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トランプ米大統領はホワイトハウスで2日、すべての輸入品に対する「相互関税」の実施を発表した。
トランプ米大統領はホワイトハウスで2日、すべての輸入品に対する「相互関税」の実施を発表した。原則として、一律10%の基本関税を課し、さらに国や地域の具体的な状況に応じて、異なる税率を上乗せするというものだ。米国は複数の貿易パートナーに対して、この「相互関税」を適用することで、自由貿易の原則を放棄し、国際社会が長年かけて構築してきた世界貿易ルールを勝手に破壊しようとしている。こうした米国のやり方は野蛮で覇権主義的なものであり、グローバル貿易に深刻な悪影響を及ぼし、多国間貿易体制やグローバル化の進展を著しく損ねるものだ。
グローバル貿易の激変に直面する中、各国の対応はさまざまだ。一部の模範的な米国の同盟国の中には、即座にひざまずく姿勢を見せているが、それでも米国の答えは「まだ不十分だ」と不満を示す。一方、状況の悪化を察知し、迅速に政策を調整して、報復措置をとる国や地域もある。
米国は11日、中国からの輸入品に課す追加関税が合わせて145%になると発表した。このような米国の関税乱用に中国外交部は、「中国は断固反対し、絶対に受け入れない」と明言した。中国がこれほど迅速かつ強力な措置を打ち出せたのは、事前に綿密な準備が整えられ、対抗措置の材料も十分にあるということを示している。同時に、中国の経済貿易分野全体の強靭性も、さらに強化されている。
この8年間続いた中米間の貿易摩擦を経て、中国国内での米国商品に対する輸入ニーズは再構築されてきた。気付かぬうちに、中国はすでに対応の準備を整えていたのだ。中国が米国から輸入した農産物は2年連続して減少しており、2022年に428億ドルだった輸入額は、2024年には292億5000万ドルへと下がった。それでも米国は依然として、中国にとって最大の農産物輸入先国である。しかし今、最も不安を感じているのは中国の消費者ではなく、米国の農民たちである。米国では物価が上昇し、「卵不足」も依然として続いている。苦しい状況に耐えているのは中国企業だけではなく、世界中のどこもが同じ思いをしている。ただし、中米間に貿易障壁が存在するからといって、中国と他の国との間にも同じような障壁があるというわけではない。輸出先や輸入先は、他の国へとシフトすることも可能なのだ。
調査会社ムーディーズ・アナリティックスのアジア太平洋担当チーフエコノミストであるスティーブ・コクラン氏は、大豆を例に挙げ、「中国は世界各地の幅広い地域から大豆を輸入しており、特定の国に依存しているわけではない。米国からの輸入も他の国で代替することが可能だ。これは、米国の関連産業にとって厳しい状況を意味している」と指摘し、中国は今後、他国との交流をより活発に展開し、開放の度合いもますます高くなるだろうと述べた。
ブルームバーグのオピニオンコラムニストのデービッド・フィックリング氏は、「米国が中国から輸入する商品の大半は、スマホ、パソコン、家電、家具、おもちゃ、洋服などであり、いずれもウォールマートやアマゾンなどでよく見かけるようなものばかりだ。米国消費者は関税引き上げによる影響を、すぐに感じるだろう。一方、中国が米国から輸入するものは、主に製造業の中間材となる天然ガス、石油、チップ、飛行機のエンジン、プラスチックなどであり、一般消費者には直接関係しない」と指摘している。この点については、コクラン氏も同様の見方であり、「中国と比較すると、米国の方がより貿易戦争の影響を受けやすい。もし、貿易戦争が続ければ、米国は近いうちに景気衰退に陥り、その状況は1年以上続く可能性もある」と述べている。
日本総合研究所の石川智久調査部長は、「トランプの『相互関税』政策は、米国を『米国第一主義の国』に変え、戦後に形成された同盟国の関係に亀裂を生じさせた。日本政府はこうした現実を直視し、貿易構造の多角化を進め、米国の振る舞いが日本経済に大きな影響を及ぼす現在の状況を脱却していく必要がある。とりわけ、存在感を高めているグローバルサウスとの連携も強化すべきであろう。世界を俯瞰した視点に立った貿易体制の構築を急ぐべきであり、貿易関係の多角化を視野にいれた高度な経済・外交戦略が求められている」と述べている。
トランプ大統領はこのほど、専用機「エアフォースワン」の中で、関税政策による米株式市場の大幅な下落について、「何かを治すには、時には薬が必要だ」と発言した。しかし、トランプ氏が今回飲んだ「薬」は、「毒薬」なのかもしれない。
大海には静かな日もあれば、荒れ狂う風雨の日もある。嵐が終われば、海はいつも変わらずそこにある。明日になれば、太陽はまた登るだろう。しかし、関税戦が米国にもたらす嵐は、まだ始まったばかりである。(CMG日本語部論説員)
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