「鬼滅の刃」の芸術的魅力と欠点とは―中国メディア

Record China    2025年4月12日(土) 23時0分

拡大

10日、中国のポータルサイト・捜狐に「鬼滅の刃」の芸術的魅力と欠点について言及した記事が掲載された。写真は鬼滅の刃。

2025年4月10日、中国のポータルサイト・捜狐に「鬼滅の刃」の芸術的魅力と欠点について言及した記事が掲載された。

記事は、「『鬼滅の刃』は、放送開始以来その独自の芸術的魅力で世界中を席巻してきた。同作は視覚表現、キャラクター造形、物語構成、文化的要素においていずれも非常に高い水準を示している。ただし同時にいくつかの検討すべき課題も存在する」とした。

まず、「『鬼滅の刃』は、著名なアニメ制作会社・ufotableによって制作されており、その戦闘シーンは業界の基準となるべき完成度を誇っている。一枚一枚のカットが驚くほど精緻に描かれ、特に『呼吸』のエフェクト演出は、日本の伝統的な水墨画の要素と現代のアニメ技術が見事に融合している。例えば、主人公・竈門炭治郎(かまどたんんじろう)の『水の呼吸』はまるで雲の流れのようになめらかで、敵との交戦時の色彩のぶつかり合いや光と影の変化が強烈な視覚的インパクトを生み出している。このような細部にまで及ぶこだわりが、視聴者に臨場感を与え、刀が空気を切り裂く音すらも感じさせるほどの迫力を与えている」と述べた。

次に、「梶浦由記氏が手掛けた音楽は、本作に魂を吹き込んでいる。また、オープニング曲『紅蓮華』は、熱い旋律で視聴者の感情を高ぶらせ、物語の緊張感あるテンポと調和している。加えて、戦闘シーンにおける音響演出も卓越しており、剣と剣の交わる音、呼吸の音などの細かい演出が強い臨場感を生み出し、キャラクターたちの感情やストーリーの緊迫感を一層際立たせている」と評した。

続けて、「炭治郎の優しさと不屈の精神こそが、『鬼滅の刃』の物語において最も感動的な核となっている。彼は鬼となった妹・禰豆子(ねずこ)を守るために鬼狩りの道を選んだ。その家族愛は物語全体を通じて強い共感を呼んでいる。ほかのキャラクターたちも魅力的で、例えば我妻善逸(あがつまぜんいつ)は臆病さと勇敢さを併せ持ち、嘴平伊之助(はいびらいのすけ)には野性と繊細さが共存している。炎柱・煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)の自己犠牲の精神は多くの視聴者の涙を誘った。さらに、敵役である鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)でさえ、その圧倒的な存在感と複雑な内面によって、単なる悪役にとどまらない深みを与えられている」と言及した。

また、「『鬼滅の刃』は登場人物を単純に『善』と『悪』に区別せず、繊細な心理描写を通じて人間性の複雑さを描いている。炭治郎が鬼に対して抱く同情や救済の心は、従来の熱血アニメによくある単純な善悪の二元論を超え、『他者の痛みを理解する』という優しさの力を伝えている。こうした人間性の深掘りが、同作に思想的・哲学的な深みをもたらしている」と論じた。

さらに、「『鬼滅の刃』は、日本の伝統文化の要素を多く取り入れている。例えば、武士道精神、浮世絵の美学、和楽器の音楽などが作品全体に濃厚な和の雰囲気を与えており、戦闘シーンにおける水墨画風のエフェクトや、登場人物の衣装デザインは、伝統文化への敬意と革新性を感じさせる。これにより『鬼滅の刃』は、日本文化を世界に伝えるメディアとしての役割も果たしている」と説明した。

一方で、「『鬼滅の刃』は古典的な『鬼との遭遇、鬼の討伐、回想』という3部構成を採用している。この構造は単調に見えるかもしれないが、キャラクターの個性や物語のテーマを伝えるのに効果的である。それでも一部の視聴者からは、物語の展開に新鮮味がなく予測しやすいとの批判もあり、これは商業的成功の影にある小さな欠点と言えるかもしれない。また、鬼の首が斬られるシーンや人間が食われる描写など、一部の過激な表現は若年層の視聴者に心理的な不快感を与える可能性がある。これらの場面は物語の緊張感を高めるために用いられているが、明確な年齢制限や注意喚起が欠けている」と指摘した。

そして、「呼吸法の視覚演出など細かい部分では新しさがあるものの、物語全体の構成や展開は、依然として従来の『熱血少年漫画』の枠にとどまっている。世界観の構築は比較的単純で、社会問題などのより広いテーマへの掘り下げは不足している点が『神作』と評されるには一歩及ばない理由の一つかもしれない」と述べた。

記事は、「『鬼滅の刃』は、間違いなく成功した商業作品として世界中の視聴者を魅了した。視覚表現やキャラクター描写、テーマ性の深さにおいて高い完成度を誇り、特に日本の伝統文化と現代のアニメ技術との融合においては高く評価されるべきである。しかしながら、保守的な物語構成や暴力描写の扱いに問題がある点は、クリエイターが商業的成功を追い求める中で、芸術性の深さや視聴者層とのバランスも忘れてはならないということを示している。いずれにせよ、『鬼滅の刃』は単なるアニメ作品の枠を超え、一つの文化的現象となったことは確かであり、その影響力は今後も長く続くであろう」とした。(翻訳・編集/岩田)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

noteに華流エンタメ情報を配信中!詳しくはこちら

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携