2025年3月12日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国の電気自動車（EV）用電池の対抗馬筆頭格と目されてきた、スウェーデンの電池製造大手ノースボルトが破産を申請したと報じた。

記事は、ノースボルトが12日にスウェーデンで破産申請を行ったことを発表し、声明の中で「現在の形での事業継続に必要な財務条件を確保できなかった」と説明したことを紹介。現地メディアが11日に「同社が破産寸前であり、取締役会が12日にも最終決定を下す可能性がある」と伝えていたほか、以前に公表された文書では1月末の累積負債が80億ドル（約1兆2000億円）にまで膨らんでいたことが明らかになっていたとした。

また、同社が昨年初めにスウェーデン北部の主力工場拡張のために、複数の金融機関と50億ドル（約7500億円）のグリーンローン契約を結んだものの、会社の問題が悪化したため、融資が最終的に取り消されたと指摘。同年6月には「同社が2020年に締結した長期電池供給契約を履行できなかった」としてドイツの自動車メーカーBMWが20億ドル（約3000億円）相当の注文をキャンセルしていたことを伝えた。

さらに、昨年11月には米国連邦破産法11条（日本の民事再生法に相当）の適用を申請し、この直後に辞任したピーター・カールソン前最高経営責任者（CEO）が辞任の際に、事業を回復させるには12億ドル（約1800億円）の資金が必要であると述べていたと伝えた。

記事は、同社がスウェーデンの電池スタートアップ企業として2016年に設立し、「石油を歴史にする」をスローガンに株式や負債、公的資金で100億ドル（約1兆5000億円）以上を調達してきたと紹介。主要株主には21％を保有するフォルクスワーゲンと、19％を保有するゴールドマン・サックスが含まれるとしたほか、寧徳時代（CATL）やBYDといった中国の電池メーカーへの依存からの脱却を目指す欧州から、その成長に大きな期待をかけられていたことを報じている。（編集・翻訳/川尻）