視されていた。しかし現在では嫌がる保護者もおり、教師側からも不要とする声が出ているという。写真は中国の小学校の教師。

上海市では、あと10日ほどで冬休みが終わる。小学校や中学校の教師は、休み明けに行う生徒の家庭訪問の準備をしている。ただし、最近では保護者や生徒がさまざまな理由で教師の家庭訪問を拒絶することが増えた。一方で、教師側にも必要ないとする意見がある。中国メディアの新民晩報が伝えた。

上海市長寧区天山路に住む朱さんは、春節(旧正月、2025年は1月29日)前に子供の担任教師から、春節後の平日夜に家庭訪問をしたいと、微信(ウィーチャット)を通じて伝えられた。朱さんはすぐに「都合がよくないです」「何かあれば電話でお話ししましょう」と返信したが、担任教師はその後も3度にわたって、時間を決めてほしいと連絡してきた。

朱さんは取材に対して「家庭訪問という古いやり方は、時代に合わせて変えるべきではないでしょうか。どの家にもそれぞれの事情がありますから。例えば、私たちの家は三世代が同居していて家がとても狭いんです。さらに、私はシングルマザーで子供を育てている。これらは教師に知られたくない事情です。教師が一軒一軒家を訪ねていく中で、それぞれの家庭の経済状況、親の背景、家族関係を知れば、主観的な印象がどうしても残ってしまうのではないのでしょうか」と述べた。朱さんは、教師がいったん悪い印象を持った場合に教育の公平さに影響が出ることを心配している。

家庭訪問はかつて、教師と生徒の家庭との重要な意思疎通の懸け橋だった。教師は自転車に乗り、あるいは歩いて生徒の家を訪れ、保護者と子どもの学習や成長について対面で話し合った。この方式は、学校と家庭の距離を縮めるだけでなく、教育に人情味を加える役割も果たした。しかし、通信技術の発展に伴い、電話やウィーチャットが従来の家庭訪問に取って代わった。20年以上の経験を持つ小学校の教師は「家庭訪問は確かに少なくなりました。主にみんなが必要ないと感じているからです」「昔は通信が発展していなかったから家庭訪問をしていましたが、今は電話1本、ウィーチャットのワンクリックで問題を解決できます。わざわざ行く必要はないですよね」と語った。

個人のプライバシーが重視されるようになったことも大いに影響している。保護者の一人は「家庭はプライベートな空間です。教師の家庭訪問を受け入れるために、いくつかの家庭はわざわざ準備をします。例えば掃除をしたり、お茶を準備したりします。時には特定の家族メンバーに一時的に家の外に出てもらうこともあります。特に、事情が複雑な家庭では、外部に家庭の状況を見せたくないと思います」と述べた。

冬休みの期間中には、広東省深セン市内に住むある保護者が、インターネットを通じて家庭訪問の中止を強く訴えた。この保護者は、教師による家庭訪問には「形式ばかりで実質がない」「保護者の正常な仕事や生活のリズムを乱す」「家庭のプライバシーが暴露されやすい」などと、さまざまな問題点を列記した。

浙江省のある保護者がインターネットで「教師の家庭訪問をどう思うか」というアンケートを行うと、わずか3日間で6200人以上が投票し、うち回答者の85.5%に相当する5300人以上が「好きではない」に投票した。「好き」と回答したのは800人強だった。回答者が若くなるほど「好きでない」と思う人が多くなる傾向も分かった。

上海市のある小学校校長は、学校側の対応もかつてとは違うと説明した。かつては教師が新しくクラスを担当した場合には、全ての生徒を対象に家庭訪問を行うことを義務付けていた。季節ごとの「訪問ノルマ」もあった。しかし現在は数字を設けておらず、家庭訪問を必須にもしていない。また生徒の家庭を訪問するのではなく、学校その他の適切な公共施設で保護者と面談してもいいし、カフェで待ち合わせてもいいという。

同校長は、「家庭訪問は、生徒の家庭環境を理解し、保護者の声を聞くための最良の方法ではありますが、その前提として保護者の意向を十分に尊重する必要があります」と説明した。家庭訪問の大きな長所には、児童によっては学校と家庭での姿が全く異なる場合があるので、家庭を訪れることでその児童行動や心理をしっかりと把握できることなどがあるという。

上海市松江区未成年者心理健康カウンセリングおよび家庭教育ガイドセンターの張貞所長は、教師は保護者が家庭訪問を拒否した場合、まず保護者の決定を尊重し、電話やウィーチャットでしっかりと意思疎通して、拒否の具体的な理由を理解し、その理由に対して説明を行って保護者の不安を取り除く必要があると指摘した。また、教師は保護者に対して定期的に、さまざまな方法で生徒の学校での様子を伝え、保護者からは家庭での様子を聞き出すことが求められる。教師にとっては、真摯な態度と専門的な方法で保護者の理解と支持を得ることが極めて重要という。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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