19日に開催予定だったサッカーのAFCチャンピオンズリーグエリート（ACLE）の最終第8節で、蔚山HD（韓国）とのアウェーゲームを戦う予定だった山東泰山（中国）が直前に突如、棄権したことが波紋を広げている。

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AFCはこの試合のみを無効にするのではなく、山東泰山の大会からの「撤退」とみなしたため、これまで行われた7試合の結果も全て取り消される。山東泰山は「規定では特定の試合のみを棄権することができないため、撤退せざるを得ない」と受け入れた。この結果、Jリーグのクラブを含む他チームの成績に大きな影響が出ることになる。

山東泰山は棄権の理由を「チームの複数選手が体調不良になった」と説明しているが、仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル（RFI）中国語版は、「選手たちはすでに韓国に入国し、蔚山に到着していたため、試合開始約2時間前に突然、健康問題を理由に試合を拒否したことには疑問の声が出ている」と報じた。

その上で、山東泰山が今月14日に韓国の光州FCとの試合を行った際、一部の山東サポーターが全斗煥（チョン・ドゥファン）元大統領の写真を掲げて韓国サポーターを挑発していたことに言及。全元大統領は民主化を求める市民や学生を弾圧して多くの死者を出した「光州事件」を指揮した人物で、光州市民の間で強い反感を持たれている。また、一部では金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党総書記の写真も掲げていたとの証言も出ている。

光州FCは「これは韓国全体への侮辱でもある。AFCに正式な抗議文を提出し、徹底調査と厳正な処分を求める」との声明を発表。山東泰山側も公式に謝罪し、問題を起こした観客のホームゲーム観戦を永久に禁止する措置を取ると発表した。

RFI中国語版は山東泰山が19日の試合を棄権した本当の理由として、「中国側は韓国のサポーターが報復的な（政治がらみの）横断幕を掲げることを恐れたのではないか」との報道も出ていると紹介した。

また、中国のサッカー専門メディアの射門中国も、山東泰山の棄権の理由が光州FC戦での騒動にあった可能性があるとし、有識者から「他の理由であれば韓国まで遠征する必要はない。韓国に行った上で棄権したということは、直前に韓国サポーターが報復的な行動を取る可能性があることに気付いたからではないか」「詳細は分からないが、直前にキャンセルしたということは現場で何かが起きた可能性が高い。それは前回の（光州FCとの）騒動と関係がある可能性が高い」との声が出ていることを伝えている。（翻訳・編集/北田）