「良い商品があれば、売れ行きや利益の心配はない」。今年の全国両会（全国人民代表大会・中国人民政治協商会議全国委員会）の「部長通路」で、文化・観光部の孫業礼（スン・イエリー）部長は冷蔵庫マグネットに言及した。

国家博物館は2024年の夏、明・孝端顕皇后の鳳凰の形の冠に着想を得た冷蔵庫マグネットを発売した。デザインが精巧で美しいことから、店頭に並ぶや否や飛ぶように売れる大ヒット商品となった。

博物館の小さなクリエーティブグッズが大きなビジネスを生み出している。

「鳳凰の形の冠冷蔵庫マグネット」は過去20年間に国家博物館で最も売れた商品で、同シリーズの売上高はわずか数カ月で1000万元（約2億円）を突破した。

「鳳凰の形の冷蔵庫マグネット」と同様に、購入数が制限されるほどヒットしている博物館のクリエーティブグッズには、北京古代建築博物館の「天宮藻井冷蔵庫マグネット」がある。宮殿や寺院建築などに見られる彫刻などで装飾された天井「藻井」をモチーフにしたもので、このマグネットを求めて、早朝5時から博物館の外に並ぶ来館者もいるほどだ。

現在でもなお、「天宮藻井マグネット」を購入するには3日前にオンラインで予約する必要がある。同博物館の薛倹（シュエ・ジエン）館長によると、最も購入希望者の多い時には、毎日午前10時のオンライン予約のスタートから2秒以内に400個分の枠が全て埋まってしまったという。

クリエーティブグッズの爆発的な人気は、文化への自信がその根底にあるだけでなく、文化クリエーティブ産業の高度化と消費スタイルの転換・高度化によっても支えられている。

アイスクリーム、アクセサリー・ストラップ・飾り物、水筒・タンブラー、冷蔵庫マグネット、トートバッグ、縫いぐるみ、カレンダーなど、歴史的要素と現代的デザインを融合させたグッズはますます多くの日常生活シーンに広がっている。博物館の文化財は持ち出せないが、美しく精巧に作られたグッズは手のひらサイズの「小さいけれど確かな幸せ」となる。

さまざまなクリエーティブグッズの登場は来館者の消費意欲を刺激している。24年夏に上海博物館で開催された「ピラミッドの頂点：古代エジプト文明展」では、1日当たりの来場者数が1万人を超え、グッズの総売上高は8000万元（約16億円）を突破し、関連グッズ消費の波及効果も10億元（約200億円）に達した。

人気のグッズは消費者を引き付けるだけでなく、現地の雇用と所得の増加にも貢献している。国家博物館の「鳳凰の形の冠冷蔵庫マグネット」の売れ行きが好調なため、製造を委託先工場は1社から3社に増え、すでに生産量は1日5000個に達している。

人的資源・社会保障部が24年に発表した19の新職業の中には「クリエーティブグッズプランナー・オペレーター」が含まれていた。清華大学文化創意発展研究院の胡鈺（フー・ユー）院長は「現代中国の文化クリエーティブ産業が急速に発展している現状から見て、クリエーティブグッズプランナー・オペレーターに対する盛んな需要は、この職業の成熟を大きく加速させることになるだろう」との見方を示した。（提供/人民網日本語版・編集/NA）