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中国メディアの環球時報は4日、「キャベツの値段に見る日本経済の3大苦境」と題する論評記事を掲載した。写真はキャベツ。
中国メディアの環球時報は4日、「キャベツの値段に見る日本経済の3大苦境」と題する論評記事を掲載した。著者は天津社会科学院アジア太平洋協力・発展研究所の龚娜(ゴン・ナー)副研究員。
龚氏は、日本で最近、キャベツ価格の高騰が大きな問題になっていると指摘。ネット上では冗談交じりに「キャベツが高級食材になった」との声も上がっており、一部のスーパーでは1玉1000円を超える値段で販売されているほか、農林水産省のデータでも、キャベツの価格は前年同期比で約4倍に上昇していると説明した。
その上で、「これは偶発的な現象ではない」とし、「帝国データバンクによると、2025年1~4月に日本では6121品目の食品が値上げされる見込みであり、このような広範な値上げは日本の多くの家庭にとって耐えられる範囲を超えており、日本の労働者が直面する生活上のプレッシャーの増大が浮き彫りとなっている」と論じた。
そして、近年、日本の賃金水準がほとんど上がっていないことに言及。「1990年代半ば以降、日本の名目賃金はほとんど増加しておらず、物価上昇を考慮した実質賃金は1997年の水準を基準(100)にすると、2016年には89.7にまで低下。大卒者の退職金は1997年に平均2871万円だったのが、2017年には1788万円と20年で1000万円以上も減少した」と紹介した。
さらに、マクドナルドの「ビッグマック指数」を基準にしたある分析で、2024年の日本の時給の中央値(1047円)ではビッグマックが2.2個しか買えず、この数字は過去5年間で0.2個減少していると説明。一方、豪州は3.9個、スイスは3.4個、英国は2.6個で、物価が高騰している米国でも2.5個だとした。
龚氏は、「日本の物価上昇は賃金の上昇を大きく上回っており、労働者の実質的な購買力は着実に低下している」とし、「この背景には企業の利益と労働者の所得の間にある巨大なギャップがある」と言及。「通常の理論では『国の経済成長→企業の利益増→労働者の賃金上昇』となるが、アベノミクスによって日本企業(大企業)の利益は増加したものの、賃金はそれに伴って増加せず、期待されたトリクルダウン効果が実現しなかった。この現象は、日本社会と労働市場の構造的な問題が賃金の上昇を妨げていることを示している」と分析した。
そして、「マクロデータはこれをさらに裏付けている」とし、「国際労働機関(ILO)のデータによると、2019年には日本の労働者の所得が国内総生産(GDP)の56%を占めていたが、24年には54%に減少した。これは欧米の先進国の平均水準(55~59%)を下回っている。同時に、企業の利益は継続的に増加しており、日本企業が利益分配において、労働者の賃上げよりも資本のリターンを優先していることが示されている」と指摘した。
また、「飲食業、小売業などのサービス業、特にファーストフード業界は低賃金の典型で、従業員のスキルが向上しているにもかかわらず昇給(時給)は10~20円程度。サービス業の従事者は低賃金と昇給の機会が限られているという問題に直面している。その結果、給与水準の停滞を招き、日本社会の所得格差をさらに悪化させている」と論じた。
このほか、「低賃金の問題に加え、富の集中と貧富の差の拡大も日本経済における大きな懸念材料だ」とし、「日本の家庭の金融資産総額は急速に増加しているが、すべての家庭がその恩恵にあずかっているわけではない。非正規労働者の割合は1985年の15%から2019年には約40%に増加、彼らの収入は正規労働者の約6割にとどまっている」とも指摘した。
龚氏は、「キャベツ価格の高騰現象は、日本の物価上昇問題だけでなく、低賃金問題の悪化も浮き彫りにしている。物価の継続上昇、賃金の停滞、富の不均衡な分配は、日本経済の3大苦境であり、これらの問題は、社会階層の分断をさらに進め、内需と経済成長の原動力をそぐものだ。日本政府と日銀は『賃金と物価の好循環』を目標に掲げているが、現時点では依然として遠いままだ」と結んだ。(翻訳・編集/北田)
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