中国では大企業が次々にAI導入、雇用情勢悪化の懸念も―台湾メディア

Record China    2025年2月17日(月) 9時0分

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中国では、企業が次々にAIを導入して人が行ってきた仕事を代替させることで、「もともと厳しい雇用状況がさらに悪化する」との声が出ている。写真はAIが代替する代表的職種のカスタマーサービスの様子。

中国ではディープシーク(DeepSeek)の登場後、企業が次々に人工知能(AI)を導入すると発表したことで、AIにより人の職場が奪われる不安が発生した。カスタマーサービス担当者の95%を削減する企業も出ている。もともと厳しい中国の雇用状況がさらに悪化すると指摘する専門家もいる。台湾メディアの聯合新聞網が伝えた。

中国のAI新興企業である深度求索(ディープシーク社)が低コストで高効率の大規模言語モデル(LLM)を応用したAIのディープシークを発表し、世界を驚かせた。中国大陸では自動車会社や証券会社、通信事業者などの大企業が次々にディープシークを導入すると発表した。そのことで、「私の仕事はAIに取って代わられるのではないか」という不安も広がった。

米国に本社を置くAI分野の新興企業アンソロピック(Anthropic)の最近の発表によると、人の仕事の43%が自動化によって代替されつつある。AI利用はソフトウェア開発や文章作成に集中しており、特に中所得から高所得の職種で普及している。AIには人の能力を強化することができる一方で、人の労働を代替してしまう側面がある。

中国では、「AIをはじめとする『新たな質の生産力』が広く活用されるようになり、従来は10人で行っていた業務が、今では1人で済むようになった」といった報道もある。

2月6日には、中国の化粧品大手の上美が社内の大規模な調整を計画しており、AI技術で人員を置き換える方針であることを示す内部チャットグループのスクリーンショットが広く拡散した。カスタマーサービス部門の人員削減率は95%、コンテンツ開発部門では80%、法務部門では50%に達するという。

江蘇省デジタル経済聯合会の卜安洵副会長兼秘書長は、AIの普及は能力のある中小企業に大きな影響を与えると述べた。これらの企業はより迅速かつ柔軟に生産能力を転換できるため、AIの活用でコスト削減と効率向上、さらには産業の高度化を促進することになるからという。しかしその一方で、一部の従来型職種の従業員は失業の問題に直面することになる。

北京融信数聯科技の技術責任者である張広志博士は「現実問題として、営業電話やカスタマーサービスの電話の多くには、すでにAIロボットが対応しています。このことで、従来型のカスタマーサービス担当者の大半は失業せざるをえなくなっています」と指摘した。張博士は、従業員本人の対応として、AIを活用して自らの能力を向上させ、仕事の効率を高めることが最も重要だと主張した。

ディープシークに「近未来においてAIの影響を最も受ける職業トップ10は何か?」と尋ねたところ、カスタマーサービス担当者、データ入力作業員、倉庫・物流作業員、製造業作業員、金融アナリスト、医療診断医(放射線科医など)、法務アシスタント・弁護士、マーケティング・広告業界の従事者、翻訳者・通訳者、運転手(タクシー・トラック運転手など)との回答が返ってきた。

しかし、労働関連を研究する首都経済貿易大学の詹靖准教授は、AIは繰り返しの多い単調な業務を代替する可能性はあるが、感情的な知性や学際的な深い学習が求められる重要な仕事は代替できないと主張した。

詹准教授は、「AIは我々が想像するほど恐ろしいものではありません。むしろ道具と見なすべきです。今、重要なことは、この変化によって生じる構造的な問題をどのように解決するかであり、AIの発展を回避することではありません」と述べた。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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