CRI online 2025年2月23日(日) 6時30分
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中国の科学者が細菌免疫のメカニズムを解明し、「孔明システム」と命名しました。
国際学術誌サイエンスは北京時間21日、中国華中農業大学の韓文元教授のチームによる「Base-modified nucleotides mediate immune signaling in bacteria(塩基修飾ヌクレオチドを介在した細菌免疫シグナル伝達)」と題する論文を掲載しました。この論文は塩基修飾ヌクレオチドを第2のメッセンジャーとする細菌の抗ファージ免疫シグナルの伝達方式を解明したもので、韓教授らは「Kongming(孔明システム」と命名しました。このメカニズムはバクテリオファージ(ファージ)に取りつかれた細菌が、そのバクテリオファージの成分を「借用」することで自らの免疫反応を活性化させるもので、細菌とウイルスの攻防を理解するための新たな視点を提供しました。
生物体内のシグナルは精密な通信ネットワークにより伝達されます。ヌクレオチド分子は重要な「信号兵」とされてきましたが、環状ヌクレオチドが免疫作用に関与するのに対して、非典型ヌクレオチドはこれまで長期にわたって、一般的にはいかなる生理作用も発揮しないと考えられていました。しかし、韓教授のチームは遺伝子解析を通じて、KomA(孔明A)、KomB(孔明B)、KomC(孔明C)の3つのタンパク質を利用する防御システムを解明しました。その防御システムでは、ファージが細菌に侵入する際に、ファージが持つデオキシヌクレオチドキナーゼ(DNK)が意外にも細菌の免疫を活性化する「スイッチ」になるとのことです。KomAはDNKと「協力」して、ヌクレオチド(dAMP)を特殊な信号分子のdITPに変換します。驚くべきことに、このシステムは侵入者であるファージが持つ酵素を巧みに利用して防御を完成させます。韓教授らは三国志で有名な諸葛孔明の「草船借箭の計」に似ているとして、「Kongming(孔明)システム」と命名しました。
「草船借箭」とは、赤壁の戦いで曹操と対峙した諸葛孔明が、濃霧に覆われた川面でわら束を並べた船を曹操の陣に接近させ、曹操側が大量の矢を射かけたことで、孔明は大量の矢を得たという逸話です。
研究によると、「孔明システム」は各種の細菌に広く存在し、そのモジュール化構造は自然界により多くの未知のヌクレオチド信号系が存在する可能性を示唆しています。この発見は細菌の免疫の研究に新たな方向を提供しただけでなく、その特異な認識能力を持つdITPの特性は医学への応用が考えられ、将来的には携帯式ヌクレオチド検出ツールを開発することで、大型機器に依存している既存の検出技術の限界を突破できる可能性があるとのことです。(提供/CRI)
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