Record China 2025年2月16日(日) 8時0分
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トランプ米大統領が掲げる「米国第一主義」。米国の専門家は「ライバルの中国を世界のリーダーに押し上げる」と警鐘を鳴らした。写真はトランプ大統領の公式x(旧twitter)より。
再登板した米国のトランプ大統領がまた前面に打ち出した「米国第一主義」。トランプ大統領にスローガンについて、米国の専門家は米誌に寄せた記事で「皮肉にも米国の『真の長期的利益』に真っ向から反している」と批判し、「ライバルの中国を世界のリーダーに押し上げる」と警鐘を鳴らした。
米誌ニューズウィークに寄稿したのは、ピーター・シンガー米プリンストン大学名誉教授(生命倫理学)。NPO団体The Life You Can Save(あなたが救える命)の創設者でもある。
記事の中でシンガー氏はトランプ大統領が宣言した対外援助の資金拠出の一時凍結、WHO(世界保健機関)からの脱退、地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定からの離脱などを取り上げた。
対外援助の削減については「そもそも今の米国には削減する財政上の差し迫った理由など見当たらない」と指摘。「国連は裕福な国々に国民総所得(GNI)の0.7%を対外援助に充てるという目標を掲げている。2023年にこの基準を超えたのはノルウェー、ルクセンブルク、スウェーデン、ドイツ、デンマークの5カ国のみ。米国の対外援助はGNIのわずか0.24%だった」と述べた。
WHO脱退に関しても「さほどの節約効果はない」と説明。「WHOの年間予算は、米ロードアイランド州(人口約110万人)の保健関連支出の半分程度しかなく、しかも米国の拠出額はその約15%にすぎない」とした。
さらに「米国のWHO脱退により、健康に関する問題での国際協力は大幅に減るだろう」と予測。「米保健当局は国外の疾病流行状況に関する情報を得にくくなる恐れがある。一方で、WHO脱退は外国の製薬会社を利するかもしれない。米国は新薬の効果や安全性、品質基準に関するWHOの議論に発言権を失うからだ」と危惧した。
トランプ大統領による一連の動きの中でシンガー氏が最も壊滅的な影響をもたらすとしているのは、気候変動に関わるものだ。石油やガスの増産推進、電気自動車(EV)に対する税額控除の廃止、そして何よりパリ協定からの離脱だ。
米国民1人当たりの温室効果ガス排出量は中国より50%多く、インドの7倍近い。これらの国は今後、米国が気候変動に関する国際的な目標に縛られないのだから、より貧しい自国経済が化石燃料を手放す理由はないと主張できる。
シンガー氏は「今後数十年の間に米国人はさらに暑い夏に苦しみ、より激しい嵐や洪水に見舞われ、ロサンゼルスの広い範囲を焼き尽くしたものより大規模な山火事と闘い、海面上昇によって低地の沿岸地帯が水浸しになるため内陸へ移住することになるだろう」と警告。トランプ氏の別荘マールアラーゴがあるフロリダ州南部の広い地域も、その沿岸地帯に含まれる。
こうしたことから、シンガー氏は「トランプ氏がこれまで下した決定の中に米国を再び偉大にするものは一つもない」と断言。「むしろ大統領返り咲きは米国の国力を減退させ、ライバルの中国を世界のリーダーに押し上げる強い追い風となっている」と皮肉った。(編集/日向)
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